ブルゴーニュ旅行記の続きです。やはり更新頻度が低下してきました![しょぼん]()
ボーヌ滞在3日目。オー・ピエ・デュ・モンショーヴのデギュスタシオン、カヴォー・ド・シャサーニュでのデギュスタシオンとお買い物の後の話です。
カヴォー・ド・シャサーニュを後にした我々は、畑巡りをするために、そのままピュリニー村に向かって歩きます。目指すはもちろん、ブルゴーニュに来るたびに必ず立ち寄ってしまう、シャサーニュとピュリニーの両村にまたがるあの憧れの畑。
シャサーニュの街の出口近辺
街はこの辺で終わり。シャサーニュの畑はまだ続きますが、ピュリニーの畑はもうすぐそこです。
シャサーニュの街の出口近辺からピュリニー村を望む
そうです。中央に見えるあの白い道筋の辺り・・・。
Le Montrachet
これがル・モンラッシェ。シャサーニュ側の畑です。
でも、モンラッシェの大物は上の写真には一部しか写っていません。詳しくは下記の地図で確認しながら、歩きながら撮影した写真で見ていきます。
2002年作成のモンラッシェの各区画の所有者(手持ちの地図をカメラで撮影)
所有者を勝手に書き込んでます。そう、大物と言えば、DRC、Ramonet、Lafonを筆頭に、希少なLeflaive、ど真ん中のBouchard、最大面積のDrouhin辺りでしょうか?この辺の生産者の区画を中心に見ていきます。
ル・モンラッシェの畑に近づく
もうすぐでル・モンラッシェの畑の南端に到着するところです。大きな車が止まっていますね。
大きな車
お馬さんを乗せてやってきたトラックでした。そのすぐ後ろの畑でお仕事があったようです。掛かっている看板には、「動物牽引によるブドウ畑仕事」と書いてあります。へえー。最近こういうビジネスが出てきたんですね。こういうビジネスは、生産者の方に需要があるでしょうね!
その前に、モンラッシェの畑の手前の畑をちょっと見ておきましょう。
Chassagne-Montrachet Premier Cru Blanchot Dessus
ル・モンラッシェの南端と道一本隔てて隣接する稀有な畑にも拘わらず、あまり評価されていない(と思われる)プルミエ・クリュ。2009年2月に雨の中を散歩していた際、この畑が水浸しでした。そのとき、なるほどと思いました。逆に北側で隣接しているLes Demoisellesドモワゼル(カイユレ)は高い評価を受けています。
Criots-Bâtard-Montrachet
ここはブランショ・ドゥスの向かい、モンラッシェの斜め向かい。クリオ=バタール=モンラッシェです。ここのワインは結構好きです。ミニ・モンラッシェという感じ。2000年のフォンテーヌ=ガニャールが印象に残っています。
さて、モンラッシェです。まずは、シャサーニュ側(Le Montrachet)の地図から。
Le Montrachet Map (Chassagne-side)
Le Montrachet owned by Domaine des Comtes Lafon (No.37)
ここがモンラッシェの南端。ドメーヌ・デ・コント・ラフォンの所有(31.82a)。ブランショ・ドゥスとの間の小道の境にクロ(石垣)があります。このクロと畑までの間隔は2-3mあります。貴重なモンラッシェの畑、こんなスペースはもったいない、全部畑にすればいいのに、って思いますよね?でも、これは耕作するために入る車などが止まったりUターンするのに必要なスペースだと思うのです。その代わり、隣の辺、つまり写真の右手はクロのぎりぎりまで畑になっています。
こちらを窺うお馬さん
あのトラックのお馬さんは、このラフォンの畑で耕すお仕事を委託されていたのでした。でも、このお馬さん、写真を撮っている私の方を向いて気にしているかのようです。前髪で目が見えないので、よくわからないですが、もしかしたら働きたくないので、サボる理由を探していたのかもしれませんね・・・(笑)
真面目に働いているところ
二人のお世話人にフォローされて、仕方なく働いているお馬さん。
耕された畑
いやあ、ふっかふかじゃあないですか~!トラクターと違って、土に圧力がかからないので、空気が入ってます。これこそは良い畑ではないでしょうか!
Vieilles Vignes
ラフォンのモンラッシェの樹齢は、80%が1953年植樹(62年)、20%が1972年植樹(43年)。ヴィエイユ・ヴィーニュですから、収量は自ずと低いはずです。
もう少し進みます。
Between Lafon (No.37) & DRC (No.130)
お馬さんはこの小道でUターン。つまり、ここから左がラフォンの畑。その右側がDRCの畑。傾斜は右から左、つまり北から南。
Le Montrachet owned by DRC (No.130 & 129)
ここから先がDRCの区画。ラフォンと同様、東側のクロのぎりぎりまでブドウが植えられています。面積は、No.130、No.129共に16.72a。
DRCの区画(No.130)の終端
DRCの南側区画はここまで。DRCの畑の土も柔らかく空気を含んでいそうです。ただ、上の写真には黄色い葉っぱも見えます。
・・・・・・。
Le Montrachet owned by Domaine Leflaive (No.134)
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ルフレーヴの名前が刻まれた門。門の先の小道がDRCとの境界のようです。それで、右側がルフレーヴの区画です。ルフレーヴの区画面積は8.21aととても小さいです。せいぜい、一樽半と聞いたことがあります。これが本当なら、一樽228Lで計算すると42hl/haということですので、平均的には順当な値だと思います。
Le Montrachet owned by Domaine Leflaive (No.134)
ルフレーヴの区画もふっくらと耕されているようです。
お気づきでしょうか?この写真は、クロ越しに東側から西に向かって撮影していますが、この東側の手前にスペースがあります。ラフォンやDRCの畑のスペースは東側ではなく、南側でしたね。
ルフレーヴの区画の東側スペースからDRC区画を望む
これでわかりますね。ラフォンとDRCの区画の畝は、この写真の奥の方向、つまり南北方向。だからお馬さんは写真の奥に向かって進むのです。ルフレーヴの区画の畝はそれと直行方向、つまり東西方向です。ですから、スペースが東側にあるのです。
これは、モンラッシェの畑の傾斜によります。モンラッシェは南端のラフォンや隣のDRCの畑辺りは南に向かって傾斜(この写真では奥のほうが下に向かって傾斜)していて、それ以外の区画は概略東に向かって傾斜(この写真では左に向かって傾斜)しているからです。所有者はその傾斜に合わせて畝の方向を決めているという訳ですね。
Le Montrachet owned by Domaine Jacques Prieur (No.33)
ここはジャック・プリウールの区画(37.73a)。ここの畝も東西方向。
Le Montrachet owned by Domaine Jacques Prieur (No.33)
この辺はジャック・プリウールの畑の終端、バロン・テナールの畑との境界近くだと思います。
Le Montrachet owned by Domaine Baron Thenard (No.32)
ここはバロン・テナールの区画(74.61a)。これ以外にNo.34(108.70a)も所有しており、トータルで183.31a、1.8ヘクタールもの面積になります。この貴族の方の所有面積はモンラッシェ第二位を誇ります。ちなみに第一位は最後に紹介する畑です。
Between Baron Thenard (No.32) & DRC (No.31)
ここはテナールとDRCの境界。この右側がDRCです。畑の見た目はそれほどは変わらないように見えます。
Between DRC (No.31) & Bouchard (No.67)
ここはDRCとブシャールの境界。そして、この境界はシャサーニュ村とピュリニー村との境界でもあります。
奥の方に車が止まっていて、人々が作業をしています。これについては後ほど。
Montrachet owned by DRC (No.31)
DRCは南端に近い区画(33.40a)と、この中央の区画(34.19a)の二か所を持っているのです(合計67.59a)。よって、DRCはLeflaiveの8倍以上の面積を持っていますので、同様の収量ならば12樽、3800ボトルを造れることになります。このくらいで合ってますかね?
こちらの中央の区画は東西に長く、恐らくモンラッシェ最高の区画だと思います。
この辺から、右半分の区画、つまりピュリニー側(Montrachet)になります。
Montrachet Map (Puligny-side)
ピュリニー側のモンラッシェを見る前に、その上の畑で人々が作業をしているところに出くわしました。
Chevalier-Montrachet La Cabotte (should be No.68)
ここはシュヴァリエ=モンラッシェ・カボット(0.21ha)のはず。となると所有者は単独でブシャール・ペール・エ・フィス。10名近くものスタッフの作業は、たぶん、ここ数日の暖かさで急に伸び始めたブドウの蔓の誘引作業中なのではないかと想像しました。この下がモンラッシェなので、ブシャールの方は連続して作業ができるし、効率的ですね。
で、その作業中の畑の下にあるブシャールのモンラッシェ。
Montrachet owned by Bouchard Pere et Fils (No.67)
ブシャールは本当にいい畑を持っています(88.94a)。モンラッシェのど真ん中です。しかもピュリニー側。造りが同じなら、DRCのモンラッシェと同等、いやそれ以上のものを造れるはずといつも思っているのですが・・・。現段階ではその差は計り知れないほど大きいのだそうです(DRCを知らないので
)。やはり収量と醸造なのでしょうか?なんとなく、植密度が高いような気もしますが・・・。気のせいかな。
Montrachet owned by Domaine Ramonet (No.66)
ここはラモネの区画(25.90a)だと思います。ここもふっかふかです。ここも収量は少ないんでしょうね。
DRC、ラフォン、ラモネ。聞いていた通り、素晴らしい畑だと思いました。
しかし、返す返すも、DRCとラモネに挟まれたブシャール・・・。素晴らしいモンラッシェを生み出すことを期待しています!
Montrachet owned by Regnault de Beaucaron (No.121)
ラモネの北(右)側です。ボーカロンの畑(26.66a)。トラクターのキャタピラーの跡が見えます。そこはやはり土に圧力がかかっているようです。
ボーカロンはルイ・ラトゥール、ルイ・ジャド、オリヴィエ・ルフレーヴにブドウ(またはマスト)を提供していて、自身では醸していないはずです。収量は47hl/haくらいらしいです。
Montrachet Marquis de Laguiche owned by Joseph Drouhin (No.64)
ここはジョセフ・ドルーアンが所有するマルキ・ド・ラギッシュ(206.25a)。2ha超えのモンラッシェの最大区画所有者です。二位のバロン・テナール(1.8ha)とは僅差です。キャタピラーの跡から、こちらもトラクター耕作のようです。まあ、馬では割に合わないほど広いからでしょうか?
Montrachet Marcques de Laguiche owned by Joseph Drouhin (No.64)
ここが有名なマルキ・ド・ラギッシュの門。そして、ここがモンラッシェの北の玄関になります。
こうして自分の足で畑を見てみると、土の色合い、石の混じり具合、生産者によっては畑の耕し方など、色々確認することができました。収量のことまで考え合わせるとモンラッシェは何でも良いという訳ではない、もつなら畑の気に入ったものをもつべきだと、真に思った次第。数量も価格も相当にハードルが高いですが・・・。
さあ、続いてシュヴァリエ=モンラッシェです。と言っても、このクリマについてはモンラッシェのような所有区画の情報を全く知らないので、詳細はありません。
Chevalier-Montrachet
シュヴァリエはモンラッシェに比べて傾斜がきつくなっているのがよくわかります。
Chevalier-Montrachet
ブドウ樹が整然と並びます。キャタピラーの跡が見えます。
枯れ木とエスカルゴ
こんな風に石垣にエスカルゴがいます。土に近い、湿ったところに生息しているようです。
Chevalier-Montrachet
排水溝のついたクロの入り口。こういう簡易的な排水溝はブルゴーニュの色んな畑で見かけます。
Montrachet
ここで振り返ってモンラッシェの畑を見ると、土の色が若干赤身を帯びていることがわかります。土壌に含まれる鉄分の量のせいでしょうか?
Chevalier-Montrachet
そして再度シュヴァリエを見ると、全体的に土の色が白っぽいです。しかも、石ころがたくさん混じっています。見るからにミネラリーな味わいを想像します。
モンラッシェを右手に、バタール方面を望む
マルキ・ド・ラギッシュを右手に、ピュリニーのドモワゼルを左手に見ながら、バタール方面を見る構図。この景色が結構好きです。
Puligny-Montrachet Les Pucelles
ここはピュセルの角。モンラッシェに最も近い区画です。2013年の7月にここに寄った際は、ブドウ樹が完全に抜いてありました。この2年の間に苗木を植えたばかりのようです。
Vignoble Poirier
表札(?)があったので撮影してみましたが、どういう造り手か知りません。
どなたかの門
Domaine Etienne Sauzet
ソゼさんのところでした。ここは一度訪ねてみたいのですが、ここはハードルがかなり高いです。
La Maison d'Olivier Leflaive
ここがオリヴィエ=ルフレーヴのシャンブル・ドット。2009年の2月に泊まりました。これがそもそもブルゴーニュ訪問の最初でした。今でも思い出します。いや、この辺に来たので、何となく再度入ってみたくなり、歩いてきてしまったのだと思います。
ここでタクシーを頼みます。お願いすると、嫌な顔ひとつせず、予約してくれました。何度もTELをかけてくれていたみたいです。ありがたいです。
こんな感じで、お昼も食べずに畑を歩き回っていました。もう、お腹がペコペコです。ボーヌの宿に着いたら、さっそく買い出し。そう、この日はBurgundyさんご夫妻とダイニングでパーティなのです。そう、今回アパルトマンを取ったのは、こんな楽しみ方もできるからなのです。
買い出しをしたお店は、シャルキュートリーのReillard(レイヤール)、フロマージュのAlain Hess(アラン・エス)、ブーランジェリーのAux Trois Epis(オー・トロワ・ゼピ)です。
ここからは簡単に。Burgundyさんが詳細を書かれていますので。
食卓
シャルキュートリーでは、パテを。Burgundyさんがとてもラパンがお好きらしく、3枚も注文されていました(笑) 注文一皿目で、しかもお腹がペコペコ。無理もありません(笑)
Epoisses Fermier de Bourgogne
農夫のエポワス。アラン・エスで最も高級なエポワス。残念ながら若過ぎました。でも、質が良いのは明確でした。ですので、日本に帰る際には買って帰りましたよ。まだ冷蔵庫に残ってますが、結構よく熟成してきています。
Sancerrois、Brie de Meulin、Saint-Marcellin、Comte 24mois
その他のフロマージュは絶品。Burgundyさんに倣い、上から時計回りにサンセーロワ、ブリー・ド・ムーラン、サン・マルスラン、コンテ24か月。
この日はBurgundy家から「食」を、Puligny家から「飲」を出し合いました(笑)
Corton-Charlemagne 2004 Morey-Blanc
白はコルトン=シャルルマーニュ。前日にピエール・モレのところで購入していたボトル。モレ=ブラン、つまりドメーヌモノではなくネゴシアンもの。2004年はGCといえどもかなり熟成している可能性があるので、すぐ飲む用のつもりで購入。ふと、ここで開けるのが良いかも!と思い、持ち帰るのを取りやめて開けました。
確かに、ちょうど良い熟成具合でした。モレさんのコルシャルは初めてでしたが、ネゴスもののためでしょうか、ヴィンテージのためでしょうか、やや力量感に乏しい印象。でも、シェーヴルとの相性は確かに絶品でした。Burgundyさんにも気に入って頂けたようで、何よりです。
Volnay Santenots-du-Milieu 2008 Domaine des Comtes Lafon
これは当日にカヴォー・ド・シャサーニュで購入したボトル。ヴォルネイがなんとなく飲みたくて・・・。お店のお兄さんに、ラフォンのヴォルネイで今日飲んでもよさそうなのはどれ?と聞いたら、これを勧められました。
正直、ちょっと選択ミスでした。ちょうど谷間にあるような感じ(あるいは'08がいまいちなだけ?)。むしろ、比較した'10の方がよかったのかもしれません。もちろん、良いワインなのですが、タンニンの粒の揃い方が気に入らず・・・・。前日のシャルム'07と比べると白屋の赤が良いというのは必ずしも定説ならずと思ってしまいました。Burgundyさんがお気遣い頂きながらもポジティブなコメントを書いてくれたことだけが救いです・・・。
いや、なぜこんなに辛口になってしまったかと言うと、その翌日の最後のドメーヌで開けて頂いたあるヴォルネイが強烈な印象を残したためなんです。これについては、ずいぶん先になりますが、どこかで書きたいと思います。
それはともかく、4人で食卓を囲みいろんな話をして、とても楽しい時間を過ごしました。楽しかったことだけは覚えているのですが、実は話の内容を結構失念しており、「なぜワインを飲むのか」というテーマで話したらしく、いったいPuligny夫は何を話したのか、恥ずかしくてBurgundyさんに聞くことができません、というか聞かない方が良さそうです(苦笑)
翌日は、なんと3件ものドメーヌを訪ねる予定。朝から大忙しです。頑張りまーす。
ブログ更新もゆるゆる頑張りまーす。
つづく・・・。