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Channel: ワイン好き夫婦のおうちワイン日記
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Brut Blanc de Blancs, Pierre Callot

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ピエール・キャロのブリュット・ブラン・ド・ブランを開けました。


アヴィーズのRM。アグラパールの斜め向かい(笑)






薄めのクリーム・イエロー。細かい泡が沢山。


香りは赤りんご、洋梨。トースト香。イースト。クリーム。鉄っぽさ。この鉄っぽさって、以前クロ・ジャッカンを飲んだ際にも感じました。この蔵特有の香りなのかもしれません。


口に含むと、アヴィーズらしく、エレガントと言うより力強い味わい。引き締まった味わい。酸は高め。残糖感は7g/l程度でしょうか?骨太なシャンパーニュにはちょうど良いくらいの甘さだと思います。余韻は、同価格帯のシャンパーニュの中では長い方と思います。





パン(by ブレ・ドール(Blé Doré))

伊勢丹のフードコレクションのところに出店していた葉山のパン屋さん「ブレ・ドール(Blé Doré)」。この場所には週替わりで色んなパン屋さんが来るので楽しみにしています。




カラフルなブロッコリー/カリフラワーとニンジンのサラダ

伊勢丹の地下で見つけたカラフルな野菜。ブロッコリと、白、黄、紫のカリフラワー、そしてロマネスク。それにニンジン。各々茹でて、湖塩とオリーブオイルで。

シャンパーニュとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




銘柄豚のしゃぶしゃぶ

I's meatの銘柄豚。伊達の赤豚の肩ロース、同じく赤豚のばら、そして掛川完熟酵母黒豚のばら。すべて湖塩で頂きました。

赤豚はさっぱりとした味わい。掛黒はいつ食べても美味しいです。

シャンパーニュとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。



さて、明日からブルゴーニュに行って参ります。今回は7軒のドメーヌ、メゾンを訪問する予定にしております。心配は天候。ここのところの日本と違って、ボーヌ界隈の天候は日没後は結構冷えるみたいです。雨も降りやすいみたいだし・・・。でも、今回は現地で合流してご一緒する方がいますので、いつもと違うパターン。とても楽しみです。


さあ、これからパッキング。明日早いので頑張ります。ということで、これまで以上にブログ更新頻度が低下すると思います。


もしかしたら、リアルタイムブログアップしようかな~?無理だと思うけど・・・




飲んだ日:2015.2.21

入手日:2015.2.1

購入店:ラ・ヴィネ

輸入者:恵比寿ワインマート

価格:\5,643

容量:750ml

アルコール度数:12.5%

私達のお好み度: B+~B++ (最高A++、最低C)

飲み頃度:今美味しいけれど、あと3年程度は待った方がベターか。


ブルゴーニュから只今戻りました!

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さきほどブルゴーニュより戻りました。


今回は往復ともに特に問題もなく、順調な旅行でした。まずは、無事に戻れたことに感謝。


先日の記事で、「リアルタイムブログ更新しようかな」などと書いてはみたものの、行ってみると自分的には全く余裕なく、敢え無く断念。期待して頂いていた たけみつ さん、すみませんでした。


一昨年のブルゴーニュ、昨年のシャンパーニュに引き続き、今回ももちろん造り手訪問です。一昨年と同様、ブルゴーニュの造り手と強力なコネクションをもつKさんにまたまたお世話になりました。そして、またまた充実した旅行にすることができました。Kさんには本当に感謝しております。


また、今回はこれまでとは異なり、現地であるご夫婦と合流して一緒にジットに泊まり、造り手を訪問させていただくという、新たな試みを実践してみました。そのご夫婦とは、リヨンにお住まいで、このアメブロで現地からレアな情報を交えた興味深いブログを書かれているBurgundyさんご夫妻なのです。


Burgundyさんご夫妻との楽しいドメーヌ訪問は、少しずつゆっくりと書き綴っていきたいと思いますので、しばらくの間辛抱強くお待ち頂けましたら幸いです(と思ったら、Burgundyさん、もう最初の一軒目を書き始めてますね。早!)。


今日は、本当に簡単に。


まず、今回訪問したドメーヌとメゾンを名前だけ下記しておきます。なかなかでしょう (^O^)/

4/28① Domaine Robert Chevillon @Nuits-Saint-Geroges (Burgundyさんアポ)

4/28② Domaine Buisson Charles @Meursault

4/29① Domaine Au Pied du Mont Chauve @Chassagne-Montrachet

4/30① Domaine Alain Burguet @Gevrey-Chambertin

4/30② Domaine Marchand Frères @Gevrey-Chambertin

4/30③ Domaine de Bellene @Beaune

5/02① Maison Louis Jadot @Beaune


そして最後に、今回の旅行で購入した「戦利品」を載せておきます(すみません。これ、自慢です)。



           戦利品1


今回のワインの量はちと多かったですね。ドメーヌ、ショップ数件から購入。パリのショップではブルゴーニュ以外もゲット。何せ、空のスーツケースでは足りず、箱でも持ち帰ったほど。我ながら常軌を逸していると思います・・・(苦笑)


また、今回はとても美味しいモンマルトルのパティスリー屋さん(近々ブレイクすることになります、きっと)に寄ることができました。また順当なショコラテリエにも寄りました。お土産少々とエクレアの立ち食い(笑)が美味しかったです(笑)


あとはもちろんフロマージュ。タイミング悪く最終日のパリではお店が全てお休みであることが分かっていたので、前日のボーヌで仕入れておきました(保冷剤&保冷袋持参)。



戦利品2


ということで、次回からブルゴーニュ旅行記となります。実は普段のワインと食のマリアージュ記事が大量に残っているはのですが、軽くすっ飛ばさせていただきます。まあ、それでも、いつもの通り、ゆるゆると書き綴って参りますので、ゆるゆるとご笑読のほど御願い申し上げます。

Voyage en France 2015 Paris & Beaune

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改めまして、旅行記始めます。


このGW(4/27~5/5、7泊9日)にブルゴーニュの生産者を訪問してきました。今回の訪問は一昨年に引き続き3回目になります(昨年はシャンパーニュでしたので)。それに加えて、一日だけですがパリの最新の食に触れてきました。


相変わらず「ワインと食」一辺倒のフランス旅行ですが、行けば行くほど知らないことが増え、飽きるどころか、次への期待感が益々強くなってくるようです。


今回のフライトは羽田から。近年、羽田の躍進が凄まじく、成田が霞むほどですが、東京近郊に住むトラベラーにとっては選択肢が増えてありがたいことです。


10:25発のNH215便。朝5時起きして時間の余裕をもって着いたつもりだったのですが、ユーロのexchangeに時間がかかり過ぎ、ラウンジで過ごせる時間が30分足らずとなってしまったのは残念でした。


今回のANAの機材は我々にとっては初めてのBoeing777-300ER STAGGERED。1+2+1の配列でどの席からも直接通路に出られること、フルフラットであることは良いのですが、中央2列の隣の席との間に大型のサイドテーブルがあるために、あまりにパーソナライズされ過ぎていて、我々夫婦のようにフライト中に会話をしたいような向きには凄く不便でした。しかも、CAさんが通路の両脇の乗客を担当することになっているので、中央に座っている二人には別々のCAさんがつくことになり、そのため食事の時間がずれて片方がデセールのときに片方がまだアントレのような場面もありました。ですから、旅程の確認の会話もままならず、しかも乾杯もできませんできませんでした。この点ががっかりでした。まあ、隣の人とあまりお話したくないような場合と、一人での出張には最高なシートですけどね。


それから、前述のサイドテーブル。色々置けて便利なのですが、特に枠がある訳でもないので、着陸直後の急減速時に置いたものが前に飛び出てしまいます。周りでもバサバサっと音がしたので、皆同じだなと思って笑ってしまいました。また、席前の収納スペースも有難いのですが、今度は離陸直前の急加速時に荷物が自分の方に出てきてしまうのです。シートベルトをしながらの態勢で、飛び出してきた荷物を足で蹴り蹴りして戻そうとするのは、なかなか大変な作業でした。


って、文句ばかりですが、最新の機材にこんなに不満を持つのはあまりないケースですね。


食事のレベルは相変わらず良いと思います。でも、前回とあまり変わり映えがしなかったので説明は省きます。シャンパーニュはアンリオのスーヴェラン。ちょっと前まで提供されていたシャルル・エドシックの方が好みですが。帰国便ではふんだんにお代りができたのですが、この出国便では最初の一杯は飲めたものの、二杯目の時は既に品切れ。パリでボトルを積み込んだため、パリ発は良いとしても、復路の日本発の時にはなくなってしまったということのようです。日本でも追加で積み込んで頂けることを期待します。


そして、いつもの「そらとん」。



そらとん


昨年初めて食べてとても美味しかったので、今回も往復ともに頼みました。お店で食べる「赤丸新味」から赤い辛味味噌を取り除いたバージョン。チャーシューは流石に頂けませんが、他は特に問題はなく、機内で食べられるラーメンとしてはベストだと思います。他の多くの乗客の皆さんも食べてました。というのも、これを頼むと機内にラーメンの香りが充満するので、「あ、誰か頼んだな」というのがわかるのです。


今回はシートのお蔭で夫婦の会話も少なく、Puligny夫は専ら普段見ない映画に没頭してしまい、フルフラットの恩恵に預かることなく・・・。そして、この何の気もない行動が旅の間中の睡眠不足のきっかけとなったことは、後になってから思い知ったのでした。


そうこうしているうちに、パリ・シャルル・ド・ゴール空港には定刻通りに到着。



           CDG空港にて スーツケースのオブジェ



こんなものが入国審査後の通路の傍らに置いてあるのがフランス的?


入国審査は、他国に比べると超いい加減なフランスも、昨今の世情を反映して流石にちょっと厳しくなったのか、窓口の前はかなりの行列ができていました。ところが、いざ審査の段になると、いつものように顔もろくに見ないでパスポートのいい加減な場所にいい加減にスタンプを押す、いつものスタイルでした。今回は既にきれいに押してあった以前の入出国のスタンプを踏みにじるかのうように無造作に押してありました。ですから、なんで行列ができていたのか、よくわかりませんでした(苦笑)



今回は、行きの羽田が慌ただしかったので、羽田での大掲示板のフライトインフォメーションを撮影し損ねたのです。ですので、これが唯一撮ったインフォメーション。荷物受取りのサインですが(笑)






ここはCDGの中で一番好きな風景。





今回は、前回のようにパリで一泊することなく、このまま一気にボーヌへ移動することにしました。ボーヌへの行き方にはいくつか選択肢があったのですが、今年のパリ市内はより物騒じゃないかとか勘ぐって、市内には行かずにCDGから直接出るTGVに乗ることにしたのです。ちなみにフランスでの電車のチケットは皆Burgundyさんにお願いして手配していただきました。ありがとうございましたm(u_u)m


飛行機の到着は16:00頃でしたが、TGVの発車時刻は19:58。手荷物を受け取ってもまだ3時間以上も余裕があります。パリのリヨン駅などから出るTGVなら、もっと早かったのですけどね・・・。


ということで、どこで時間を潰そうかと思って事前に調べたのですが、日本の空港と違って、パリの空港って時間を潰せるところがほとんどないのです。それじゃあ、近くのホテルに行って早い食事でもしてしまおうということになりました。そこで、自動運転シャトルの「CDG VAL」に乗り、Terminal2で下車。そこからすぐのところにある、Sheraton Paris Airpot Hotelへ。実はTGVがここから出るので、とても便利なのです。




食事と言っても、機内でたらふく食べているのでそれほど食べられる訳でもなく・・・。となると、レストランは避けて、1階のバーで軽食にするのがベター。


いうことで、Bar Galaxyへ。


バーですから夜には忙しくなるようですが、夕方の頃は閑散としています。だからなのでしょう、5時から7時まで、グラスワイン2杯を5ユーロで飲めるサービスをやっていたのです。おお、これはラッキー!この日はボーヌに行くだけが仕事の我々には、もう怖いものはありません(笑)


じゃあ、早速頼んでみよう!


まずは、白。うーん、と。お、アンリ・ブルジョワのサンセールと知らない生産者のシャブリがあるぞ。じゃあ、最初の2杯はこの二つで。それぞれ、サンセール、シャブリらしい味わい。軽やかでよろしいです。おつまみとして、大量のピーナツの入った容器がどかんと置かれます。これはとてもじゃないけど、全部食べ切れません。


お次は・・・。おっとプロヴァンスのロゼがあるな。グルナッシュとシラーの混醸。造り手はChateau D'Esclans・・・知らないけど。それと、3杯目の白はカリフォルニアのシャルドネ。まあまあかな。それより、店員さんがおしゃべりに忙しく、ワインを注いだグラスを手に持ったまま、そのおしゃべりが終わるまでこちらに運んでこないのです。そのおしゃべりが終わると、やっと思い出したかのようにこちらにグラスを持ってきます。そのグラスには香水と思われる香り付き(苦笑)


ああ、日本じゃありえない光景。この国では日常の風景ですね。






次は赤にしてみよう。


まずはブルゴーニュに敬意を表して、JadotのCouvent des Jacobins。もう一杯はスペイン・リオハからMarques de Riscal Reserva。両方とも有名なのでよく知ってます。ブル赤はヴィンテージの記載がないけど2011かな?しかし、うーん、これはいかん。これは飲まない方がよかった。別に劣化している訳ではないけれど、全く選果していないかのような味わい。ジャドのこれってこんなんでしたっけ?リオハは流石に安定した味わい。こういうラフでいい加減な感じのバーではボルドーやスペイン、イタリアあたりがハズレがなくていいですね。




お次は・・・ってまだ飲むんですかい?まあ、一杯60mlなので4杯ずつは大したことないですね。頼んだのは、ボルドーはベサックのChateau Lagardeと、イタリアのRosso di Montalcino。Castello Banfi。おお、結構良さげなワインがありますね。


しかし、Rosso di Montalcinoは品切れとのことで、Lagaradeを二杯分。ボルドーもなかなか安定していて、こんな場面には相応しいワインだと思いました。ただ、この最後のボルドー、リミット時間の7時前に頼んだはずだったのに、サービス価格ではなく通常価格をしっかり取られてました。後で説明を求めたら、グラスが大きいからとか訳のわからない回答。大したことでもないし、何しろお疲れ状態だったので、粘らずに諦め(苦笑)


さて、食べたのはサンドイッチだけ。ワインでお腹が一杯になりましたので(笑)




食べかけ、失礼しました。さすがはパリ。ロンドンで同じことをすると、こんなサンドイッチでも完食できないと思います。


TGV出発の20分前くらいになりましたので、ホテルを出てエスカレーターでそのまま下に降りると、もうそこはプラットフォーム。4番線かな6番線かな?


もう20時になろうとしている時間ですが、フランスはこんなに明るいのです。しかし、気候は肌寒く、ダウンやコートを着ている人が沢山。逆に出国前の東京は20℃超えのTシャツの気候でしたよね。





TGVがVoie6 にやってきました。19:58発。これに乗って、まずはディジョンへ。



ディジョン着は21:43でした。ここまでは順調です。


次はディジョン発22:12に乗るんだったな。出発までまだ30分もあるなあ。それで22:40にボーヌに着くって訳か。まあ長旅だけど、着いたらシャワーを浴びて寝るだけだから、良しとしましょう。


えっと、乗換えは・・・。何番線?


ええっと、ボーヌ行きだから、上から3つ目のChalon sur Saone行きに乗ればいいんですよね♪知ってる、知ってる(^^♪


で、プラットフォームの表示は、「C」でもなくて、「E」でもなくて・・・。なんだこの電車みたいなマークは?駅員さんに聞いてみようっと。それで、そばにいた女性の駅員さんに英語で尋ねると・・・。何か真剣な表情で説明し始めます。どうやら「電車がない」って言っているみたいです。わからないなという顔をしていると、「じゃあ付いてきて」って我々を促します。荷物があるのでエレベーターを使いながらその駅員さんに付いていくと、そこは駅の出口じゃないですか!なぬ?電車がないからタクシーにでも乗れっていうんですかい?!だって、表示にはちゃんと時刻が書いてあるじゃないですか。いったい、どういうこと?と言うと、説明困難と思ったのか、「ちょっと待ってて」と事務室へ。そこからお兄さんを連れてきました。お兄さんは英語が話せるみたい。


お兄さんによると、この22:12というのは電車ではなくて、駅前に発着するバスだとのこと。で、もう一度表示を見直すと、ははーん、なあるほど。これ電車じゃなくてバスの絵だったんだ。へえ。TER409623は電車じゃなくて、バスね、バス。


何それ(`ε´)という気持ちは残りましたが、そのバスに乗れば何とかボーヌには辿り着けるだろうという安心感が勝り、素直にバスを待つことにしました。


バスはほぼ定刻にやってきました。同じバスに乗る人が結構沢山いることがわかりました。そのうちの若い女性二人組に、これってボーヌに行くよね?と聞いたら「ウィ」と答えてくれました。運転手さんが荷物用の扉を開けてくれます。日本のように荷物を入れてはくれないので、スーツケースを自分で荷室にしまい込みます。


ボーヌに向けて何とか出発です。しかし、この電車代行バス運行ってのが曲者。すべての電車の駅に停まるのです。まあ、電車の代わりですから当然と言えば当然。つまり、


ディジョン駅 (Gare de Dijon)

  ↓

ジュヴレ=シャンベルタン駅 (Gare de Gevrey-Chambertin)

  ↓

ヴージョ=ギリ=レ=シトー駅 (Gare de Vougeot-Gilly-les-Citeaux)

  ↓

ニュイ=サン=ジョルジュ駅 (Gare de Nuits-Saint-Geroges)

  ↓

コルゴロワン駅 (Gare de Corgoloin)

  ↓

ボーヌ駅 (Gare de Beaune)


というルートを、鉄道と並行しいる幹線道路D974をしばらく走っては、途中で下りては各駅に立ち寄るということを繰り返すのです。だから、時間がかかるかかる!ヴージョ駅では、敷地が狭いためなかなかUターンができずに、何十回も切り替えしをしたりしていました。途中で乗客が降りたのはニュイ=サン=ジョルジュ駅(一名)のみ。もちろん、各駅でこのバスに乗ってくる人など一人もいません。しかも夜中だったので、ブドウ畑の景色など見えるはずもありません。とても不安ではありましたが、唯一、ジュヴレ=シャンベルタン駅のそばで、ドメーヌ・シャルロパン・パリゾの大きな建物を見つけたときは、ああ、ここはジュヴレだ、方向間違ってないなと安心したのでした。こうして、4つの駅に立ち寄りながらの小旅行を期せずして「楽しむ」ことになったのでした。


そして、ボーヌ駅に到着。時刻は23:30。電車だったら22:40だったんですけどね。ここでほとんどすべての乗客が降りました。たった一人残っていましたが、ムルソーにでも行くのでしょうか?ホテルは駅から歩いて10分程度のところなので、もちろんスーツケースをゴロゴロ転がしながら歩きます。途中、脇を走っていた車が「どこ行くの?乗せて行こうか?」と声を掛けてくれたのですが、フランスに来て間もないのでちょっと警戒して「すぐ近くだから大丈夫。ありがとう」と答えちゃいました。ボーヌに悪い人はいないはずなんですけどね。ホテルでチェックインして部屋に入ると、もう24時になっていました。荷物を出したり、シャワーを浴びたりしていたら、床に就くのが2時くらいになっていました。


ということで、初日の長旅がやっと終わりました。日本で朝5時に起きてから、既に28時間が経過していたのでした。


さて、翌日はゆっくり起きて、さっそくのドメーヌ訪問です。楽しみです。



つづく・・・。

Domaine Robert Chevillon, Nuit-Saint-Georges

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前日の28時間に亘る長旅の翌朝。


ボーヌの朝はさわやかです。雲は出ていてひんやりとしていますが、湿度が低く、緑が美しい。


初日に泊まったホテルは、Ibis Styles Beaune Centre。駅から近いし、建ったばかりのモダン&シンプルなホテル。中は結構綺麗でしたから、狭いことを苦にされなければ、一泊程度ならまあお勧めしてもいいかなと思います。朝食付きで、この朝食が良かった。クロワッサンやパン・オ・ショコラ、ヨーグルトも美味しかったし、シリアルなどもあります。マシーンのカフェもまずまず。圧巻は搾りたてのオレンジジュースマシーン。丸ごとのオレンジをそのままマシーンに入れていくと、自動的にジュースが出てくるのです。どうやら、自動でオレンジを半分にカットし、スクイーザーが搾っていく仕組みのようです。これは優れもの。日本では見たことがなかったです。




ホテルの部屋からボーヌの街を望む


さあ、いよいよこの旅の本番が始まります。


前々回の記事でも書きましたが、今回我々と行動を共にして頂いたのは、Burgundyさんご夫妻。一昨年のブルゴーニュ訪問がリヨン経由でしたので、リヨンのショップやレストランについて質問させて頂いたのがお知り合いになるきっかけ。詳細な情報をご丁寧に教えて頂いたのでとても助かりました。それで、お礼がてらにお会いした際に ― 短時間だったのですが ― 我々夫婦と(一回り半もお若いけれど)何となく似ているなと思ったり、お二人で異国の地で頑張っておられる姿を拝見して応援したいなと思ったり、お仕事も理系で若干の類似性があったり、もちろんワインの趣向も一致したりしているので、次回は是非ご一緒にとお誘いしていたのでした。昨年のシャンパーニュ訪問はお互いの都合が合わなかったので、今年のブルゴーニュ訪問にターゲットを当ててかなり前から綿密な計画を共にに立ててきた、という訳です。


今回のブルゴーニュ訪問に関しては、訪ねるドメーヌ、宿、レストラン、移動方法等々沢山決めることがありましたが、お互いにやり取りしながらしっかりと積み上げていきました。そして、最後に旅程表を共有して、この日を迎えたのでした。


さて、最初に訪ねるドメーヌは、Robert Chevillon(ロベール・シュヴィヨン)。ニュイ=サン=ジョルジュの王様(R. Parker Jr.)と言われる有名ドメーヌ。Burgundyさんとどんなドメーヌに行きたいかの案を出し合った際の有力候補の一つ。このドメーヌでのランデヴーのアポはBurgundyさんにやって頂きました。実はドメーヌとのランデヴーの成功確率はそう高くはないのですが、いきなりのヒット。シュヴィヨンの価値は高いので、ドメーヌが逆指定してきた時間を最優先に受け入れました。


行きたいと思っていたドメーヌですが、実はここのワインを飲んだのはいつのことだったか、ほとんど記憶がありませんでした。ですから、是非予習しようと思い何本か購入しました。しかし、飲み頃のものは2012年のACブルくらいしかなかったので、これだけでもと思って飲んでみたところ、ニュイらしい高いトーンとレジオナルとは思えない丁寧な造りに吃驚。やはり凄い造り手だと再確認し、楽しみにしていました。



朝10:00頃にホテルで待ち合わせした我々4人は、ホテルで取ってもらったタクシーで一路NSGに向かったのでした。ボーヌとNSGは近いので、ものの20分で到着。約束の11:00にはまだ少々時間があります。でも、この日の予定は結構詰まっていたので、早めに門を叩いてみます。



           Domaine Robert Chevillon


とても良く手入れがされている、きれいなドメーヌです。ブルゴーニュはきれいにしているドメーヌが多いと思いますが、ここは特にきれいです。


この日相手をして下さったのは、現在ドメーヌを運営しているシュヴィヨン兄弟の弟であるベルトランさん(主に醸造を担当)。お兄さんはドゥニさん(主に栽培を担当)といいます。ちなみに、ロベールさんはこの兄弟のお父さん(2003年に引退)。


この蔵ではフランス語が堪能なBurgundyさんご夫妻を中心に(アポを取って頂いたということもあり)やり取りして頂きました。


醸造所の中庭ではどなたかが高圧で石畳の床の水洗浄をしています。かなり塩素臭がしたので、消毒でもしていたのかもしれません。かなりの綺麗好きと見ました。


ベルトランさんは早速デギュスタシオンの準備を始めてくれます。




     セラー入口前でグラスとスピットーンを準備してくれるベルトランさん


ドメーヌの成り立ちや詳細についての説明は特にありませんが、ドメーヌのウェブサイト を初め、色々なところに記載されています。ざっくりと書くと、13haの全ブドウ畑(ACブルやアリゴテまでも)がNSG内にあり、トップキュヴェ用ブドウの樹齢は平均70年という理想的なヴィエイユ・ヴィーニュ。自然な造り。100%除梗で、低温浸漬、自然酵母での発酵等々。


ベルトランさんは、我々に二つ折りの小さなテイスティングカードをくれました。そこには、アリゴテ、ブル白、村名白と、ロゼ、パストゥーグラン、ブル赤、村名赤と、8つのプルミエ・クリュ、そしてヴァン・ムスー、マールとフィーヌという全ラインナップが記載されていました。



整然としたセラー


とても綺麗で塵ひとつないセラー。さて、このセラーの中でデギュスタシオンです。


なんと、樽(2014年産)から試飲させてくれるとのこと。プルミエクリュを含む下記の赤を出してくれました。


(1) Nuit-Saint-Georges Rouges Vieilles Vignes 2014

(2) Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Roncieres 2014

(3) Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Cailles 2014

(4) Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Vaucrains 2014


マロラクティック発酵が完全に終わった(リンゴ酸がほぼなくなった)キュヴェとのこと。このタイミングでこれだけのキュヴェをテイスティングできるのは幸せです(笑)


ベルトランさんのコメントも交えて、各キュヴェの感想を簡単に書くと・・・


まず、2014年はほっこりと温かい味わいだと思いました。そして、


(1)のっけから、素晴らしい味わい。ドメーヌらしいトーンの高い味わいで、土臭くなくエレガント。

(2)(1)に比べて濃厚で、マチエール(構成要素)が多い。さすがはプルミエ・クリュ。

(3)ここからスケール感がアップします。甘くふくよかで優しい味わい。ややぽっちゃりとした女性のイメージ。ベルトランさんもフェミナンな味わいだと。でも、熟成ポテンシャルのあるキュヴェらしく、後味にはしっかりとしたタンニンが感じられます。

(4)飲んだ瞬間、美味しいと叫ぶ。大きなスケール、複雑性、しっかりとした骨格。実にマスキュラン。こういうワインが我々夫婦は好みであることを、再認識。Burgundyさんは、カイユの方がお好みのようで、ちょっと違って面白いですね。


(3)と(4)は隣接したクリマなのに、この味わいの違いに驚きます。まるで、(3)はVosne-Romanee、(4)はGevrey-Chambertinであるかのようです。それは、(3)が下、(4)が上の位置関係のため、(3)は粘土質(アルジロ)が優勢、(4)は石灰質(カルケール)が優勢だからということのようです。だから石灰質土壌好きな我々は(4)が好みだったのです。さもありなん。こんな違いを経験すると、NSGにも益々興味が出てきます。


ベルトランさん、さらにボトルを一本開けてくれました。エチケットを貼っていないドゥミ・ブティーユ(ハーフボトル)。それは・・・


(5) Nuit-Saint-Georges 1er Cru Les Pruliers 2012


好きな'12産。このプルリエはとてもフルーティ。凝縮感のある味わいは、低収量のためかもしれません。後で知ったのはここも石灰質が豊富な土壌とのこと。石灰質好きだから特に美味しいと思ったのかも。



デギュスタシオンはこれでおしまい。名残惜しさはあるけれど、我々のような素人相手にここまでやってくださったベルトランさんに、ただただ感謝。



           美味しかったでしょ?とベルトランさん


ネットで知った情報ですが、1892年にニュイの村名(ニュイの後に続くクリマ名を何にするか)を決めるときに、レ=サン=ジョルジュとヴォークランが最後まで競ったので、もしかしたらこの村の名前が「ニュイ=サン=ジョルジュ」ではなく、「ニュイ=ヴォークラン」になったかもしれないという話があります。そこで、それを英語で言ってみたのですが、全くわかってもらえずしょぼん、レ=サン=ジョルジュはグラン・クリュになりそうだという話にすり替えられてしまいました。


そうなんです。INAOがこのレ=サン=ジョルジュのグラン・クリュ昇格については真剣に考えているようなのです。巷ではもうそれが既成事実のようになりつつあり、レ=サン=ジョルジュだけは既に価格が高騰しているとか・・・。さあ、この昇格話はどうなることでしょう。


できれば、ここでレ=サン=ジョルジュを購入したかったですが、我々には売ってもらえず。生産本数が2000本と少ないですので、致し方なし。それでも、La Cabotte という地元のレストランには卸しているそうです。後で調べてみたら、2010年産がリストオンされていました。我々が買えたのは、レ・カイユとヴォークラン2011。もちろん、我が家が買ったのはヴォークラン。ヴォークランだって年産4000本だそうですから、ラッキーでしょう。でも、一軒目なので飛ばさないように、一本だけ購入(笑)


キャップシールをはめるベルトランさん

ベルトランさん、最初は赤いキャップをはめて、「お、間違えた」と言って取り外し、黒いキャップに付け替えました。赤いキャップはどうやら古いヴィンテージのワインのようです。黒キャップと同様、エチケットも黄色から薄い黄色に変更しているようです。手持ちでは、'05が赤キャップ/黄色エチケットですが、'11以降は黒キャップ/薄黄色エチケットに変更されています。





醸造所内のラベル貼りと梱包作業箇所


憧れの生産者を訪ねることができたし、樽試飲もできたし、ヴォークランを買うこともできたし・・・。幸先の良いスタートです。




ドメーヌの中庭


このドメーヌ、とても整理整頓が行き届いていて、その心はワインの味わいにも反映されているように思いました。ベルトランさんにお土産を渡しながらお礼を言って、ドメーヌを後にしました。




我々4人はそのままNSG駅まで歩いて向かいます。駅までは1.7km程度。天気も良いので気持ちいいです。



Domaine des Hospices de Nuits-St-Georges 途中にこんなところを見掛けました。ここ何ですかね?オスピス=ド=ニュイでもないし。しかも、ドメーヌって?



ニュイ=サン=ジョルジュ駅

ここがニュイ=サン=ジョルジュ駅。ボーヌとディジョンの間の駅の中では大きい方です。プラットフォーム間の移動は地下でも陸橋でもなく、普通に線路を跨ぎます。



あちらの方から、次の目的地であるMeursault(ムルソー)に向かう電車が来ます。12:35発。どうやら、時刻通りに電車が来たようです。




ムルソー駅

ローカル電車です。20分足らずの移動時間でしたが、途中で体格の良いマダム車掌さんがチケットの検札に来ました。なんか、とても威圧感がありました。もし無賃乗車でもしたら、無事に帰ることはできないだろうな・・・と思いました。Burgundyさんのお話では無賃乗車の場合は高額のペナルティが取られるらしいです。日本とは違いますので、もし初めてヨーロッパに行かれる方がいらっしゃいましたら、お気を付けください。


12:54、ムルソー駅に着きました。電車が行ってから、線路を渡って出口に向かいます。



我々が乗っていた電車

このローカル電車は、プラットフォームと電車の床面との段差がないので乗降し易いです。一部のTGVやTER(中長距離)は段差が大きいので、スーツケースを持っていると非常に大変です。線路に対してプラットフォームが低いのが原因かとは思うのですが、何とかなるはず。早いところ全車両直して欲しいと思っています。


ムルソー駅を出たら、徒歩でムルソーの街に向かいます。2.5kmの道のり。30分程度のウォーキング。




とあるドメーヌ

ウォーキングの途中で、Burgundyさんが気付いたとあるドメーヌ。




Domaine Coche-Dury

ここから車が出ていきました。ちょうど1時過ぎだったので、ランチにでも行ったのでしょうか?




ムルソー村の中心部近く

知っているドメーヌあるかな?聞いたことがあるのは5つくらいでしょうか?



Eglise St. Nicolas(聖二コラ教会)

教会がありますから、ここがムルソーの中心部ですよね。



Château fort de Meursault (Hôtel de ville de Meursault)

14世紀頃にムルソー城だった建造物。19世紀にはホテルとして使われたらしいです。現在は何に使われているのでしょうか?


そろそろデジュネ(ランチ)の時間です。とても天気が良かったので、パンやサンドイッチでも買ってピクニックでもしようかと話していましたが、ブーランジェリー(パン屋さん)が開いておらず・・・(ブーランジェリーは営業時間が短いところが多いんですよね)。仕方がないので、どこかのレストランかブラッスリーに行くことにしました。


どこに入るか迷いましたが、選択肢もあまりないので、目の前のテラスで何組かが食事をしているレストランに入りました。Burgundyさんの記事によると、l'Hôtel du centre à Meursault に併設されているレストランだったそうです。


頼んだのは、4名ともEntrees(アントレ:前菜)とPlats(プラ:メイン)。皆それぞれ頼んだので、Burgundyさんの記事を併せれば、全部のお皿が見れます(笑)


以下、我が家が食べたものです。料理の名前はメモらなかったため、適当に付けました。すみません。



テリーヌ

Puligny夫のアントレ。何のお肉のテリーヌだったか忘れましたが、やや強めの味わいで美味しかったです。



トマトとフェタチーズのサラダ

さっぱりとしたサラダ。こちらはPuligny妻。




ハムとジャガイモのグラタン エポワスのソース

Puligny夫のプラ。このグラタンが美味しかった。エポワスのソースはコクがあってリッチ。ワインが欲しくなりましたが、我慢、我慢(笑)




ハムとマッシュポテト シャルドネソース

こちらはPuligny妻のプラ。Burgundyさんも同じもの。シャルドネソースはワインの酸がかなり効いていたので、きっと大量に使っているのでしょう。ブルゴーニュの白だったのでしょうか・・・?だったらそう言うはずですからねえ・・・。違うのかな?Puligny妻曰く、個人的にはジャンボンでなくて、ヴォライユ(鶏)が良かったなあ・・・と。


この後、Burgundyさんがトライするも、生産量が少ないからという理由でランデヴーが叶わなかったPierre Morey/Morey Blancに立ち寄りました。そこで数本のワインを購入。Burgundyさんが予めワインリストを入手してくれ、ワイン購入だけはできるように手配しておいてくれたのです。モレさんの娘さん?が対応してくれました。




           ムルソー中心部からヴィラージュの畑を望む

この先に、Le Tessons(ル・テッソン)などの村名畑があります。

次のドメーヌ、Buisson Charlesでのデギュスタシオンの約束時間は16:00。その時間まで、ムルソー村を散歩します。



つづく・・・。

Domaine Buisson-Charles à Meursault

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ドメーヌ・ビュイッソン=シャルルでのランデヴーは16:00の約束。


定刻に敷地に入っていくと、狭い敷地に車が4台も止まっています。先客がいるようでした。我々が門のところで待っていると、パトリックさんの奥様のカトリーヌさん(先代のミッシェルさんの娘さん)が出てきてくれました。一昨年同様にニコニコされながら・・・。何でも、直前の訪問者のデギュスタシオンがまだ終わっていないとのこと。ここの後に予定が入っていなければ、30分後に来て欲しいと言います。おお、盛り上がってるなあ。ここが本日最後のランデヴーだから問題ないですよ、待ってます。それで、離れの物置き小屋に荷物を置かせてもらい、また外に出ました。後で聞いたら、パトリックさんの友人でリヨンから来たお医者さんだったとのこと。相当なワインラヴァーで、車の中を覗き込むと、名だたるドメーヌから箱買いしたワインが10箱以上積んでありました。


周辺で時間を潰してドメーヌに戻ってきました。あれ、まだ車がいます。でも、間もなくそのリヨンからの訪問者のお二方とパトリックさんが出てきました。パトリックさんはその二人との挨拶もそこそこに我々4人と対応すべく、再び下のカーヴに入っていきます。我々もその後を追います。




「フランス語かい?英語かい?」


あ、あの、英語でお願いします。(もともとKさんから英語だって聞いてらっしゃるはずじゃないですか~。)


「なんで英語なんだ?ここはフランスなんだぞ!」


あは、あはは。英語ですみません。


って、このやり取り、一昨年とセリフまでほとんど同じですよ!まるでリハーサル済みの演劇のようです。ああ、わかった!実はパトリックさん、これが決まり台詞だったんですね!きっと、イギリスやアメリカからの訪問客にも同じようなこと言ってからかっているのでしょう。


でも、今回はBurgundyさんご夫妻という秘密兵器を連れてきたのでフランス語はOKなんですね~。パトリックさん、その前のリヨンの友人達と過ごしてとても楽しそうだったし、Burgundyさんがフランス語が話せて、しかもリヨン在住と聞いて、とても嬉しそうにしていました。まあ、いずれにせよ、今回のパトリックさんはとても機嫌が良いです。


そういえば、一昨年の訪問時は、あの2013年夏の雹害の数時間後でした。そりゃあ、機嫌が良い訳がないですよ



セラー内

ここのセラーも、一昨年同様きれいです。


今回も樽試飲をさせてくれるとのこと。でも、今回は4月末。一昨年の7月との大きな違いは、ほとんどのキュヴェがマロラクティック発酵が終わっていないこと。ですから、試飲アイテムは二種類だけでした。仕方がないですね。


例によって、几帳面なパトリックさんはピペットを水道水で念入りに洗います。


(1) Bourgogne Chardonnay Hautes Coutures 2014

(2) Chassagne-Montrachet Premier Cru La Romanee 2014


やはり2014年ヴィンテージは温かい味です。


(1)はムルソー村のレジオナル区画から造られるACブル。前回、2012年産を樽試飲させていただいたし、日本でも数回ボトルを飲んでいますが、その2012年に比べると酸が低くて太目の味わいです。2014年は2012年よりも暖かかったためと思います。マロが終わったばかりで落ち着いていないためか、やや雑味を感じます。


(2)は初めて。買いブドウで造られたキュヴェ。シャサーニュの一級の中では最も標高の高いクリマの一つ。このキュヴェはその中でも中腹の区画とのこと。確かにテクスチュアがシャサーニュっぽい。まだまだ暴れがありますが、良い血筋を感じる味わい。


後述しますが、パトリックさんはムルソーとヴォルネイ、ポマールの自社畑ブドウからだけではなく、シャサーニュ2種、ピュリニー、コルシャル、シャブリからの買いブドウでも造るネゴシアンものもリリースしているのです。



ボトル試飲アイテム


続いて、2013年産のボトル試飲です。一本だけ2009年産。


(3) Bourgogne Chardonnay Hautes Coutures 2013

(4) Meursault Vieilles Vignes 2013

(5) Chassagne-Montrachet Premier Cru La Romanee 2013

(6) Meursault Premier Cru Les Charmes 2013

(7) Meursault Premier Cru En Bouches-Cheres 2013

(8) Meursault Premier Cru La Goutte d'Or 2013

(9) Volnay Premier Cru En Santenots 2013

(10) Volnay Premier Cru En Santenots 2009

(11) Chablis Grand Cru Vaudesir 2013


いやあ、ここのデギュスタシオンも凄かったです。やはり、パトリックさんのムルソーは思った通りエレガント。典型的なムルソーは四角くゴツい味わいですが、パトリックさんはその角に丸みを持たせて、マイルドかつなめらかに仕上げていると思います。ご本人からも、エレガントなワインを目指しているという言葉を聞けました。こちらも本当にそう思っているので、激しく同意。


そして、パトリックさんの2013年の酸は、よくある上滑りするような酸ではなく、高いけど落ち着いた酸だと思います。確か、どこかに書いてあったのですが、ヴィンテージの割に比較的遅めのタイミング(2013/10/1-10/5)ながらも貴腐が付かずに良い状態で収穫できたようで、その意味でバランスが良かったのでしょう。2013年は大変なヴィンテージでしたね、自分達が前回訪問した日に激しい雹が降ったんですと話しかけると、「ああ、そうだったね。2013年の畑仕事は大変だったよ。でも、その分醸造には苦労しなかった。」

この言葉には納得するものがあります。優れた造り手の仕事のほとんどは畑仕事で決まると言います。その年なりのベストなブドウをいかに育て収穫するかが重要で、醸造はそれを淡々とこなすだけだと言う意味だと思います。


(3)は、2014年に比べて、いや2012年に比べてもスリムで酸があります。パトリックさんもそうだと。3年、5年、10年とキープして飲んでみたいと言ったら、「それは可能だね。でも、10年待つならプルミエ・クリュでしょ。」


(4)は、当然ですが、(3)よりマチエール(構成要素)があります。今回は樽試飲はありませんでしたが、2年前にはVVと超VVのそれぞれの樽から飲ませて頂きました。そのことを言うと、「ああ、それはラッキーだったね。それって7月だったよね?それができるのはその時期だけだよ。」


(5)は、(2)とヴィンテージ違い。やはりシャサーニュらしい味筋。ボトリングされているこちらは落ち着きがあって美味しい。シャサーニュ好きのPuligny妻のお気に入り。パトリックさん曰く、「シャサーニュで最も良い畑。」


(6)は、言わずと知れたシャルム。パトリックさんのシャルムの区画はCharmes dessus(デュス)。つまり、クリマの中では上部に位置するので、むしろペリエール的な味わい。しかし、やはりシャルム、ボディのワインです。厚みがあってゴージャス。


(7)は、非常に出来が良いと思いました。繊細、エレガント、かつ強さも兼ね備えたムルソー。無垢な味わい。ミネラルを感じるので、(6)のシャルムよりもよりテロワールを感じさせます。これはかなりレベルが高いのではないかと思います。


(8)は、2012年の樽試飲時の我々のベストムルソー。しかし、2013年はやや膨らんだ味わいで2012年ほどの味わいではありません。パトリックさん曰く、「グット・ドールが良いとジャーナリストは言うけれど、自分のベスト・クリマはブーシュ=シェールだよ。」


なるほど、確かに・・・。2012年のベストはグット・ドールでしたが、2013年のベストキュヴェはブーシュ=シェール(あとはシャルム)ですね。この違いを確かめるためにも、再度このキュヴェを追ってみたいと思った次第。


(9)は、記憶がほとんどないのですが、メモが残っていました。フレーズ(苺)のアロマ。高いトーンの(高音の効いた)味わい。'13は重心が高いです。


(10)は(9)のヴィンテージ違い。低音。低重心。果実。凝縮。'09は好みの違いはありますが、良いヴィンテージだと思います。


(11)も買いブドウから。これは最後に飲んだのか、途中で飲んだのか、記憶が定かではありませんが・・・。でも、これは美味しかった。極めてくっきりとした構造を持っていて、ミネラルが豊富。ムルソーのプルミエ・クリュを立て続けに飲んでも、このシャブリ・グラン・クリュは全く見劣りしません。実はパトリックさんはかなりのシャブリ好きとのこと。そんなパトリックさんが造るシャブリが美味しくない訳がありません。


ちなみに、買いブドウで造るネゴスものを全て書くと、シャブリのヴォーデジール(GC)、シャサーニュのラ・ロマネ(PC)、アン・レミリー(PC)、ピュリニーのル・カイユレ(PC)、コルトン=シャルルマーニュ(GC)と、超豪華なラインナップ。そして、2014年からはシャブリのレ・リス(PC)が加わるとのこと。レ・リス、いいじゃないですか!北向き斜面のシャブリらしいシャブリ。敢えてヴァイヨンを名乗らないパトリックさんのレ・リス、楽しみです。



ここからが、お楽しみ?のパトリック・ワールド!


パトリックさんは古いボトルを手に取り、注いでくれます。おお、これはラッキー。



Meursault Le Tessons 1988

ル・テッソン(ヴィラージュ畑名付き)の、なんと1988年!直前の訪問客のために1時間前に開けたとのこと。何でも、パトリックさんが初めて自分の手で造ったヴィンテージなんだそうです。それはそれは思い入れのあるヴィンテージなんでしょうね!前回の訪問時(あのときはヴォルネイ・サントノ1986)に引き続き、今回も貴重な古いワインを供して頂いたのです。パトリックさんに感謝!


ワイン自体は、たった1時間前に抜栓したのにやや下り坂のように感じました。よって、飲み頃の頂点は若干過ぎていたのでしょうが、まだまだ十分に生きています。余計なものがなく、輪郭がブロードになっています。香りには栗きんとんが出ています。これを英語で伝えきれずに、マロンと言ったら、「そうだね。でも、マロンというか、シャテーニュだね*。」


(*注:マロン(Marron)もシャテーニュ(Châtaigne)もフランス語ですが、一般的に栗を表すのはシャテーニュとのこと。日本の栗のようにイガの中に2,3個の種子が入っているものです。マロンとは実際は栃の実のことだそうですが、イガの中に1個の大粒の種子が入っているものをそう呼ぶとの解説もあります。でも、シャテーニュを原料とした加工食品をマロン○○と呼ぶこともあるとのことで、結構わかりづらいですね。)


1988年のムルソー・レ・テッソンが飲めるとは!いや、実に良い経験をしました。


そうしたら、さらに凄いサプライズが!


パトリックさん、我々の職業について質問した後、年齢も聞いてきました。Puligny夫は'65と言うと、俺は'62だよ。うん、'65は持ってるぞ~と。そして、Burgundy夫妻の年齢を聞いた後、何やらボトルが積まれているラックに向かってゴソゴソやって・・・。


「お、あった。」と言って、取り出したのは・・・。



          Meursault Premier Cru En Bouches-Cheres 1984


おー ヾ(@^▽^@)ノ


なんと、ブーシュ=シェールの'84じゃないですか!実はこれはBurgundy夫さんの生まれ年なのです。

いや、バースデイヴィンテージを開けてもらうなんて、なんて羨ましい!いいなあ!

ていうか、自分だって一緒に飲んでますやん! (ここで関西弁を使う意味はないですが)


いや、このブーシュ=シェール'84が素晴らしかった!状態は極めて良好。生き生きしています。凄い生命力です。一切の余計なものが削ぎ落とされ、味わいの中心に凝縮された球体が浮かび上がる・・・。先ほどの'88のル・テッソン(抜栓が1時間違いはしますが)との比較において、ヴィンテージとテロワール(クリマ)のどちらが支配因子なのかについての答えがここにあると思いました。


'84って、行けてないヴィンテージだったはず。しかも31年もの・・・。パトリックさんに、どうしてこんなに素晴らしい状態をキープできているのかと聞くと、一に温度、二に湿度、三に遮光とのこと。そして、このカーヴの温度が一年間に8℃から17℃まで緩やかに変化するのが良いのだと考えているとのこと。


きっと、ボトルの中のワインも生き物。冬や夜は寒く、夏や昼は暑いことを経験することで成長していく。常に同じ温度では惚けてしまって、結局老けてしまう・・・。ということではないでしょうか?実はこれ、師匠に教わっていたことなんですけどね。まさか、パトリックさんのような造り手から同じ話を聞くとは思ってもみませんでした。



この時点でほぼ、18:00になろうとしていました。16:30から始まった豪華なデギュスタシオンもとうとう終わりです。


最後に、ここのワインが買えるのか聞いてみたところ、少量ならばOKとのこと。一昨年は全く在庫がありませんでしたが、あの時は7月。早めに来ると良いことがあるんですね。それでは、ということで、Burgundyさんと少しずつ購入することにしました。



           エチケット貼り



箱詰めとお品書き

ワインを詰めた箱にはパトリックさんがワインの名前を書いてくれます。




           お待ちどうさま

超楽しそうなパトリックさん。


じゃあ、名残惜しいけれど、そろそろ帰りますね。では、タクシーを呼んで頂けませんか?


「どこまで行くの?」


ボーヌです。


「ん、じゃあ俺が送って行ってあげるよ!ボーヌなら近いから。」


えーっ!良いんですか?!ありがとうございます。


まさか、あの車じゃ・・・?実は、ドメーヌに止まっていた車の中で一台気になる車があったのです。きっとお客さんの車じゃないと思っていたのですが、途中でパトリックさんの車であることがわかりました。ナンバーにブルゴーニュのマークがついていたし。パトリックさん、お客さんがワインを買ってくれたお蔭だと思ってる・・・と。



パトリックさんの車

この車でボーヌまで送ってくれるというのです。すご~いニコニコ

まさに、スーパータクシー!!わかる人にはわかりますよね、この車。同じ車種はブルゴーニュに2台しかない(もう1台はマコンらしい)そうです。


パトリックさんの運転で、ボーヌまでの道のりは極めて快適。素晴らしい加速。まあ、ブルゴーニュの人は皆結構飛ばすんですけどね。普通のタクシー含めて。


ということで、あっという間にボーヌに到着。スーツケースを預けてあったHotel Ibisの駐車場まで格好良く送り届けてくれました。ちょっと、このホテルには似合わない車だったかも(笑)


パトリックさん、本当にありがとうございました。数々のデギュスタシオン、88と84の素晴らしい白。そして、ボーヌまでのスーパータクシー。ここまでして頂いて、ファンにならない訳にはいきません。というか、既に2年前からファンになっていますけどね。


後でメールでお礼を書いたら、「Kさん(今回アレンジして頂いた)の友達は僕の友達さ。」という返事でした。Kさんには本当に感謝しなくてはいけないですね。ありがとうございます。



我々は、この後、宿泊先を移動します。我が家としては初めてのGite(ジット)。そう。そこは、自炊のできるアパルトマンなのです。



つづく・・・。

Caveau des Arches, Restaurant à Beaune

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ビュイッソン=シャルルのパトリックさんにボーヌのホテルまで送って頂いた我々は、フロントに預けていたスーツケースを受け取り、宿泊先を移動しました。


円形のボーヌの街の中を、スーツケースと購入したワインが入ったとローリーケースなどを転がしながら歩きます。目的地の宿までは高々800m。Rue d'Alsace(アルザス通り)から市街地に入り、Place Carnot(カルノ広場)に出たら、Rue Carnot(カルノ通り)、Place Monge(モンジュ広場)、Rue de Lorraine(ロレーヌ通り)に。目的地はこのロレーヌ通りの終端、市街地の外周道路にぶつかるところにあります。そこで目立つ建造物といえば、



            Porte Saint-Nicolas

 

 

ポルテ・サン=二コラ。ここは、ニュイの方向への玄関となっています。ニュイに行くにはこの先のRue du Faubourg Saint-Nicolas(フォーブール・サン=二コラ通り)、つまりD974をそのまままっすぐ行けばよいのです。



ボーヌ市街地の地図 (パンフレットを撮影)



宿はこの位置からそのまま右手。その名も、Apartment Porte Saint-Nicolas。いわゆる、貸し部屋みたいなものです。


Burgundyさんとご一緒することが決まってから、選んだのはホテルでもなく、シャンブル・ドット(B&B)でもない、自炊ができる宿。1月に入ってすぐに色々調査した結果、4人が泊れて快適そうなところを見つけました。



Apartment Porte Saint-Nicolasの入っている建物 

 
 

グーグルマップのストリートビューで仮想体験していたお蔭で、入口を見つけるのがとても簡単でした。青い扉の左にあるのがキーボックス。事前に聞いていた暗証番号を入力して、中に入っている鍵を取り出します。


こういう宿をGîte(ジット)と言うのではないかと思っていましたが、改めて調べてみると、正確には違うようです。本来ジットとは、自炊の宿ではあるのですが、オーナーが近くに住んでいて、色々な対応をしてくれるところとあります。しかし、こちらのオーナーはオーストラリア人とのことで、フランス人夫婦が管理している宿。そして、管理者の方とはメールでやり取りしただけで、結局顔を合わせることがありませんでしたので、正確にはジットではなく、貸アパルトマンということなのでしょう。



Apartmentの見取り図

                                             ウェブサイトから借用しました

それでは内装です。



キッチン

 

このキッチンとダイニングで楽しい晩餐会をやりました。その模様は何回か後の記事で。



リビングダイニング

 

広くて快適でした。




TVとディスプレイ

 
 

Life is too short to drink bad wine.

人生は短い。まずいワインを飲んでいる暇はない!と言ったところでしょうか。きっと、そのオーストラリア人のオーナーはワイン好きの方なんでしょうね。まあ、ボーヌに物件を持っている自体、そういうことですね(笑)



CD

 

オーナーの趣味と思われるCDとプレイヤー。これを勝手に使います。が、あまり趣味が合わず、ほとんど使いませんでした。




食器棚

 

さすがはボーヌのアパルトマン。ワイングラスの充実さはすごいです。デキャンタ、シャンパーニュ、テイスティング、ボルドー、ブルゴーニュと揃いに揃っています。もちろん、ブルゴーニュグラスを使いました。しかし、これが薄くて割れやすいので閉口しました。ちょっと置きそこなって、コテッと倒れて一脚割れ、そして翌日手で洗っていてもう一脚割れ。Burgundyさん夫妻が滞在中は食器洗い機を使っていたので割れませんでしたが、その後は二客も割ってしまいました。



次にベッドルーム。



            ベッドルーム1

 

 

こちらはPuligny部屋。部屋もバスルームの広い方を使わせていただきました。Burgundyさんありがとうございました。



            ベッドルーム2

 

こちらはBurgundyさん部屋。




食器洗い機

 

大きいです。繰り返しますが、ワイングラスは手で洗わないでここで洗うのが正解。洗剤は固形。妙な赤い丸いポッチが付いた直方体の洗剤をセットするだけ。結構きれいに洗えましたよ。




            洗濯機

 

これはキッチンの流しに向かって左にあります。欧州はドラム式しかないくらい、このタイプが主流です。上は乾燥機。




バスルーム

 

いや、実はバスタブがあって快適そうですが、水が全く流れなかったので、結局使わず。




そろそろ、ディネの時間が近づいてきました。この日は買い出しする余裕がなかったので、レストランに行くことにしていました。Caveau des Arches(カヴォー・デ・ザーシュ)というレストラン。ここの予約はBurgundyさんにお願いしました。ここでのディネの様子は、Burgundyさんがすでにアップされてますので、そちらも併せてどうぞ。




Caveau des Arches

 

左のエントランスを入って、すぐ右手の階段を降りると、地下にレストランがあるのです。17世紀に造られたアーチ状のカーヴを改造してレストランにしたようです(1992年)。カヴォーというのは、小さなカーヴ(ワインのセラー)という意味と、小さな家という意味があるようです。こちらは前者の意味ですね。ノルマンディー出身のマーク・ガンティエさんがシェフ。



            ダイニングへのエントランス

 

左手がワイン保管庫。ここはワインのリストがなかなか凄いのです。



レストランの中 (レストランのウェブサイトより借用)




グジェール

 

この地方では欠かすことのできないグジェール。レストランによって特徴があります。


まずは、食事選び。実は事前にレストランのウェブサイトからカルテもムニュも見ることができるのです。我々4人はフランス人に比べると圧倒的に小食なので、ア・ラ・カルトにします。ここのレストランには、スペシャリテ・ブルギニョンなるものがあるので、ブルゴーニュ初日に相応しく、これにしてみます。三種類を二皿ずつ頼み、これを4人でシェア。Puligny家の方は旅の疲れもありガンガン行くほどでもなし。Burgundyさんも結構満腹とのことだったので、かなり控えめに。選んだお皿は白ワインで行けるもの。敢えて、赤用のお皿は選ばず。


次に、ワイン選びです。ワインリストもウェブサイトから見ることができたので、大体頭に入れてありました。不確定要素は、デギュスタシオン後の我々のお腹の空き状態でしたが、やはり、控えめにするとのことで白一本に絞ります。



            Meursault-Charmes 2007 Domaine des Comtes Lafon

 

すみません。予想の範囲内で(笑)

日本に比べると圧倒的にリーズナブルなので、つい選んでしまいました(笑) ラフォンって、日本での人気が異常なほどですが、フランスではそこまでの異常さはありません。ここでリストオンされているラフォンで一番古いのが実はこのシャルムの2007。本当は'05以前があれば良かったのですが、'07もそろそろ良いかもと思って。


色合いはまだ若く、まだまだ熟成の初期過程であることが見て取れます。香りはお馴染みのラフォン香。本当にこの造り手の白ワインの香りの高貴さは他に比類がありません。ブドウ自体の質、熟度、最高級の樽、トースト加減の詳細な指定など、大変なコストをかけているのだろうなと思いました。味わいは思った以上に開いています。8年目ですから第一の飲み頃の範囲なのだろうと思います。やはりシャルムらしさがあります。ムルソーのしっかりとしたコアを分厚い果実が包んだ、厚みのある味わい。'07ヴィンテージは気温が高く雨の多い年でしたが、この造り手の白に関しては、酸は高過ぎず濃度も濃過ぎない、ちょうど良い塩梅で、早く飲んでも違和感のないヴィンテージだと思います。



Véritable Persillé de Bourgogne, Crème légère à la Graine de Moutarde

 

いわゆるジャンボン・ペルシエ。今回このボーヌ滞在でかなり食べたように思います。これは第一弾。取り立てて目を見張るほどの味わいではありませんが、十分に美味しいと思います。



Poêlon de Douze Escargots de Bourgogne, à l’Ail et aux Noisettes

 

エスカルゴも結構食べました。今回は畑のクロ(石垣)に張り付いているエスカルゴも見たし、親近感を覚えました(笑) ここのエスカルゴはまあまあだったと思います。本当は殻のままのエスカルゴを専用の鋏で挟んで食べたかったのですが・・・。まあ、エスカルゴはソースですね。ここのソースは程々に良かったので、ワインとも合わせ易かったと思います。



Filet de Volaille à l’Epoisses « Berthaut » Pâtes Fraiches

 
 

ヴォライユ、つまり鶏肉ですが、部位はむね。きめ細かな肉質がシャルドネの質感と合います。パサつきがちな肉なのでソースが必要な訳ですが、ここのソースはベルトーのエポワスを使った極めてリッチなソース。食べてみると、重た過ぎるくらい重いソースです。現代風、つまりモダンフレンチではなく、伝統料理であることがよくわかります。


このお皿に合うブルゴーニュは、シュヴァリエやペリエールではなく、バタールかシャルムです(とか言って、他も合いますよ、きっと)。でも、この日はムルソーの日でしたから、シャルムにした・・・というのが選定基準。相性はかなり良かったとは思いますが、思ったよりソースが濃厚だったので、シャルムも'07ではなくて'09辺りにすべきだったかと思いました。




            カフェ

 

皆さんお腹が一杯の様子だったので、デセールは頼まず。カフェで〆。




ミニャルディーズ

 

白いのはマシュマロ、ピンク色のはメレンゲクッキー。結構普通。レストランとしてはもうちょっと気が利いたほうが良いかも、と思いました。


20:00に始まり、22:00でお開き。他の客はまだまだ宴たけなわ。我々は明日のこともあるので、初日は飛ばさずに宿に戻ることにします。


さて、濃厚な一日が終わりました。明日からも、ドメーヌ訪問が続きます。また、アパルトマンでの晩餐なども楽しみです。




つづく・・・。

Domaine Au Pied du Mont Chauve à Chassagne

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二日目の朝は少々余裕があったので、宿から少し歩いてブーランジェリーで朝食の調達。オー・トロワ・ゼピという日本のガイドブックに紹介されていたブーランジェリーです。ちょうどクロワッサンが焼きあがったりして、一番美味しいところを食べられました。いやあ、朝ブーランジェリーで買った焼き立てのクロワッサンを食べるの、憧れだったんですよね~。


さて、デギュスタシオン。二日目はシャサーニュの造り手です。


ボーヌからシャサーニュまでは15、16km程度。しかし、シャサーニュには電車が通っていないので、タクシーで行くしかありません。BurgundyさんにタクシーをTELで呼んで頂き、アパルトマンの前で待機します。しかし、なかなかタクシーはやってきません。再度確認のTELを掛けて頂くと、「今出たよ。」とのこと。まさに、「蕎麦屋の出前」状態。


蕎麦屋の出前といえば、昨年のシャンパーニュ、アンボネイでも同じようなことがありました。あの時は、10分で来ると言っていたのが結局1時間も待たされました。まったく!


今回のボーヌのタクシーは、15分遅れて初乗りの基本料金よりもメーターが上がった状態で到着。そして、シャサーニュで支払った金額は、(正確には比較できませんが)帰りに使った別のタクシーよりも明らかに高かったのでした。シャサーニュに着いてから迷ってウロウロした分もしっかり取られていたんですね。ボーヌにもよろしくないタクシーがあるということで、気を付けないと・・・。日本からの旅行者には難しいですけどね。


タクシー遅れましたが、余裕をもって行動していたので、時間には間に合いました。



Chateau de Chassagne-Montrachet

オー・ピエ・デュ・モンショーヴは、シャトー・ド・シャサーニュ=モンラッシェを経営するピカール・ファミリーが有するドメーヌ。2010年が初ヴィンテージの新進気鋭のドメーヌ。




塀の中の畑

何とも、余裕のありそうな生産者です。


そういえば、シャトー・ド・ムルソーやポマールもそうですが、頭に「シャトー」がつくドメーヌがいくつかありますよね?あれって、なんか共通点があるのでしょうか?各村の貴族などの有力者が立ち上げたドメーヌとか?でも、クロ・ド・ヴージョやショレイ・レ・ボーヌは違うと思いますが・・・。


ここは、Kさんにご紹介頂いた際にはドメーヌの名前すら知らなかったのですが、調べてみたところ、現醸造責任者の方とは会ったことがあることが判明。その方とは2009年にメゾン・二コラ・ポテル(ニュイ=サン=ジョルジュ)を訪ねた際 の醸造責任者のFabrice Lesne(ファブリス・レーン)さんだったのです。


それなら、またファブリスさんに会えるぞと期待していたのですが、出てきて下さったのは、Marc Bosch(マルク・ボッシュ)さんという方。試飲担当の方のようです。とても流暢な英語を話される方で、ワインはもとより、ウイスキー、日本酒にまで博識をもっておられました。


簡単な挨拶の後、まずはドメーヌや醸造についての説明をして頂きました。

ピカール・ファミリーはコート・シャロネーズに100ha、コート・ド・ボーヌに35haを所有。このコート・ド・ボーヌの35haのある部分をオー・ピエ・デュ・モンショーヴが醸造しているとのこと。


醸造についての内容をざっと書くと・・・、


白ワインは発酵前に、低温浸漬(8~10℃)を10時間(最大16~17時間)を行う。(発酵が樽かステンレスかは確認せず。) 樽熟成。


赤ワインは100%除梗。低温浸漬(8~10℃)は約1週間(3~9日)実施。それを21~22℃に上げて自然酵母により発酵開始。発酵期間は3~4週間。選果が重要であり、善者の自然酵母が付いている果実を選び、悪者のバクテリアが付いた果実を避ける。発酵中は、温度制御により26~28℃に保つ(制御しないと40℃以上になってしまう)。発酵中の果帽と果汁接触作業としては、ルモンタージュを2回/日実施(終盤には1回/日に減らす)。(ピジャージュをしないのかどうかは確認せず。)その後、自然流下したワインと、圧搾したワインを別々に樽熟成。熟成期間は10~18か月。


樽はアリエ産の228Lがメイン。他に500Lの中樽(サン=トーバン・ピタンジュレなど)や、2280Lの大樽(サン=トーバン・ル・シャルモワ・ブランのみ)を使う。輸入代理店のウェブサイトの情報では69hL(6900L)と書いてありますが、そんなに大きくはありません。2280Lが正しいと思います。この大樽、ざっと見た感じでは6樽ありました。



次にカーヴにて熟成中の樽を見せて頂きます。このドメーヌでは、樽試飲はありませんでした。




            カーヴ


こちらは古い方で、たしか11世紀に造られたカーヴ。他の新しい方のカーヴでも14世紀に造られたそうなので、かなり古いカーヴということになりますね。



色とりどりのフレームをもつアリエ産熟成樽

別に意味があって色が付いている訳ではなさそうですが・・・。



アーチ状カーヴ

このアーチ状のカーヴというのは、シトー派修道院が建立したタイプだったかな?



地下カーヴの天井に付いている穴

ここから発酵済みのワインが流れ出てきます。カーヴにある樽に自然流下で入れる仕組み。



Puligny-Montrachet le Demoiselles 2014

ピュリニーのドモワゼルも造っています。これはいいですね。2014年は3樽。ご存知の通り、ドモワゼルはカイユレの一部で、モンラッシュ・マルキ・ド・ラギッシュに道一本で隣接した区画。この区画の直上がルイ・ジャドやルイ・ラトゥールがモンラッシェ同等かそれ以上に重視するシュヴァリエ=モンラッシェ・ドモワゼル、ですね。




2280Lの大樽と説明してくれたマルクさん

大樽を使うのは、オークの香りを付け過ぎないようにするため。ル・シャルモワ・ブランのミネラル感を重視するためのようです。ちなみにこの大樽、完成品を地下に運ぶのは大き過ぎて困難とのことで、カーヴ内で組み立てるとのことです。




Corton Grand Cru Clos des Fietres 2014

コルトンも造っているんですね。グラン・クリュはこれと、コルトン・シャルルマーニュとのこと。



レセプションルーム

多目的ホール的な空間。ここで結婚式もできるとのこと。ちなみに、収容人員は100名程度だったかな?





オブジェ

館内には芸術家のオブジェなどが期間限定で展示されています。我々が訪ねたこの期間は、あのシャニーの三ツ星レストラン、ラムロワーズの娘さんである、Isabelle Lameloise(イザベル・ラムロワーズ)の風刺に富んだ面白い作品が展示されていました。



さて、それではそろそろ試飲です。


ここは、一般の訪問者を受け入れて有料でデギュスタシオンをしているので、試飲アイテムやスタイルは決まっているようです。


まずは軽いアペリティフから。



テイスティンググラス


           Mercurey Premier Cru Clos du Paradis 2012


コート・シャロネーズから、メルキュレイ。これはオー・ピエ・デュ・モンショーヴのワインではなく、ピカール・ファミリーが所有する別ドメーヌ(Domaine Voarick)のもの。



           Chassagne-Montrachet En Pimont 2011


シャサーニュの畑名付きのヴィラージュ。



           Chassagne-Montrachet Concis des Champs 2011


こちらは最後に出たシャサーニュの赤。CCM(シャトー・ド・シャサーニュ=モンラッシェ)もののようです。



テイスティングコメントは下記にまとめて記載します。(1)はDomaine Voarick、(2)~(4)はDomaine Au Pied du Mont Chauve、(5)はDomaine Chateau de Chassagne-Montrachetです。


最初は白。


(1) Mercurey Premier Cru Clos du Paradis 2012

アペリティフに相応しいワイン。すっきりと軽やかな味わい。今回の3日間に亘ってテイスティングしたシャルドネの中で最も軽やか。コート・ド・ボーヌとコート・シャロネーズの違いですね。シャロネーズのワインに関しては感度がないので、コメントが異様にシンプルです(苦笑)


(2) Chassagne-Montrachet En Pimont 2011

これは実は出発前に一本開けていました。その時と印象は変わらず。シャサーニュで最も標高の高いパーセル(手持ちのワールド・アトラスでは色付けされていない)らしく、かなりミネラル側に寄ったシャサーニュ。2011の割にヴォリューム感は少なめ。細身のワイン。


次の4種類はシャサーニュのプルミエ・クリュ。標高違いの4種を選び、標高が高い順に並んでいるとのこと。基本的に標高が高いほど石灰質が豊富で、標高が低いほど粘土が多くなってくるということです。


試飲は一人一種類ずつ。ワインは自動サーバーに入っています。今風ですね。


ワインの名称の後に記載した()内はワールド・アトラスで調べたクリマ毎の斜面の向き、傾斜、標高範囲です。a, b, c は地続きのクリマ。d は少し南側に離れたクリマ。


(3a) Chassagne-Montrachet Premier Cru Les Chaumees 2010 (東向/急斜度/265-310m)

これはBurgundyさんご夫妻が試飲。冷涼感のある味わいと想像。何故か不明ですが、これだけ2010だったですよね?


(3b) Chassagne-Montrachet Premier Cru Les Vergers 2011 (東向/中庸斜/253-270m)

Puligny妻。石灰質優勢。ミネラル重視の綺麗なワイン。エレガント。


(3c) Chassagne-Montrachet Premier Cru Les Chenevottes 2011 (東-北東向/緩斜/240-253m)

Puligny夫。クレイが多くなっていることに対応し、フルーティーさとボディが強調されています。バランスの良い味わい。


(3d) Chassagne-Montrachet Premier Cru La Maltroie 2011 (東向/中庸斜/238-258m)

これはBurgundyさんご夫妻が試飲。cとdは標高範囲はほとんど同じ(dの方が500m程度南)ですが、こちらの方が低めの区画なんでしょう・・・。


大きく分けるとaとb、cとdなのでしょう。しかし、絶対値というより程度問題だと思いますので、a~dを一人の人がテイスティングしないとその違いを実感するのは難しいと思います。


以下二種は赤です。


(4) Saint-Aubin Premier Cru Pitangeret 2011

シャサーニュとサン=トーバンの両村にまたがるアペラシオン。こちらはサン=トーバン側。冷涼なピノ。相当タニックで強靭な味わい。熟成重視とのこと。そういえば、つい最近ルイ・カリヨンのピタンジュレ1990を飲みましたが、好い感じでした。


(5) Chassagne-Montrachet Concis des Champs 2011

こちらもタニックですが、フルーティー。黒果実的なフルーツ。



Burgundyさんの記事にはもっと詳しくコメントが書かれていますので、そちらもご参照ください。



以上で終了。


ロベール・シュヴィヨン、物凄かったビュイッソン=シャルルのデギュスタシオンで幸運に慣れてしままっていましたが、このくらいが普通なのかも。


マークさんにお土産を渡して、ドメーヌを後にしました。フランス人のみなさんはお煎餅が好きなんですよね(笑)



これから予定しているのは、近くにあるワイン屋さんでのワイン購入(デギュスタシオン付き)と、ピュリニーの畑の散策です。


まずはワイン屋さんへ。



シャサーニュの街角

ブルゴーニュでは街角にこのようなドメーヌ名の書かれた立て看板があります。知っているドメーヌがどのくらいあるか数えてみるのも楽しいです。




Domaine Michel Niellon

そして、突然よく知っているドメーヌを見かけたりすると、嬉しくなります。ここはミッシェル・ニエヨン。ここを訪ねるのは難しそうですが・・・。


ちょうどそのとき車が門の前で止まって、おじいさんが中に入っていきました。あれ、そういえば、あのおじいさん、ネットでみたニエヨンさんに似ていたなあ・・・。




ワイン屋さんはすぐ近くにあります。


エントランスの写真取り忘れ(苦笑)今回の旅行、写真の撮り忘れが多く、今後の記事に大きな影響を及ぼしそう(泣)


ワイン屋さんの名前は、Caveau de Chassagne(カヴォー・ド・シャサーニュ)。この場合のカヴォーは小さなカーヴということですね。1986年に作られた地元ワインを中心にしたワイン販売所。Burgundyさんから、ここは結構なセレクションをテイスティングさせてくれながら売ってくれると聞いていたので(ワインリストも入手して頂いて)、楽しみにしていました。


席に着くと、早速店員の方がテイスティングさせてくれます。おっと、いきなり凄いです。

(注:50ユーロ以上の買い物をするのが前提。しない場合は確か10ユーロかかったと思います。)




白4種

左からダヴィド・モレのピュリニーのフォラティエール'12、マルク・コランのシャサーニュのカイユレ'13、ミシェル・コラン=ドレジェのシャサーニュのアン・レミリー'13、フォンテーヌ=ガニャールのシャサーニュのクロ・デ・ミュレー'13。全てプルミエ・クリュ。





     Chassagne-Montrachet Premier Cru Boudriotte 2012 Noël Ramonet


順番は前後しますが、赤はノエル・ラモネのブードリオット。いい赤です。

ドメーヌ・ラモネとドメーヌ・ノエル・ラモネの違いが今一つわかっていませんが・・・。



ここで購入したワインは、どなたかのエシェゾー'11とどなたかのクロ・ド・ヴージョ'96、それから、その日に開けるつもりのどなたかのヴォルネイ'08でした(その日の分はもちろんDFなし)。



      Volnay 1er Cru Clos des Chenes 2011 Domaine Fontaine-Gagnard


ワインを購入してDuty Freeの手続きに手間取っていたので、お店の方が気を利かせて「何か他に飲む?」と言って選ばせてくれました。かなり気前が良くて驚きました。


こちらはヴォルネイの銘醸畑、クロ・デ・シェーヌ。今回は良いヴォルネイとの出会いが多かったのですが、これもそのうちの一つに入るかな?



Marc de Bourgogne Domaine Ramonet

先ほどの気の利く店員さんが、「面白いのがあるよ。」と出してくれたのが、マール。しかもラモネのマールだそうです。これ、普通には売っていないですよね。なお、ヴィンテージは失念。


マールを飲むのはほとんどありませんが、美味しいですねえ。蒸留酒なので相当にキツイですが、やはりブドウを原料とするお酒、ウイスキーとは異なり飲み慣れた(笑)飲みやすい味わい。丸みがあって複雑で立体感のある味わいは、ラモネだからかわかりませんが、とにかくワイン屋さんで想像もしなかったサプライズでした。



我々は、この後ピュリニーに向かって、歩きます。我々夫婦にとっては、ブルゴーニュに来るたびに必ず立ち寄る畑。またあそこに行きます。今回は歩いてくまなく回ってみたいと思っていました。Burgundyさんにお付き合い頂けるので、楽しさ倍増です。



つづく・・・。


Le Montrachet, Montrachet & Chevalier Montrachet

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ブルゴーニュ旅行記の続きです。やはり更新頻度が低下してきましたしょぼん


ボーヌ滞在3日目。オー・ピエ・デュ・モンショーヴのデギュスタシオン、カヴォー・ド・シャサーニュでのデギュスタシオンとお買い物の後の話です。


カヴォー・ド・シャサーニュを後にした我々は、畑巡りをするために、そのままピュリニー村に向かって歩きます。目指すはもちろん、ブルゴーニュに来るたびに必ず立ち寄ってしまう、シャサーニュとピュリニーの両村にまたがるあの憧れの畑。



シャサーニュの街の出口近辺

街はこの辺で終わり。シャサーニュの畑はまだ続きますが、ピュリニーの畑はもうすぐそこです。



シャサーニュの街の出口近辺からピュリニー村を望む

そうです。中央に見えるあの白い道筋の辺り・・・。




Le Montrachet

これがル・モンラッシェ。シャサーニュ側の畑です。


でも、モンラッシェの大物は上の写真には一部しか写っていません。詳しくは下記の地図で確認しながら、歩きながら撮影した写真で見ていきます。





2002年作成のモンラッシェの各区画の所有者(手持ちの地図をカメラで撮影)

所有者を勝手に書き込んでます。そう、大物と言えば、DRC、Ramonet、Lafonを筆頭に、希少なLeflaive、ど真ん中のBouchard、最大面積のDrouhin辺りでしょうか?この辺の生産者の区画を中心に見ていきます。





ル・モンラッシェの畑に近づく

もうすぐでル・モンラッシェの畑の南端に到着するところです。大きな車が止まっていますね。





大きな車

お馬さんを乗せてやってきたトラックでした。そのすぐ後ろの畑でお仕事があったようです。掛かっている看板には、「動物牽引によるブドウ畑仕事」と書いてあります。へえー。最近こういうビジネスが出てきたんですね。こういうビジネスは、生産者の方に需要があるでしょうね!



その前に、モンラッシェの畑の手前の畑をちょっと見ておきましょう。




Chassagne-Montrachet Premier Cru Blanchot Dessus

ル・モンラッシェの南端と道一本隔てて隣接する稀有な畑にも拘わらず、あまり評価されていない(と思われる)プルミエ・クリュ。2009年2月に雨の中を散歩していた際、この畑が水浸しでした。そのとき、なるほどと思いました。逆に北側で隣接しているLes Demoisellesドモワゼル(カイユレ)は高い評価を受けています。




Criots-Bâtard-Montrachet


ここはブランショ・ドゥスの向かい、モンラッシェの斜め向かい。クリオ=バタール=モンラッシェです。ここのワインは結構好きです。ミニ・モンラッシェという感じ。2000年のフォンテーヌ=ガニャールが印象に残っています。



さて、モンラッシェです。まずは、シャサーニュ側(Le Montrachet)の地図から。



Le Montrachet Map (Chassagne-side)




Le Montrachet owned by Domaine des Comtes Lafon (No.37)

ここがモンラッシェの南端。ドメーヌ・デ・コント・ラフォンの所有(31.82a)。ブランショ・ドゥスとの間の小道の境にクロ(石垣)があります。このクロと畑までの間隔は2-3mあります。貴重なモンラッシェの畑、こんなスペースはもったいない、全部畑にすればいいのに、って思いますよね?でも、これは耕作するために入る車などが止まったりUターンするのに必要なスペースだと思うのです。その代わり、隣の辺、つまり写真の右手はクロのぎりぎりまで畑になっています。




こちらを窺うお馬さん

あのトラックのお馬さんは、このラフォンの畑で耕すお仕事を委託されていたのでした。でも、このお馬さん、写真を撮っている私の方を向いて気にしているかのようです。前髪で目が見えないので、よくわからないですが、もしかしたら働きたくないので、サボる理由を探していたのかもしれませんね・・・(笑)




真面目に働いているところ

二人のお世話人にフォローされて、仕方なく働いているお馬さん。




耕された畑

いやあ、ふっかふかじゃあないですか~!トラクターと違って、土に圧力がかからないので、空気が入ってます。これこそは良い畑ではないでしょうか!




Vieilles Vignes

ラフォンのモンラッシェの樹齢は、80%が1953年植樹(62年)、20%が1972年植樹(43年)。ヴィエイユ・ヴィーニュですから、収量は自ずと低いはずです。



もう少し進みます。




Between Lafon (No.37) & DRC (No.130)

お馬さんはこの小道でUターン。つまり、ここから左がラフォンの畑。その右側がDRCの畑。傾斜は右から左、つまり北から南。




Le Montrachet owned by DRC (No.130 & 129)

ここから先がDRCの区画。ラフォンと同様、東側のクロのぎりぎりまでブドウが植えられています。面積は、No.130、No.129共に16.72a。



DRCの区画(No.130)の終端


DRCの南側区画はここまで。DRCの畑の土も柔らかく空気を含んでいそうです。ただ、上の写真には黄色い葉っぱも見えます。


・・・・・・。

          Le Montrachet owned by Domaine Leflaive (No.134)

         

ルフレーヴの名前が刻まれた門。門の先の小道がDRCとの境界のようです。それで、右側がルフレーヴの区画です。ルフレーヴの区画面積は8.21aととても小さいです。せいぜい、一樽半と聞いたことがあります。これが本当なら、一樽228Lで計算すると42hl/haということですので、平均的には順当な値だと思います。




Le Montrachet owned by Domaine Leflaive (No.134)

ルフレーヴの区画もふっくらと耕されているようです。


お気づきでしょうか?この写真は、クロ越しに東側から西に向かって撮影していますが、この東側の手前にスペースがあります。ラフォンやDRCの畑のスペースは東側ではなく、南側でしたね




ルフレーヴの区画の東側スペースからDRC区画を望む

これでわかりますね。ラフォンとDRCの区画の畝は、この写真の奥の方向、つまり南北方向。だからお馬さんは写真の奥に向かって進むのです。ルフレーヴの区画の畝はそれと直行方向、つまり東西方向です。ですから、スペースが東側にあるのです。


これは、モンラッシェの畑の傾斜によります。モンラッシェは南端のラフォンや隣のDRCの畑辺りは南に向かって傾斜(この写真では奥のほうが下に向かって傾斜)していて、それ以外の区画は概略東に向かって傾斜(この写真では左に向かって傾斜)しているからです。所有者はその傾斜に合わせて畝の方向を決めているという訳ですね。




Le Montrachet owned by Domaine Jacques Prieur (No.33)

ここはジャック・プリウールの区画(37.73a)。ここの畝も東西方向。



Le Montrachet owned by Domaine Jacques Prieur (No.33)

この辺はジャック・プリウールの畑の終端、バロン・テナールの畑との境界近くだと思います。




           Le Montrachet owned by Domaine Baron Thenard (No.32)


ここはバロン・テナールの区画(74.61a)。これ以外にNo.34(108.70a)も所有しており、トータルで183.31a、1.8ヘクタールもの面積になります。この貴族の方の所有面積はモンラッシェ第二位を誇ります。ちなみに第一位は最後に紹介する畑です。




Between Baron Thenard (No.32) & DRC (No.31)

ここはテナールとDRCの境界。この右側がDRCです。畑の見た目はそれほどは変わらないように見えます。





Between DRC (No.31) & Bouchard (No.67)

ここはDRCとブシャールの境界。そして、この境界はシャサーニュ村とピュリニー村との境界でもあります。


奥の方に車が止まっていて、人々が作業をしています。これについては後ほど。




Montrachet owned by DRC (No.31)

DRCは南端に近い区画(33.40a)と、この中央の区画(34.19a)の二か所を持っているのです(合計67.59a)。よって、DRCはLeflaiveの8倍以上の面積を持っていますので、同様の収量ならば12樽、3800ボトルを造れることになります。このくらいで合ってますかね?


こちらの中央の区画は東西に長く、恐らくモンラッシェ最高の区画だと思います。



この辺から、右半分の区画、つまりピュリニー側(Montrachet)になります。




Montrachet Map (Puligny-side)




ピュリニー側のモンラッシェを見る前に、その上の畑で人々が作業をしているところに出くわしました。




Chevalier-Montrachet La Cabotte (should be No.68)

ここはシュヴァリエ=モンラッシェ・カボット(0.21ha)のはず。となると所有者は単独でブシャール・ペール・エ・フィス。10名近くものスタッフの作業は、たぶん、ここ数日の暖かさで急に伸び始めたブドウの蔓の誘引作業中なのではないかと想像しました。この下がモンラッシェなので、ブシャールの方は連続して作業ができるし、効率的ですね。



で、その作業中の畑の下にあるブシャールのモンラッシェ。




Montrachet owned by Bouchard Pere et Fils (No.67)

ブシャールは本当にいい畑を持っています(88.94a)。モンラッシェのど真ん中です。しかもピュリニー側。造りが同じなら、DRCのモンラッシェと同等、いやそれ以上のものを造れるはずといつも思っているのですが・・・。現段階ではその差は計り知れないほど大きいのだそうです(DRCを知らないのでしょぼん)。やはり収量と醸造なのでしょうか?なんとなく、植密度が高いような気もしますが・・・。気のせいかな。




Montrachet owned by Domaine Ramonet (No.66)


ここはラモネの区画(25.90aだと思います。ここもふっかふかです。ここも収量は少ないんでしょうね。


DRC、ラフォン、ラモネ。聞いていた通り、素晴らしい畑だと思いました。


しかし、返す返すも、DRCとラモネに挟まれたブシャール・・・。素晴らしいモンラッシェを生み出すことを期待しています!





Montrachet owned by Regnault de Beaucaron (No.121)

ラモネの北(右)側です。ボーカロンの畑(26.66a)。トラクターのキャタピラーの跡が見えます。そこはやはり土に圧力がかかっているようです。


ボーカロンはルイ・ラトゥール、ルイ・ジャド、オリヴィエ・ルフレーヴにブドウ(またはマスト)を提供していて、自身では醸していないはずです。収量は47hl/haくらいらしいです。




Montrachet Marquis de Laguiche owned by Joseph Drouhin (No.64)

ここはジョセフ・ドルーアンが所有するマルキ・ド・ラギッシュ(206.25a)。2ha超えのモンラッシェの最大区画所有者です。二位のバロン・テナール(1.8ha)とは僅差です。キャタピラーの跡から、こちらもトラクター耕作のようです。まあ、馬では割に合わないほど広いからでしょうか?




Montrachet Marcques de Laguiche owned by Joseph Drouhin (No.64)

ここが有名なマルキ・ド・ラギッシュの門。そして、ここがモンラッシェの北の玄関になります。



こうして自分の足で畑を見てみると、土の色合い、石の混じり具合、生産者によっては畑の耕し方など、色々確認することができました。収量のことまで考え合わせるとモンラッシェは何でも良いという訳ではない、もつなら畑の気に入ったものをもつべきだと、真に思った次第。数量も価格も相当にハードルが高いですが・・・。





さあ、続いてシュヴァリエ=モンラッシェです。と言っても、このクリマについてはモンラッシェのような所有区画の情報を全く知らないので、詳細はありません。




Chevalier-Montrachet

シュヴァリエはモンラッシェに比べて傾斜がきつくなっているのがよくわかります。




Chevalier-Montrachet

ブドウ樹が整然と並びます。キャタピラーの跡が見えます。




枯れ木とエスカルゴ

こんな風に石垣にエスカルゴがいます。土に近い、湿ったところに生息しているようです。





Chevalier-Montrachet

排水溝のついたクロの入り口。こういう簡易的な排水溝はブルゴーニュの色んな畑で見かけます。


Montrachet


ここで振り返ってモンラッシェの畑を見ると、土の色が若干赤身を帯びていることがわかります。土壌に含まれる鉄分の量のせいでしょうか?



Chevalier-Montrachet

そして再度シュヴァリエを見ると、全体的に土の色が白っぽいです。しかも、石ころがたくさん混じっています。見るからにミネラリーな味わいを想像します。




モンラッシェを右手に、バタール方面を望む

マルキ・ド・ラギッシュを右手に、ピュリニーのドモワゼルを左手に見ながら、バタール方面を見る構図。この景色が結構好きです。





Puligny-Montrachet Les Pucelles

ここはピュセルの角。モンラッシェに最も近い区画です。2013年の7月にここに寄った際は、ブドウ樹が完全に抜いてありました。この2年の間に苗木を植えたばかりのようです。




Vignoble Poirier

表札(?)があったので撮影してみましたが、どういう造り手か知りません。




どなたかの門



Domaine Etienne Sauzet

ソゼさんのところでした。ここは一度訪ねてみたいのですが、ここはハードルがかなり高いです。



La Maison d'Olivier Leflaive

ここがオリヴィエ=ルフレーヴのシャンブル・ドット。2009年の2月に泊まりました。これがそもそもブルゴーニュ訪問の最初でした。今でも思い出します。いや、この辺に来たので、何となく再度入ってみたくなり、歩いてきてしまったのだと思います。


ここでタクシーを頼みます。お願いすると、嫌な顔ひとつせず、予約してくれました。何度もTELをかけてくれていたみたいです。ありがたいです。



こんな感じで、お昼も食べずに畑を歩き回っていました。もう、お腹がペコペコです。ボーヌの宿に着いたら、さっそく買い出し。そう、この日はBurgundyさんご夫妻とダイニングでパーティなのです。そう、今回アパルトマンを取ったのは、こんな楽しみ方もできるからなのです。


買い出しをしたお店は、シャルキュートリーのReillard(レイヤール)、フロマージュのAlain Hess(アラン・エス)、ブーランジェリーのAux Trois Epis(オー・トロワ・ゼピ)です。


ここからは簡単に。Burgundyさんが詳細を書かれていますので。


食卓


シャルキュートリーでは、パテを。Burgundyさんがとてもラパンがお好きらしく、3枚も注文されていました(笑) 注文一皿目で、しかもお腹がペコペコ。無理もありません(笑)




           Epoisses Fermier de Bourgogne


農夫のエポワス。アラン・エスで最も高級なエポワス。残念ながら若過ぎました。でも、質が良いのは明確でした。ですので、日本に帰る際には買って帰りましたよ。まだ冷蔵庫に残ってますが、結構よく熟成してきています。




Sancerrois、Brie de Meulin、Saint-Marcellin、Comte 24mois

その他のフロマージュは絶品。Burgundyさんに倣い、上から時計回りにサンセーロワ、ブリー・ド・ムーラン、サン・マルスラン、コンテ24か月。


この日はBurgundy家から「食」を、Puligny家から「飲」を出し合いました(笑)




Corton-Charlemagne 2004 Morey-Blanc

白はコルトン=シャルルマーニュ。前日にピエール・モレのところで購入していたボトル。モレ=ブラン、つまりドメーヌモノではなくネゴシアンもの。2004年はGCといえどもかなり熟成している可能性があるので、すぐ飲む用のつもりで購入。ふと、ここで開けるのが良いかも!と思い、持ち帰るのを取りやめて開けました。


確かに、ちょうど良い熟成具合でした。モレさんのコルシャルは初めてでしたが、ネゴスもののためでしょうか、ヴィンテージのためでしょうか、やや力量感に乏しい印象。でも、シェーヴルとの相性は確かに絶品でした。Burgundyさんにも気に入って頂けたようで、何よりです。



Volnay Santenots-du-Milieu 2008 Domaine des Comtes Lafon

これは当日にカヴォー・ド・シャサーニュで購入したボトル。ヴォルネイがなんとなく飲みたくて・・・。お店のお兄さんに、ラフォンのヴォルネイで今日飲んでもよさそうなのはどれ?と聞いたら、これを勧められました。


正直、ちょっと選択ミスでした。ちょうど谷間にあるような感じ(あるいは'08がいまいちなだけ?)。むしろ、比較した'10の方がよかったのかもしれません。もちろん、良いワインなのですが、タンニンの粒の揃い方が気に入らず・・・・。前日のシャルム'07と比べると白屋の赤が良いというのは必ずしも定説ならずと思ってしまいました。Burgundyさんがお気遣い頂きながらもポジティブなコメントを書いてくれたことだけが救いです・・・。


いや、なぜこんなに辛口になってしまったかと言うと、その翌日の最後のドメーヌで開けて頂いたあるヴォルネイが強烈な印象を残したためなんです。これについては、ずいぶん先になりますが、どこかで書きたいと思います。


それはともかく、4人で食卓を囲みいろんな話をして、とても楽しい時間を過ごしました。楽しかったことだけは覚えているのですが、実は話の内容を結構失念しており、「なぜワインを飲むのか」というテーマで話したらしく、いったいPuligny夫は何を話したのか、恥ずかしくてBurgundyさんに聞くことができません、というか聞かない方が良さそうです(苦笑)


翌日は、なんと3件ものドメーヌを訪ねる予定。朝から大忙しです。頑張りまーす。


ブログ更新もゆるゆる頑張りまーす。



つづく・・・。


Domaine Alain Burguet à Gevrey-Chambertin

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ボーヌ滞在4日目の4/30。この日は3軒(ジュヴレ2軒とボーヌ1軒)のドメーヌ訪問を予定していますので、ちょっと早起き。


まずは08:09発の電車でジュヴレに向かいます。ちなみに、ボーヌからジュヴレまでのチケット代は5.9ユーロ。距離は30km程度ですから、ちょっと高いですね。日本だとJRでも500~600円だと思います。



            ボーヌ駅に到着したローカル電車


昨年まではタクシーを利用することの多かった我が家ですが、今回の旅では結構電車を使いました。思いの外、電車が時間通りにやってくるので、使い勝手は良かったと思います。


ジュヴレ=シャンベルタン駅(とても小さい駅。天下のジュヴレ=シャンベルタンなのに!)に着いた我々は、てくてくと街に向かって歩いていきます。その距離約3km。この日のようにとても天気の良い日は楽しいウォーキング。D31という片側一車線の通りには遊歩道がついていて途中ベンチなどもあったりして、歩き易いですね。



D974号線沿いのDomaine Trapet

しばらくすると、大通り(D974)にぶつかります。この大通り沿いにトラペの蔵がありました。でも、今回はここに訪問した訳ではありません。




            Domaine Philippe Leclerc


ジュヴレの街の佇まいは、ブルゴーニュの他の村に比べても特に華やかで、やはりワインの力(収入?)は大きいのだなあと思います。ここはフィリップ・ルクレールの蔵があるところ。一昨年の7月に来た際は、この通りの窓の脇には花が飾ってあって綺麗だったのですが、今回はありませんでした。まだ早いのかな?




Clos de Meixvelle (Domaine Pierre Gelin)


ここはジュヴレの街中にあるクロで囲まれた畑。2009年にピエール・ジュランを訪ねた際にこの所有畑を見せてもらったことがありましたので、懐かしくてパシャリ。




どなたかのドメーヌ


比較的新しい建物。立派で綺麗です。



Domaine Denis Mortet


ドメーヌ・ドゥニ・モルテでした。



街中をしばらく散歩したところで、そろそろ約束の9:30です。




Domaine Alain Burguet






先ほどのドゥニ・モルテに比べると、やや地味な感じのドメーヌです。ここは精々10ha以下の小規模な生産者ですから。でも、質は凄く良いので、滅茶苦茶楽しみにしていたのです。


呼び鈴が見当たらなかったので、奥の大きな扉を叩いてみます。ドンドン。「たのもう!」


とは言ってませんが・・・


そうしたら、別の扉が開いて(笑)、出てきてくださったのは、2011年からアランさんに代わってドメーヌ運営を行っている兄弟のうち、次男のエリックさん。とても優しそうなお兄さんです。長男のジャン=リュックさんは、髭面でポニーテール。この日はほんの少しだけ顔を出してくれました。


軽く挨拶を交わした後、荷物を置かせて頂き、早速デギュスタシオンです。エリックさんは、我々をカーヴに連れていきます。


まずは簡単な説明をして頂きましたが、ほとんどメモを取れなかったので、失念してしまいました。数少ないメモによると、選果は合計3回実施するとあります。それによって健全なブドウによるピュアな味わいを出すということでしょう。それから、お爺さんの遺産相続で分配された畑を叔父さん達から買い戻しているとのことでした。



            カーヴ




さて、デギュスタシオン。下記のワインのどれかで、新樽とそうでない樽の両方からワインを取り出し、グラスで混ぜてから提供して頂いたキュヴェがありましたが、どれだったか失念。


まずは2013年産から。


(1) Gevrey-Chambertin Mes Favorites Vieilles Vignes 2013


メ・ファヴォリットです。好みの味わい。柔らかさがあってピュアでタンニンがきめ細かいし、酸もきれいです。こちらはこの6月に瓶詰予定とのこと。瓶詰直前だからでしょうか、落ち着いていて、既に十分美味しく飲めます。少し前まで3.5haでしたが、現在は4haとのこと。生産量は1000ケースくらいでしょう。前述の通りおじさん達から買い増しした畑はこのメ・ファヴォリットになっているのですね。1890年~1965年に植樹された超ヴィエイユ・ヴィーニュを含む古樹から造られているとのこと。


実は予習ということで2010年産を出発の直前に飲みました。確かに良いワインでした。この2013年産も2010年産を彷彿とさせる味わいでした。



続いて、2014年産の樽試飲です。*が付いているのは自社畑ではなく買いブドウで醸造したキュヴェです。



(2) Bourgogne Rouge Les Pince Vin 2014


こちらはACブル。シンプルだけれど、バランスの良い味わい。樽で熟成始めてからまだ半年にも満たないですが、既に美味しいです。



(3) Gevrey-Chambertin Symphonie 2014


サンフォニー(シンフォニー)。メ・ファヴォリットに比べるとさらりとした味わい。栽培面積は2.5haで、(記憶が曖昧ですが)25もの村名区画(パーセル)をアッサンブラージュしていると聞いたような気がします。



(4) Gevrey-Chambertin Mes Favorites Vieilles Vignes 2014


さて、ヴィンテージ違いのメ・ファヴォリット。おお、これは'13よりも甘さを感じます。'13に比べると'14はどこのドメーヌでも暖かい味わいだと思います。これも熟成間もないのに美味しい。こちらの瓶詰は2016年の6月とのことです。つまり、熟成期間は18か月ということです。



(5) Gevrey-Chambertin Premier Cru Les Champeaux 2014


プルミエ・クリュのシャンポー。段々とワインの格が上がってきます。こちらはミネラリティが主張しています。また、フローラルな香りが特徴的。栽培面積は0.182haとのことで、たったの3樽(75ケース:900本)のみ生産。



(6) Vosne-Romanee Premier Cru Les Rouges du Dessus 2014 *


この造り手はVRも造っています。ただし、これは買いブドウとのこと。ヴォーヌ=ロマネとは思えないほどの冷涼かつ繊細な味わい。それもそのはず。レ・ルージュ・デュ・ドゥスは、エシェゾー中央部のレ・ルージュ・デュ・バとレ・シャン・トラヴェルサンの、斜面上に位置する標高320mのクリマですから。



(7) Gevrey-Chambertin Premier Cru Lavaux St. Jacques 2014


ラヴォー・サン・ジャック。これは別次元。スケールが大きく、流石の味わい。これはこの蔵のベストと思います。リリースしてから5~7年は置いておいたほうが良いとのコメント。ここからはうろ覚えですが、このラヴォー、最近購入した畑から造る初ヴィンテージだったような・・・。いや、後でネットで見ても、アラン・ビュルゲのラヴォーの情報は皆無なのです。良いワインだったから、ちゃんと聞いておけばよかったな。



(8) Chambertin Clos de Beze 2014 *


好きなクロ・ド・ベーズの味わい。但し、買いブドウと知っていたためかもしれませんが、異次元さはなく、プルミエ・クリュの延長線上の味わい。エリックさんにどこからブドウを買っているのかを聞いてみたところ、教えてくれました。秘密かもしれないので明言は避けますが、最大所有者からのようです。是非、自分の手で耕作して欲しいと言ってみましたが、やはりそういう希望はあるようです。"Well, let's see..."との思わせぶりなエリックさんの答え。そうなったら良いですね!



(9) Chambolle-Musigny Les Chardannes 2014 *


最後にシャンボール。レ・シャルダンヌという名のヴィラージュだったと思います(ちょっと自信なし)。こちらも買いブドウです。メモがいまいちですが、それほどシャンボール、シャンボールしてなくて、やや堅牢な味わいだったような記憶。


ビュイッソン=シャルルもそうでしたが、実力のある生産者が自社畑のブドウだけでなく、買いブドウでも質の良いワインを造るケースが増えているのではないかと思いました。畑の所有者も、自分でやり切れる畑の面積というものがあるでしょうから、所謂「トロ」のところは自分でやって、それ以外のところは実力のある造り手にブドウを売った方が良いと判断するのも十分に想像できます。



新樽


アリエ産。多分、フランソワ・フレール社の樽だと思います。新樽比率は比較的高く、50~80%のようです(別情報)。




            謎のステンレスタンク


これは自家消費用のアリゴテとのこと。良いですね。美味しそう。



ここでエリックさんを中央に皆で写真を撮って、お土産を渡してお別れです。いやあ、いい生産者でした。これからは、このドメーヌのワインを贔屓にしたいと心底思った次第です。



時間は10:30を少し過ぎた頃。次の約束は11:00で、同じジュヴレですから歩いて高々5分のところ。ちょっと早目に伺ってみることにします。


「ドゥニさん、待っててくれているかな?2年振りだけれど、覚えていてくれているかなあ・・・」



つづく・・・。

Domaine Marchand Frères à Gevrey-Chambertin

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「ドゥニさん、待っててくれているかな?2年振りだけれど、覚えていてくれているかなあ・・・」


ドゥニさんとは、ドゥニ・マルシャンさん、つまり、ドメーヌ・マルシャン・フレールの当主です。実は2年前の7月にもここを訪問 していたのでした。樽にボトルに様々なキュヴェを飲ませて頂きました。ドゥニさんはフロマージュよりもお刺身の方が好きなほどの和食好き。飼い犬のグリオットちゃんがなつく、とても頼もしくて優しい方です。


早めに到着したからでしょうか、門が開いていません。あれ?おかしいな。2年前に訪問した時はこの門が開いていたのに・・・。



Domaine Marchand Frères


呼び鈴を鳴らしても誰も出て来ず。本当に人気(ひとけ)がありません。グリオットちゃんもいませんし、娘のファニーちゃん達がいる様子もありません。あれ、ドゥニさんしかいないのかな・・・。いや、ドゥニさんすらもいないみたい・・・・。


でも、まだ約束の11:00前だから、もうちょっと待ってみよう。きっとすぐに戻ってくるだろうから。


ちょうどそのとき、お隣のワインショップ(ドゥニさんのお兄さんのジャン=フィリップ・マルシャンさんが経営するメゾンのワイン直販店)のおじさんが、巨大なボトルをお店の前に出して、営業を開始するところでした。そこで、その方に声を掛けてみます。



お隣のワインショップ(Maison Jean Philippe Marchand)

 

お店のおじさんによると、朝からドゥニさん一家は外出しているとのこと。この辺のやり取りはフランス語だったので、ほとんどわからず。詳細はBurgundyさんの記事に書いてあります。


お店のおじさんはとても良い方で、しばらくここで待ってるといいよ、と我々に中に入るように促してくれました。お言葉に甘えてしばらく気楽に寛いでいましたが、11:00を過ぎてもドゥニさんは帰ってきません。今日はかなりタイトなスケジュールだったので、次第に焦ってきます。そこで、Burgundyさんがおじさんからドゥニさんの電話番号を聞き出して、電話を掛けてくれました。


どうやらドゥニさんは畑に行かれていたようです。何でも、やらなくてはならない仕事(ここ最近の暖かさで伸びたブドウの蔓の手入れかな?)があって、すぐには畑を離れられないと・・・。この後に雨が予報されていたことも、ドゥニさんが急いでいた原因だったようです。


この日の夕方5時からなら、とか、翌日ならOKと言って頂いたとのことですが、4時からはボーヌでのデギュスタシオンがあるし、なかなか翌日と言ってもスケジュール調整は難しく・・・。なんとかならないかと電話口で交渉するBurgundyさん。


今すぐは無理ということで、最終的に13:30という約束を頂いて、この場は何とか解決。素晴らしい!Burgundyさんに感謝です。しかし、この時既に、約束だったとは言えドゥニさんに申し訳ないと思う気持ちになってしまいました。


そんな状況ではありましたが、結果的にドゥニさんとのランデヴーは実現し、そして再びドゥニさんの優しさに触れることができたのです。



約束の時間まで約2時間あることから、近くを散歩することにしました。実はちょっと行ってみたい畑があったので、この浮いた時間に行ってしまおうと思ったのです。


その道すがら、有名な造り手の蔵を見つけます。



Domaine Armand Rousseau

 

もう知らない人はいないほどですが、今や高嶺の花になってしまったドメーヌ。やはり立派な門構えですね。


さて、お目当ての畑に到着です。



Gevrey-Chambertin Premier Cru Clos Saint-Jacques

 

お目当ての畑とは、今回は憧れのクロ・ド・ベーズではありません。しかし、ジュヴレの特級をも凌ぐこともあるスーパー・プルミエ・クリュ、クロ・サン=ジャック。


ここに来たかった理由はそんな大した物ではありません。クロ・ド・ベーズやシャンベルタンなどのグラン・クリュは来たことがあるけれど、クロ・サン= ジャックには単に来たことがなかったし、今後いつ行けるかも分からなかったから。



D31 ラヴォー渓谷方面を望む

 

この先にラヴォー渓谷があります。ちなみに右手に見える畑はLavaux Saint-Jacques(ラヴォー・サン=ジャック)。




            Between Lavaux and Clos Saint-Jacques


D31からこの道を上がっていきます。右手のクロの向こうがクロ・サン=ジャック。左手がラヴォー・サン=ジャック。



Gevrey-Chambertin Premier Cru Clos Staint-Jacques

クロ・サン=ジャックの南西向きの斜面。この辺は中腹から下部のプロット。距離にして400m程度ですが高低差が60m程度はあるので、結構な急勾配です。ここはクロに隣接するパーセル。恐らく、このクロ側にパーセルを持つアルマン・ルソーの畑だと思います。アルマン・ルソーのウェブサイトによると、ここは粘土質のリッチな土壌。上部は岩がちで表土が薄く、中腹はバジョシアン基層で表土は60㎝程度。下部はプレモー石灰岩がベースで、粘土と火打石に富んでいるとのこと。急斜面らしく変化に富んだ土壌です。




クロ・サン=ジャックの門の一つ

このクリマは長いクロに囲まれていますが、所々に入口があります。ここは中腹辺りに設けられた門。




門の内側からラヴォー・サン=ジャック側を望む

良い眺めですね。



Gevrey-Chambertin Premier Cru Lavaux Saint-Jacques

ラヴォー・サン=ジャックは、クロ・サン=ジャックに比べると傾斜が緩いです。




Etournelles(エトゥルネル)の畑越しにラヴォー渓谷を望む

手前に見える畑はラヴォー・サン=ジャックの上にあるプルミエ・クリュ、エトゥルネル。




再びクロ・サン=ジャック

最後にもう一度。これは東側のD31に面した入り口から撮りました。見た目だけでもここの畑は素晴らしいと思います。クロ・サン=ジャックが飲みたくなりました。


さて、そろそろお昼を食べる時間です。実はこの日は朝早かったので、朝食はオレンジジュースとミルクとちょっとしたクッキー程度でとても少なかったのです。ですから、お腹がペコペコでした。


きっとお腹が空いていたからでしょう、マルシャン・フレールの隣のワインショップのおじさんが「高いよ」とコメントしていたというレストラン、Chez-Guy(シェ=ギイ)に入ってしまいました。どちらかというと、Puligny夫だけが入りたかったのかも(笑) いや、実は行きの飛行機の中でビデオを見ていて、あの田崎真也さんが、まさにこのお店で牛頬肉の煮込みとドゥニ・モルテの2010年産村名ヴィエイユ・ヴィーニュを合わせていたのが気になっていて・・・。でも、デギュスタシオンの1時間前にレストランに入るのは無謀でしたね。すみません(反省)。




            Amuse-bouche


アミューズは、えんどう豆のスープ(?)と根セロリのムースだったかな?キャヴィアがちょこっと。




Plat 1 Grenadin de veau, purée de Charlotte au beurre d'Isigny

これはPuligny夫が注文した仔牛のグルナダン。マッシュポテトはシャルロットという小ぶりの品種とイズニーバターを使っているらしい。




Plat 2 Suprême de volaille fermière, mini légumes en pot au feu, jus de viande

こちらはPuligny妻がオーダー。骨付きの鶏のもも肉のグリル。煮込んだミニ野菜と。




Dessert 1

Puligny夫が頼んだデセールは軽くソルベとアイスクリーム。串刺しにしたマドレーヌが付いています。




Dessert 2

こちらはPuligny妻がオーダーしたデセール。左のこげ茶色の半球状のものがシャテーニュ(栗)味のムース状のガトー。これが滅茶苦茶美味しかったとのことです。



実は、このデセールが来るより前に、約束の13:30が来てしまったのでした。焦る我々ですが、頼んだデセールを食べない訳にも行かず・・・。レストランのゆったりとしたペースが、これほどイライラさせるものとは思ってもみませんでした。そして、Burgundyさんの携帯には、ドゥニさんからメッセージが。「今朝の件は申し訳ない。待っていたけど、来ないようだから、また明日の朝来てもらえるかい」と。


これには皆慌てました。BurgundyさんがすぐにTELしてくれます。そそくさと席を立ち、レストランを後にします。速足でドゥニさんのところまで向かいます。「ああ、何てことしちゃったんだろう!」と猛反省しながら、「ドゥニさん、まだいてくれるかなあ。」 


ドメーヌに到着すると、車が止まっています。ドゥニさんはまだ畑に出発していなかったようです。なんとか間に合いましたが、「セーフ!」と言っていいのかどうか・・・。結局、ドゥニさんは申し訳なさそうな顔をした日本人4人を見たからでしょうか、畑に向かう時間をずらして応対してくれることになりました。


「すんません!ドゥニさん!」




カーヴにて

時間がないので挨拶もそこそこに、すぐにカーヴにてデギュスタシオンが始まります。しかし、既に申し訳なさで一杯だったPuligny夫。恐縮し過ぎてなんとデギュスタシオン中に撮影した写真はこの一枚のみでした。しかもテイスティングメモも惨憺たる有様。まったく集中できていなかったことが、後から見ても明白です。


まあ、兎に角、テイスティングしたワインの名前だけはちゃんとメモしてありましたので、それだけでも紹介します。


2014年樽試飲

(1) Bourgogne Aligote 2014

(2) Coteaux Bourguignons Blancs 2014

(3) Pinot Gris 2014

(4) Morey-Saint-Denis Blanc Les Tres Giraud 2014

(5) Bourgogne Rouge 2014

(6) Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 2014

(7) Chambolle-Musigny Vieilles Vignes 2014

(8) Morey-Saint-Denis Premier Cru Les Faconnieres 2014

(9) Clos de la Roche 2014


以下、順不同で思いついたことを。


今回もまた色々飲ませて頂きました。全般的にマロラクティック発酵が終了していないキュヴェが多い中でのデギュスタシオンでした。確実にマロが終了していたのは(8)のファコニエール。とてもミネラリーで余韻の長いモレ=サン=ドゥニ。


よく、「白屋の赤は良いことが多いけれど、赤屋の白が良いことはあまりない」と言いますが、もしかしたら、ドゥニさんこそが「白が美味しい赤屋」なのかもしれません。特に(4)のモレの村名白は一昨年に引き続き、とても良かったです。(2)のCB白はモレ村とシャンボール村のシャルドネから造ったそうです。惜しむらくは、デセールで口の中が甘い余韻に浸っている時に(1)のアリゴテ(モレにある古樹らしいです)を飲んだことだったかなと。それから、Puligny家で2本所有している稀少プルミエ・クリュ白の飲むべき時期を伺ったところ、予想に反して「もう飲んだ方が良いよ」とのことでした。樹齢が10年程度(確か2005年植樹)と若いため、マチエールが足りず長期の瓶熟には耐えられないそうです。


面白かったのは(3)のピノ・グリ。これはドメーヌのウェブサイトにも記載されていませんが、ピノ・ブランと共にコトー・ブルギニヨン向けに栽培中。濃厚というか密度の高い味わい。シャルドネとアリゴテしか飲んでいない舌にはとても新鮮でした。ドゥニさん、実験好きなのでしょうね。実はロゼを作っていました。「ロゼ好きなので飲ませてください!」なんて言える状況ではなかったので、諦めましたが(苦笑)


(6)と(7)の飲み比べも面白かったです。ジュヴレの力強さとシャンボールの繊細さ。タンニンの肌理一つとっても明確なコントラストを見せてくれました。(9)のクロ・ド・ラ・ロッシュはまだまだマロ前。リンゴ酸の鋭い酸味はありましたが、やはりロッシュはいいなと思わせてくれました。



最後に2013年ボトルを一種類試飲。


(10) Morey-Saint-Denis Premier Cru Les Faconnieres 2013


2011や2012を飲んだ時も思いましたが、ドゥニさんのモレは筋肉質なマスキュランというより、エレガントでフェミナンです。本当に造り手の性格ってワインに移りますね。特に2013年はスマートさの際立つモレでした。



こうして、最終的にはドゥニさんとのランデヴーは実現し、今回もまたドゥニさんに優しい対応をして頂きました。ドゥニさん、どうもありがとうございます。お土産の日本酒をお渡しすると、「白と赤どっちがいい?」と聞かれて、「赤」と答えると、なんとそれはお返しにくれるボトルの中身のことでした。頂いたのはLes Millandesの'13。Faconnieresのお隣の畑です。どうやら日本には入れていないキュヴェのようでした。ドゥニさん、本当に律儀です。



今回のこの蔵への訪問は、とても反省点が多かったとずっと思っていました。しかし、この記事を書きながら、実はそんなことはなくてとても良い訪問だったのではないかと思うようになりました。ドゥニさんが約束の時間にご不在だったことは仕方のないことで、ヴィニュロンというものは気候によってその都度臨機応変に仕事をしていかなければならないということを目の当たりにできたこと。そして、Burgundyさんが果敢にTELして呼び戻してくれたことでデギュスタシオンが実現できたこと。また、その日は日没まで雨も降らなかったこと(ですから、ドゥニさんは遅れた仕事を残業で取り戻してくれたものと(勝手に)想像します)。そして、短時間のうちに、見たかったクロ・サン・ジャックの畑を歩き回って満喫し、シェ=ギイでなかなか美味しい食事をして空腹を満たせ、ドゥニさんと再会できたこと。さらに、次回はこうしたいなという改善項目がわかったこと・・・。Puligny夫としては、皆さんのお蔭で最高の贅沢を経験できたのでした。本当に感謝です。



時間は15:00を過ぎようとしていました。次のランデヴーは16:00ですから、タクシーでボーヌに急がなければなりません。Burgundyさんにはまたタクシーを呼んで頂きました。体格が良くて怖そうなドライバーでしたが、Burgundyさんによと相当なワインマニアだったとのこと。それから、今回のランデヴーをアレンジしてくれたKさんのことをよく知っていたようです。また、会話自体はフランス語でわかりませんでしたが、通り過ぎるたびに説明してくれる畑名は十分に理解できました(笑)


ボーヌに着くや否や、ちょっと宿に寄って身支度。そのまま、次の訪問先に向かいます。次はBurgundyさんお待ちかねのドメーヌ・ド・ベレンヌ。


さあて、シルヴァン、よろしく頼みますよ~。



つづく・・・。

Domaine de Bellene à Beaune

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この日の最後に訪問したドメーヌは、Domaine de Bellene(ドメーヌ・ド・ベレンヌ)。


言わずと知れたニコラ・ポテル氏のドメーヌ。2005年創業、2007年初ヴィンテージ。諸事情があり、2007年産のみDomaine Nicolas Potelという名称でしたが、2008年からは現在のDomaine de Belleneに名称変更。ボーヌの市街地のごく近く、北の玄関であるLa Porte Saint Nicolasから歩いて数分のところにあります。


ここのドメーヌを訪問するのは今回で3回目。1回目は2009年2月、2回目は2013年7月でした。今回は4月30日。これまでと同様、今回も醸造責任者である、Sylvain Debord(シルヴァン・デボール)氏が対応してくれることになっています。



            Domaine de Bellene

 

当日は慌ただしかったので、後日撮影した入り口。その日はあの門が開いていました。表札がないので、何度行っても「あれ、ここだよな?」と思ってしまいます。


この門の先に蔵があります。シルヴァン、待っててくれるかな?前回の2013年はすっかり忘れてしまっていたシルヴァンでした(あ、でもデギュスタシオンはきちっとやって頂きましたよ)が、今回は・・・。


あ、いた。


「ボンジュール!シルヴァン!!」


良かったです。


今回は3回目ですが、実は2回目からシルヴァンとは直接メールのやり取りをさせて頂いています。もちろん、Kさんへの報告は忘れずに。会うのは4回目。一回は新宿の伊勢丹にプロモーションに来た時でした。今回は約2か月前の3月始めに訪問の打診をしてOKをもらいました。そして、念のため、日本を発つ直前にも連絡を入れておきました。今回はここの訪問を楽しみにしているBurgundyさんが一緒なので、よもやのことがないように・・・(笑)


さてさて、デギュスタシオンです。


事前のやり取りでは、2014年産のバレル・テイスティングと2013年産のボトル・テイスティングをやるよ!ということでしたが・・・。



白専用のカーヴにて

 

まずは2014年産の白の樽から。今回訪問したドメーヌは皆そうでしたが、この時期(4月末)の樽試飲は、まだマロラクティック発酵が終わっていないキュヴェが多いです。リンゴ酸が残っているので、鋭い酸味が感じられますが、そう思って飲んでいれば特に問題なく評価できます。


ここのドメーヌが造っている白は7種類。そのうち3種類を樽からデギュスタシオン。


(1) Saint-Romain 2014 (Blanc)

最初はサン=ロマン。初ヴィンテージの2007で最も感激したキュヴェ。そう、あの時からサン=ロマンが好きなアペラシオンになったのでした(Puligny妻)。日本にはこのキュヴェのデクラセ版もACブルとして輸出されています。2014年産も相変わらずシャープな味筋で、ミネラルを豊富に感じます。いやしかし、ここ、樽のワインがかなり美味しい。今回改めてそう思いました。


(2) Côte de Nuits-Villages Les Monts de Boncourt 2014 (Blanc)

これは確か初めてです。ニュイ=サン=ジョルジュからさらに南のボーヌ方面に下ったところにコルゴロアン村(コート・ド・ニュイの最南端の村)がありますが、このクリマはここにあります。クレイが多めの土壌のため丸い味わい。


(3) Meursault Les Forges 2014 (Blanc)

これは一昨年に2012年産を試飲しています。今回も素晴らしい。所謂ムルムルした*ムルソー(笑)ではなく、ミネラリーな味わい。新樽は40%とのことですが、バトナージュはしないとのこと。


*ムルムルとは、リッチでバター風味のある新樽比率の高いムルソーにPuligny夫が勝手につけた形容詞。




ムルソーの樽

 

この樽は2012年産ですから、1年使用樽ということになりますね。


続いて、赤のカーヴに移動します。


ちなみに、シルヴァンはデータシートを持っていて、それを見ながらマロラクティック発酵が終わったかどうかを教えてくれました。おそらく、液体クロマトグラフィー(HPLC)*で依頼分析した値が印字されていたのだろうと思います。マロラクティック発酵は、リンゴ酸(Malic Acid)から乳酸(Lactic Acid)に変化するので、リンゴ酸の量がほぼゼロになるところで判断(赤ワインの場合)していたようです。白は途中で止めるはずなのでもっと複雑と思いますが。


*HPLCの検出器は、昔は吸光光度法により200~210nmのカルボキシル基の吸収で見ていたようですが、夾雑物の影響を受け易いので最近では電気伝導検出(RI)を使っているようです。(すみません、自分の忘備録です。)




赤専用のカーヴにて

 

このカーヴでのデギュスタシオンが凄かった・・・。


このドメーヌは一体何種類の赤を造っているのか・・・。シルヴァンにきちんと聞くのを忘れてしまいました。自分で調べた限りだと、19種類。2014年の樽からはこのうち9種類を試飲させて頂きました。


(4) Bourgogne Maison Dieu Pinot Noir Vieilles Vignes 2014 (Rouge)

"BR"とメモしてあったのですが、Bourgogne Rougeなのか、Beaune Rougeなのか不明。マロラクティック発酵中とのことで、鋭い酸が感じられますが、それでも美味しい。


(5) Savigny-Les-Beaune Villages 2014 (Rouge)

こちらはマロラクティック発酵ほぼ終了。サヴィニーの赤は実にフルーティー。柔らかくて安らぐイメージ。


これ以下は全てマロラクティック発酵の途中での試飲です。


(6) Volnay Les Grands Poisots 2014 (Rouge)

このヴォルネイは初期から所有しているパーセル。現段階ではタンニンが自己主張している状態。


(7) Savigny-Les-Beaune 1er Cru Les Hauts Jarrons 2014 (Rouge)

サヴィニーのフルーティーさがさらに華やかに感じられます。


(8) Beaune 1er Cru Clos du Roi 2014 (Rouge)

王の畑と呼ばれるだけあって力強い。タニックで、広がり感の出る味わい。


(9) Beaune 1er Cru Les Grèves 2014 (Rouge)

有名なレ・グレーヴ。力強さよりもエレガント系。チャーミングな味わい。


(10) Nuits-Saint-Georges Villages 2014 (Rouge)

ニュイらしい実直さを感じる味わい。タンニン強め。これの飲み頃は相当後でしょう。


(11) Vosne-Romanéee Les Quartiers de Nuits 2014 (Rouge)

マロ中ですが、これは美味しい。実にスムーズな味わい。カルティエ・ド・ニュイ*はエシェゾーに隣接(リュー=ディ・レ・トリューの下)する畑。エシェゾーと言うにはハードルがありますが、シルヴァン曰く「プティ・エシェゾー」。


*リュー=ディ・カルティエ・ド・ニュイは、特級エシェゾーに格付けされるクリマと、ヴィラージュに格付けされるクリマに分かれていますが、こちらはヴィラージュに格付けされるクリマです。


(12) Vosne-Romanée 1er Cru Les Suchots 2014 (Rouge)

これは圧巻。濃厚な味わい。流石はこのドメーヌのフラッグシップだけのことはあります。




            Sylvain Debord

 

カルティエ・ド・ニュイの樽からワインをテイスティングするシルヴァン。なかなかカッコいいですよね。




ボトル試飲アイテム

 

樽からさんざん試飲させて頂いたにもかかわらず、さらにボトル試飲が待っていました。ここの蜜蝋キャップが好きなのです。密閉性としても良いと思うし、何より見た目が美しい。古くなるとボロボロになって厄介ですが、新しいときはすごく綺麗にもげてくれて、簡単に開けられるんですよね。


ほとんど何も考えてなくて、ここまで全てのワインを完全に飲み込んできました・・。が、OK!望むところだグッド!

そのまま最後まで付き合いますよ!!


ところで、ボトルは2013年酸とメールでは言っていましたが、実際のところ2013年はおろか2012年も生産量が非常に少ないので、試飲用としては出せなくなってしまったとのことで、2011年を試飲させて頂くことになりました。だって、このドメーヌの従業員ですら、各キュヴェを一人2本までしか買えないらしいのです。ああ、日本だったら結構残ってるんですけど・・・。


2011年ですね。了解です!


(13) Santenay Les Charmes Dessus 2011 (Blanc)

こちらも初ヴィンテージからのラインナップ。コート・ド・ボーヌとしては最南端に近い畑ですから、結構太くてリッチな味わいです。しかも、この年は特に貴腐が付いたとのこと。本来、貴腐はネガティヴですが、逆転の発想というか、どうせだったらここまでやってしまえーという感じの味わい。結構好きですよ、これ。


(14) Cote de Nuits-Villages Les Monts de Boncourt 2011 (Blanc)

これは2014年の樽から試飲したアイテム。両方とも比較的暖かい年ですが、2014年よりも2011年の方が豊満な味わいだと思います。


(15) Meursault Les Forges 2011 (Blanc)

このムルソーはベレンヌとしては比較的ムルムルしています。やはり、新樽100%とのことです。これはこれで美味しいです。樽中の2014年はずっと冷涼でした(前述の通り新樽比率40%の予定)。


(16) Savigny-Les-Beaune Vieilles Vignes 2011 (Rouge)

こちらも今回樽から'14をテイスティングしました。この'11ボトルは、色が薄めですがとてもフルーティ。ミネラルによる厳しさがなく、誰もが好む味わい。シルヴァン曰く、「ワイン会などでブルゴーニュの初心者の方がいる場合には、これを持っていく。飲んでもらえば皆好きになってくれて素晴らしいブルゴーニュへのエントリーになる」とのこと。これは参考になりますニコニコ


(17) Savigny-Les-Beaune 1er Cru Les Peuillets 2011 (Rouge)

これはなかなか美味しいです。これはサヴィニーの谷の南側にあるクリマで、北東向き斜面。標高は250m以下と低めですが、北東向きということで涼しげになるのでしょうか。


(18) Beaune 1er Cru Les Bressandes 2011 (Rouge)

最後のボトル。しかし、メモにはキュヴェ名のみ記載。ここまで全て飲み込んできたので、多分もう只の酔っ払いになっていたと思われます。このクリマについては全く知りませんでした。後で調べてみると、ここはボーヌの中でも比較的標高の高いところ。レ・グレーヴの上です。きっと美味しかったはずです。




 

いやあ、これまでかなりの回数のデギュスタシオンを経験してきましたが、シルヴァンに相手をして頂いた今回のデギュスタシオンは、本数の点においても中身の良さにおいても、記録的とも言えるものでした。これを全て制覇した自分達、ご苦労様でした!(笑)


ここで、シルヴァンからサプライズが!


先ほどのカルティエ・ド・ニュイの樽が置いてある辺りに行って、エチケットも書き込みもないボトルを持ってきます。かなり古いボトルです。何だかよくわからなくて、ぼーっと眺めていると・・・


シルヴァン 「さあ、ブラインド・テイスティングだ!」


一同 「え~っ!!マジ~?すご~いラブラブ!」*


*注:これを書いているPuligny夫はもうほとんど覚えていないので、いつも以上に脚色して書かせて頂きます(苦笑)


グラスに注いでくれます。ガーネット色というか、もうトーニー色を呈するそのワインからは、なんとも言えない凄い香りが・・・。酔っぱらった舌には何だかわかりませんが、さわやかで旨みがあって、何とも言えない柔らかさ。


シルヴァン 「さて、問題です(ジャジャンっ)。このワインの産地は、コート・ド・ニュイか、コート・ド・ボーヌか?」


Puligny夫 「えーっと、ニュイ!」

Puligny妻 「ボーヌ」


シルヴァン 「正解はコート・ド・ボーヌ。それでは、コート・ド・ボーヌのどこか?」


Puligny夫 「ポマール!」

シルヴァン 「ブーブタ

Puligny妻 「ヴォルネイ」

シルヴァン 「ピンポーンベル それでは最後の問題です。ヴィンテージは?」


Puligny夫 「1990年前半!」

シルヴァン 「ブーブタ

Puligny妻 「1985年」




ニヤッと笑いながら、このボトルの唯一の証拠、コルクを見せるシルヴァン。


Volnay 1er Cru Caillerets Clos des 60 Ouvrées Monopole 1985

Domaine de la Pousse d'Or

Puligny夫 「シ、シルヴァン、こんなの開けちゃって大丈夫だったの?こんなすごいのを・・・」

シルヴァン 「ああ、これは二コラのだけど、いいよ黙ってれば。」(脚色中)


何というか、驚きのあまり、すぐには感謝の言葉が見つかりません。これは、プスドール全盛期にジェラール・ポテル氏が醸造長として造ったキュヴェ。しかも、憧れの1985年。そりゃ、二コラのお父さんのワインですから、ドメーヌに置いてあっても不思議ではなかった訳ですね。


しかし、Puligny妻、完璧に当てたんじゃない?なんで?

どうやら、一昨年にビュイッソン=シャルルのパトリックさんが飲ませてくれたVolnay Santenots 1986年の味わいを覚えていて、その近辺の素晴らしい年を言ってみただけだと・・・。


・・・ふーん。(酔っぱらっても冷静だったんだね・・・)


半端ではないデギュスタシオンに加え、こんなサプライズをやってもらったものだから、1時間で終わると思っていたのが、最終的に2時間半以上も過ぎてしまったのでした。残念ながらBurgundyさん夫妻は、リヨンへの帰りの電車の時間が近くなってしまったため、この'85のブラインドの後すぐに帰ってしまいました。本当はボーヌの駅までお見送りをしようと思っていたのですが、バタバタのお別れになってしまいました。予想外だったとは言え、残念でした。


この後、もうワインは飲まず(当たり前か)。シルヴァンと我々夫婦の3人で赤ワインのカーヴにてチャッティング。


ヴィンテージについて。


シルヴァンが醸造責任者をやり始めた2007年以降のヴィンテージを総括してもらっていたところ、2009年と2010年の比較してどうか、という話になりました。シルヴァンは、2009年には全てが揃っていると評価し、そして2010年は2009年よりも良い年である、とのことでした。それについては、我々もそう思っていたので、agreeでした。

シルヴァンはタストリュンヌというメゾン(伊勢丹三越限定輸入)を運営していますが、そのネゴスワインも美味しいのです。シルヴァンによると、2010年のムルソーとシャブリはよかった。2011年も満足の行くワインが特にニュイでいくつか造れたとのことでした。


それから、Puligny夫が趣味で作ったヴィンテージチャート(横軸が年間の平均気温、縦軸が年間の降雨量)を見せると、とても興味を示してくれ、「面白いね。気温と雨量がこんなに近いのに、味わいが全然違うヴィンテージがあるんだよね。そのチャート、エクセルデータでくれないか?」

もちろん、喜んで送っておきました。このチャートについては、いつかこのブログでも書いてみたいと思います。まだ完成度が低いので、もう少し情報を取っているところです。


16:00から始まったデギュスタシオン。長いチャットのあとにシルヴァンに丁重にお礼を言い、ドメーヌを後にしました。実は、シルヴァンは先ほどの貴腐付きのサントネイとあのプスドールをお土産に持たせてくれたのです。これにはまたまたびっくり。シルヴァン、本当にありがとう。


時間はもう19:00になろうとしていました。本当は、この後ボーヌの街で買い物をして夕食を食べる予定でしたが、19:00過ぎだとお店は閉まってしまうし、たくさん飲んだのでお腹もいっぱい。冷蔵庫に残っていた、前日のBurgundyさんご夫妻とのパーティーのフロマージュが残っていたので、それを頂きながらシルヴァンに戴いたプスドールを飲みました。まだ飲むのか!と思いましたが、あのワインだけは、今日飲んでおかないといけないと思ったのです。



Volnay 1er Cru Caillerets Clos des 60 Ouvrées Monopole 1985

Domaine de la Pousse d'Or

 

少し酔いが覚めてきたので、じっくりと味わうことができました。


香りは、花、花、花。なんと魅惑的な香りでしょう。いつまでも嗅いでいたい香りです。こんな凄い香りは久し振り・・・というか、もしかしたらここまでの香りは初めてかもしれません。


口に含むと、優しく、フェミナン。美しい。そして芯の強い味わい。ミンティーな爽やかさ。実に綺麗な酸。タンニンは自分の舌では凹凸を認識できないほどのスムーズさ。タンニンの存在の意味を思い知ります。粘性。うねるような味わい。実に艶めかしい。そして、口中でワインがパッと霧散し、余韻が永遠に続いていきます。古酒(と言っていいのかわかりませんが)好きの方が求めているものが、本当にここにある、と思いました。このために多大な犠牲を払う人がいても、自分は不思議には思いません。そう思わざるを得ないほど、感動をもたらす味わいでした。


翌日、翌々日も、アパルトマンのダイニングテーブルに置いておいた、微量のワインが残るボトルの口に鼻を近づけ、宿を引き払う最後の瞬間まで香りを嗅ぎ続けていたのでした。



つづく・・・。


Restaurant "Ma Cuisine"

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怒涛の3生産者訪問と豪華なdegustationの翌日。予報通り、外はやはり雨でした。


この日はいわゆるMay Day(メーデー)、フランス、いやイギリスを除くヨーロッパ全土がお休みの日。実は最初の計画では自転車で畑巡りをすることにしていました。一日かけてCôte de Beauneの畑をつぶさに見て回ろうという計画です。しかし、日本を出発する前から天候が怪しいとの予報がありました。そして、この5月1日に雨が降る確率が高くなったのは二日前。それで、前々日のMontrachet、前日のClos St. Jacquesと、畑を詳細に見ておいたという訳です。


ということで、自転車での小旅行は中止。でも却ってそれでよかったと思います。日本からのフライトに引き続いての連日のドメーヌ訪問と、慢性的な睡眠不足で、実は疲れ切っていたものですから。この休息日は体調回復のよい機会になりました。フライトではほとんど寝なかったし、その後も毎日4、5時間しか寝ていませんでしたので、よっぽど疲れていたのでしょう、やっと8時間超えの睡眠が取れ、なんとか体力を取り戻すことができました。


午前中は、例のBoulangerie(ブーランジェリー)に行ってCroissant(クロワッサン)やQuiche(キッシュ)などを買い込んで遅い朝食にした以外は、宿で洗濯などをしながらゆるゆると過ごしました。でも、丸一日宿に居るのも勿体ないので、午後はボーヌの街の散策へ。


ボーヌの街中では、一瞬Hôtel-Dieu(オテル=デュー)に入ろうかなと思いましたが、なんとなくつまらなそうに思えたので、お土産物屋さんだけ見て、結局入らず。ボーヌ3回も滞在しているのに、実は未だに入ったことがないのです(笑) Marché aux Vins (マルシェ・オ・ヴァン)にはちょっと入りましたが、高価なワインが冷蔵庫型のセラーに入っているのを見てすぐに出てきてしまいました。じゃあ他のワインは大丈夫じゃないのかな?うーん。観光用の施設はなかなか食指が動きません。まあ、でも雨のボーヌを散策したのは楽しかったです。


この日のメインはただ一つ。それは、昔から憧れていたボーヌのレストラン(ビストロ)、Ma Cuisine(マ・キュイジーヌ)での夕食。5年前に初めてボーヌ訪問する直前に、当時銀座レカンでソムリエをされていた大越さんに勧められたのがここを知ることになったきっかけ。そして、いつもお世話になっているKさんのお勧めでもありました。その時は予約もせず、当日直行して満席で断念。ところが、その後「もう観光地化してしまった」とKさんにもお勧めされなくなってしまい、訪問する機会を逸してしまっていたのでした。一度行きたいと思ったお店は、やはりそうは言われても行ってみたい。ということで、なかなか取れないという予約を取ろうと思ったのですが、Websiteも充実していないしe-mail adressも見つからない。唯一の手段は電話なのですが、フランス語はちょっとね、と途方に暮れていました。そこで、今回の旅でご一緒したBurgundyさんにお願いしたところ、我々のために予約の電話をしてくれたのです。しかも、連絡してみるとあっさりと取れたとのこと。またMay Dayにも営業しているなんて、ちょっと驚いてしまいました(ちなみに、お店に行ったらメールアドレスがありましたので次からは大丈夫です(笑))。



 

ここは本当の意味で、ワイン愛好家の聖地のようなものなのでしょうね。


Ma Cuisineは、Place Carnot(カルノ広場)とRue Poterne(ポテルヌ通り)を結ぶPassage Sainte-Helene(パサージュ・サン=テレーヌ)にあります。



こちらはカルノ広場側の入り口。


 


 



          Restaurant "Ma Cuisine"

 

取っていただいた予約は19:00から。少し遅れて入店。


我々の少し前に入ったカップルは予約していなかったようですが、入口近くの席に座れたみたいです。予約なしで入れたのは早い時間帯だったからでしょう。でも、時間制限があったのか、そのカップルは8時過ぎに早々に引き揚げ、すぐに次のお客さんが座りました。


お店に入ってムッシュに案内されたのは、奥の階段を上がったところの席。階下のテーブルも見渡せる良い席です。そして、その二階には二人席が二つと四人席が二つあったのですが、そのうちの四人席一つには、我々が帰る22時少し前まで誰も座ることがありませんでした。階下の席は一杯になっていましたので、きっと予約は入っていたのでしょう。




Table

 

各テーブルには造り手と主にグラン・クリュのワイン名の焼印のある板がはめ込んであります。
こちらはPuligny夫が座った席。



Table

 

こちらはPuligny妻が座った席。こちらはVintage付き。



Aperitif(アペリティフ)

 

アペリティフには軽く泡を。Puligny夫はシャンパーニュをグラスで。PhilipponnatのStandard Cuvéeでした。Puligny妻はKir Royal(キール・ロワイヤル)。使った泡はシャンパーニュなのかクレマンなのかは不明。爽やかで食前酒としては行けますね。



            Gougere(グジェール)

 

                         これはふつうかな?




            Chateau d'Yquem Empty Bottles

 

ここのムッシュはイケムのコレクターとのこと。ワインリストにも壮観と言えるほどのイケムの大群がリストオンされています。ちなみに、Puligny夫のVintageもありましたよ。いつかここでBirthday Vintage d'Yquemを試してみたら楽しいかも。



Wine List

 

ブログで公開するのはNGと思いますので、このくらいの画像で。さすがのリスト。価格順に並んでいます。このページは最も高価な赤のページ。ちなみに、一番最後に記載されていたのは、桁違いのRomanée Conti 1961、その次はHenri JayerのCros Parentoux 1995、そしてRomanée Conti 1972と続きます。最も古いBourgogneのVintageは、多分Volnay Villages 1926 (Etienne Maraux)だったかと思います。


ここはムッシュがサービスを、マダムが料理を担当すると聞いています。ムッシュはデニムを穿いたラフな格好で気さくに話しかけてきます。ワインの知識も半端ではないのだろうと思います。ヴォーヌ=ロマネ グラン・クリュで、飲み頃を・・・と言ったら、「『ヴォーヌ=ロマネ・グラン・クリュ』はないですが・・・。」と返されてしまいました。おっと、正確に言わないといけないですね。さすがはマ・キュイジーヌ。


こちらの要望とムッシュのお勧めとが一致したので、ボトルを一本オーダー。




Asperges Vertes

 

最初のお皿はアスペルジュ・ヴェルテ(グリーン・アスパラガス)。自家製マヨネーズと共に。えっ!と言うくらいシンプルなお皿。でも、アスペルジュはとても柔らかく、マヨネーズもとても美味しかったです。



Escargots Traditionnels

 

ここでもエスカルゴを注文。二人でシェアですから、一人6個。うん、ここのエスカルゴが一番美味しかったと思います。



            調味料

 


さて、ワインがやってきました。


オーダーしたのは・・・



           Richebourg 1991 Gros Frères et Soeur

 

 

Richebourgにしてみました。せっかくなので熟成したものを、というと「これが今は一番です。」とのこと。Bernard Grosの'91。実は前日にSylvainに頂いた60Ouvrees '85のさらに上を狙おうという魂胆(笑)


いや、ここ、テーブルで抜栓しないのですね。オーダーを取ると、下のカウンターのところで抜栓して、そのままデキャンタ。そしてしばらく時間を置いてから、ボトルとデキャンタを席まで持ってきてサーヴします。遠くに見えるデキャンティングの時にちょっと待ってということもできず・・・。まあ、郷に入っては郷に従えですから、黙って受け入れます。


色合いは、Ruby(ルビー)はほぼ消えてGarnet(ガーネット)が支配的。思いの外濃いです。既にデキャンタしてありますから、もう開いているはず。


香りからは、熟成の度合いは申し分ないレベル。ただ、リシュブールに期待したい花々の香りはあるものの、何とも大人しい。まあいいか、ということで飲んでみます。


このリシュブール、実はとても華奢でした。「そこはかとない」感じは悪くはないですが、ある程度の豊満さと雄弁さ、そして途方もないスケール(唯一飲んだベルナールの'89的な)をイメージしていた我々には、今ひとつ響きません。長熟型のVintageのはずなので今現在も力強さも感じられると思っていたのですが・・・。もちろん、素晴らしいワインであるのですが・・・やはり響かないのです。タイミングは悪くはないはずですから、これが実力なのかもしれません。こうなってくると前日の60 Ouvreesと比較してしまいます。あのVolnayにはワインの女神が降臨したとすれば、このRichebourgには女神は微笑まなかったのでしょう・・・。


しつこいですが、素晴らしいワインではあるんですよ、これ。そんなイメージだったなら、若いワインにすればよい、ということでしょうね。



Boeuf Bourguignon

 
 

メインの一つは、今回一度は食べようと思っていたブッフ・ブルギニヨン。赤ワインでよく煮込んであります。お味は・・・まあまあ、かな?コラーゲンたっぷりのスネ肉やスジ肉などで作ったらかなり行けるとは思うのですが、このお皿の牛肉(たぶんスネ肉)は食感が少しぱさつき気味だったようです。



Côte de Veau Braisé Jus Madère

 
 
 

仔牛の骨付きロース肉のブレゼ(蒸し煮) マデイラソース。これは美味。フランスで頂く仔牛はいつも美味しい。柔らかくて旨みたっぷり。マデイラソースとの相性も良いです。料理はやはり、素材ですね。マッシュポテトもよろしいです。


Fromageはパス。ボーヌに来てから毎日食べてましたので、満腹状態に無理に食べることはないかと。


DessertはPuligny夫のみ。



            Crème Caramel

 

軽いものはないかと聞いて、出してくれたのがこのカスタード・ブディング。フランス語ではクレーム・カラメルですかね。なかなか美味しかったです。Puligny妻は既に限界なので、お裾分けをもらう程度に。でも、このプリンは美味しかったようです。だって、結構食べたからにひひ



Café

 

最後はカフェで〆。


あとはヴァローナの小さなショコラ。



 


初めてのMa Cuisine。確かに評判通りに良いお店だと思いました。ムッシュは気さくだし、料理もシンプルで美味しいです。ここがダントツのお店かと言うと、今はボーヌには良いお店が沢山あるので、そうでもなさそうです。ただ、やはりワインの品揃えに関しては、他の追随を許さないという地位はキープできているように感じました。また伺ってみてもいいかなと思います。今度は女神が微笑んでくれることを期待して・・・。あと、昔大越さんが勧めてくれたシャルトリューズの古いものを試し損ねたので、それも今後の目標アイテムとしておきます。



帰りはボーヌの夜景を見ながらタラッタラーと宿までそぞろ歩き。



            夜のカルノ広場

 



Hôtel-Dieu

 


 



            ボトルアート

 

夜のボーヌだと、あかりの灯るお店のショーウィンドーに飾られているこういうアート的なものがよく目立ちます。




とあるワインショップ

 

ここは確か、Magnumというワインショップがあったところ。お引越しされたようですね。



 



この日はとてもゆっくりとできた日でした。お蔭で体調はかなり戻りました。


翌日の土曜日は最後の訪問先、Louis Jadotへ向かいます。



つづく・・・。





Maison Louis Jadot à Beaune

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メーデーの翌日。天気は回復。


この日の予定は、Beauneの大手MaisonであるLouis Jadot社への訪問のみ。


ルイ・ジャドはボーヌ郊外に本社があります。郊外と言っても、宿から高々1.3km程度の距離ですので、15分もあれば着きます。AM10:00の約束だったので、それまでは朝のボーヌを散策。


そう、この日は土曜日。朝市が立つ日です。ボーヌでは毎週水曜日と土曜日に朝市が出るのです。



ボーヌの朝市



チーズ屋さん

ぼんじゅーる、まだむ。じゅぷぐて?

  うぃー。じゅゔぞんぷりー。

せったんぷとーじゅんぬ。じゅぷぐてあのとるふろまーじゅ?とれぼん!じゅゔぇぽーんどるるふろまーじゅ。じゅぷぺいえぱはかはーと?

  ゔぷゔぇぺいえあねすぺす?

うぃー。びあんすゅー。


なあんて、言ってみたいなあ(笑)通じないかなあ(苦笑)



サラミ風ソーセージ(Soshisson)屋さん

せったんぷとーされ。じゅぷぐて・あのーとるそーしっそん?


もういいって!



ラディッシュやらチコリやら

赤のラディッシュに紅白のラディッシュ。


ブーランジェリー

クロワッサンやらパン・ショコラやらカヌレやらブリオッシュやら・・・。



お花屋さん

お花もきれいです。



フルーツ屋さん

じゅぷぐて?


もう、いい加減にしなさい!べーっだ!



遊んでいたらランデヴーの20分前になったので、そろそろ現地に向かいます。宿のアパルトマンを通過して、ルー・デュ・フォーブール・サン=二コラ(D974)に入ります。400mほど歩いて左折してルート・ド・サヴィニーに入ったら、道なりに進みます。



Route de Savigny




Maison Louis Jadot


予定通り10時少し前に到着。



Entrée de la Maison

中に入ると、日本人らしき人たちとアングロサクソンっぽい人たちが待っています。まだ他にも参加者が来るらしく、ちょっと待っているように言われます。個人的にメールを出しただけだったので、グループツアーなのかプライベートツアーなのか知らなかったのですが、やはりグループツアーのようです。ま、アマチュアでジャドのプライベートはありえないか。



エントランスにある立体地図

コート・ドール全域の立体地図があります。ここはPuligny-Montrachet。モンラッシェは真ん中よりやや左上のところです。これだと地形がよくわかります。モンラッシェの左側は急に落ち込むんですね。


やがてフランス人らしきグループがやってきて、ツアーが始まります。このフランス人グループは男女三名ずつだったのですが、各々0歳から5歳くらいまでの子供たちを総勢5名ほど引き連れてやってきたのです。


車数台、子連れでやって来て、デギュスタシオンですか!なんと大らかな!




醸造所の天井




1997年に建設された醸造所。なんとも独特な天井。その下に発酵用の木樽やステンレスタンクがあります。


整然と並ぶステンレスタンク

これだけの規模になると圧巻ですね。



            自動ピジャージュ装置

ジョイスティックを使って、ピジャージュをやることができるようです。最新設備ですね。



            Madame Christine Botton

今回、説明してくださったのは、ここで20年も醸造担当として働いているクリスティーヌ・ボトンさん。英語とフランス語を行ったり来たりしながら説明していきます。正直な話、半分くらいは何言っているのかわかりませんでした。そりゃ、混じりますよね。フランス語を話した直後の英語は、フランス語にしか聞こえない・・・。元々英語のツアーだったのですが、フランス語が混じることでおかしなことになってました(苦笑)


分かった範囲でメモしたのは・・・

ピノ・ノワールを円形の醸造所で醸すこと

ピジャージュは日に2回実施すること

この醸造所は年に2か月程度しか使用しない

などなど・・・。基本情報はウェブサイト に記載されていますが。


まあ、来る前はちょっと気合いを入れていましたが、奇声を上げながら醸造所内を走り回る子供たちを眺めながら、これは単なるレクレーション・ツアーだな思いました。


ははは・・・。



            

これはおそらく、圧搾後のブドウ果汁を各発酵槽に移すためのポンプかと想像します。



白の熟成樽

ツアーは熟成庫に移ってきます。



Chevalier-Montrachet Demoiselles 2014

熟成中の2014年産のシュヴァリエ=モンラッシェ・ドモワゼル。言うまでもないですが、樽試飲はありません。


白はマロラクティック発酵を行う場合でも、途中で止めるとのこと。その加減はクリマによって、ヴィンテージによっても異なるため、酸の分析データも使うけれど、最終的にはテイスティングによって醸造家が判断するとのことでした。



赤の熟成庫

お次は赤。広いです。



Echezeaux 2014

エシェゾーは何樽あるのかな?


さて、そろそろデギュスタシオンです。




テイスティング・アイテム


テイスティング・アイテムは8種類。結構楽しめました。


(1) Pouilly Fuissé 2013

ドメーヌ・フェレもの。2008年に獲得したドメーヌ。

高めの酸。マコネーらしい甘さあり。ストラクチュアがあってダレないところが良いです。


(2) Pernand Vergeless 2011

すっきりとした綺麗な味わい。'11にしては中くらいの量感の酸。


(3) Meursault 2012

バランスの取れた味わい。やはり'12は好みなことが多いです。


(4) Puligny-Montrachet 1er Cru La Garrene 2010

閉じています。'10と思って覚悟するほどの酸ではありません。でも、さすがはガレンヌ、ヴォリューム感があって、余韻が長いです。飲み頃はもうしばらく先ですね。3年後か5年後かな?


(5) Moulin à Vent 2010

シャトー・デ・ジャックもの。1996年に獲得したとのこと。

ボージョレ、最近全く飲んでいませんでした。やはりジャミーですね。下に沈む味わい。ボージョレとしては良い方かと思います。ただ、ちょっとブレット気味だったのが気になりました。


(6) Monthelie 2010

甘めの味わい。特筆なし。あまり印象に残らないワインでした。


(7) Beaune 1er Cru Theurons 2009

ぽっちゃり系。重心の低い味わい。そして、香りに暗い印象があります(あまり悪い意味ではなく)。隣のレ・グレーヴのさらっとしたチャーミングな味わいとはかなり異なります。'09だからそうなのかも?「今でも良いけれど、15~20年はもつ」とのこと。


(8) Nuits-Saint-Georges 1er Cru les Boudots 2007

最後はニュイのブド。赤では当然ながらベスト。'07ということもあり、比較的熟成していて複雑さが出ています。タンニンもシルキー。


今回のデギュスタシオンの中では、個人的には(2)のペルナンがベスト。グランヴァンではないけれど気軽に飲むにはこれが一番と思いました。


ちょっと脱線しますが、デギュスタシオン中に驚いたのはクリスティーヌさん。口に含んでくちゅくちゅやっていたと思ったら、突然顎を引いて構えます。なんだなんだと注目すると、その口からワインがピューっと吐き出され、中央に置かれたスピットーンに命中します。その距離1mは裕にありました。スピットーンの周りに人がいてもお構いなし。というか、絶対に周りに飛沫すらも掛からないのです。これを全アイテムでやるものだから、毎回観察しちゃいました。感動のあまり、写真を撮り損なってしまいました。いや、プロは凄いと本当に思いました。


テイスティングの間も、小さな子供たちは熟成庫とテイスティングルームの中を駆けずり回ります。さらには熟成庫の下に敷いてある小石を投げ始めます。0歳くらいの乳飲み子はわんわん泣いて、とても賑やかなデギュスタシオンでした。


フランス人グループの一人の男性が、それを見ながら「子供だから仕方がないよね。でも可愛いでしょ」という顔をしながら、こちらに相槌を求めたような気がしましたが、返す気になりませんでした。でも、今思うと、ちょっと大人げなかったな・・・。


テイスティング・ルームにあった土壌断面の標本。なんと、シュヴァリエのドモワゼルに、ジュヴレのクロ・サン・ジャック。今回の旅で立ち寄った二つの畑の断面サンプルでした。



           Chevalier-Montrachet Demoiselles
       

ものの本には、シュヴァリエの土壌は、表土に近い側にバトニアン後期の石灰岩、その下にバジョシアンのウミユリ石灰岩となっていますが、この標本はすべてが存在しているのか、見た目ではわかりませんでした。


           Gevrey-Chambertin Clos St-Jacques

ここの土壌も、表土に近い側がバトニアン/コンブランシアン、その下がバジョシアンのウミユリ石灰岩、のはずですが、この標本に全て存在しているのかは?です。


これでおしまい。今回のツアー代は20ユーロ/人でした。


その後はお決まりのワイン購入。皆いろいろと買い込んでいます。特に、例のフランス人グループは、箱で爆買い(笑) メゾンにとってはいいお客さんですね。



            メゾン内のショップ


我々はあまり買うつもりがなかったので、この日のディナー用のワインを調達することにしました。蔵出しなので、熟成したワインが良いかなと思って探したら、PulignyとChassagneで良さそうなものがありました。クリスティーヌさんにも相談すると、断然PulignyだということでPulignyに決定。これについては、次回の記事で。


ルイ・ジャド訪問。ネゴシアンとしては良かったとは思いますが、やはりグループ・ツアーというのは単なる遊びでしかありません。’09に訪問したブシャールも、昨年のシャンパーニュのヴーヴ・クリコもそうでしたが、ドメーヌでの個人訪問のディープさや贅沢を知ってしまうと、メゾンのお仕着せツアーは正直面白くありません。何等かのピンポイントな目的がある場合を除いて、もうメゾンのツアーに行くのはやめようかと思います。


この日はもう用事がないので、ボーヌの街で買い物をしたりしてゆっくりと過ごすことにします。まずはお昼を食べなきゃ。さあて、どこで食べようかなニコニコ




つづく・・・。

Le Déjeuner et le Dîner à Beaune

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ルイ・ジャドの「レクレーションツアー」の後、一旦宿に戻ります。でも、お腹が空いていたので、すぐにデジュネを食べに街に向かいます。


行ったことのないお店に行こうと色々探したのですが、なかなかこれは!と思うところが見つからず。さんざん迷った挙句、昔も行ったことのあるブラッスリーに入りました。



Brasserie le Béléna

ここは2年前にもデジュネで寄ったブラッスリー。Guillaumeのお気に入りの一つでした。



お通し

グラスワインを頼んだからかな?黒&緑オリーブとパテが突き出しとして出てきました。結構美味しいです。


実はワインの写真を撮り忘れ。頼んだのは下記です(グラスで一杯ずつ)。数少ないグラスワインリストから面白そうなものを選んだだけですが・・・。


Puligny妻: Saint-Romain 2013 造り手不明

Puligny夫: Meursault 2003 造り手不明


このサン=ロマンが美味しかった。すっきりと爽やか。この後メインとしてPuligny妻が食べたサラダのシェーヴルとばっちり。


ムルソーも大変に面白いワインでした。相当に熟成していて、しかもフルフルボディ。こんなムルムルしたムルソーは久し振り。このムルソーもPuligny夫が食べた重たいサラダと相性ばっちり。


何だか知らないですが、誰かがサジェスチョンしてくれたかのようなマリアージュを、全くの偶然で体験してしまいました。


後でお店の人に、飲んだワインの生産者を訪ねたところ、誰も「知らない」とのことでした。すぐ答えられないのは良いとしても、調べようともしないのは困ったものです。こちらの方にとって、そんなことは全く大事なことではないのですね。



Salade Bressane

ブレス風サラダとでも言うのかな?ベーコンとフォアグラ(むしろレバーと言いたい)蒸し、そしてポーチドエッグ。いやいや、重たいサラダです(笑) この「レバー」蒸しがしつこいというか、かなり疲れる味わいだったのですが、これがムルソーの'03とバッチリ。後味すっきり。



Samoussa de Chevre

シェーヴル入りのサモサ。これに濃厚なバルサミコ酢がトッピングされています。これは絶品。ブルゴーニュに来るようになって美味しいなと思うのは、サラダに使うシェーヴル。生あり、焼きあり。とても美味しく、白ワインとの相性も良いです。このお皿は、上述の通りサン=ロマンとの相性が素晴らしかったです。



Tarte aux pommes-framboises, crème anglaise, coulis de fruits rouges

デセールは一皿だけ。ラズベリー=アップルパイ。これも結構美味しかったです。




カフェ

カフェで〆。満足のいくデジュネでした。



この後は、カルノ広場のAlain Hess(アラン・エス)に行って、日本へ持ち帰るフロマージュをゲット。翌日(日曜日)移動予定のパリではフロマージュリーが全面お休みのため、早めだけれどボーヌで買い込むしかないことが分かっていました。そこで、保冷バッグと保冷剤を持って来ていて、宿の冷凍庫で凍らせておいてあるのです。


そう言えば、2年前のこと。この店で英語でやり取りをしようとして女性の店員さんに英語で良いかと聞いたら、あっちのムッシュに聞いてねと逃げられました。それで、その振られたムッシュに話しかけたもののほとんどしゃべってもらえず、がっくりしたことがありました。でも、今回は不思議。同じムッシュなのに、ペラペラと英語を話してくれるのです。2年前はおばちゃんにムカついてしゃべれないフリしたけど、今回は一緒にいた男性の店員に見本を見せるかの如く立派に振る舞ったということでしょうかね(苦笑)


アラン・エスを出るや否やまた雨が降ってきました。一旦、近くのワインショップ、ドゥニ・ペレで雨宿り。これまではこのお店で結構買ったのですが、今回は購入しませんでした。小雨になったところで宿に戻り、傘をもって出直し。


マニアックな本屋さん兼ワイングッズ屋さん兼お土産物屋さんでもあるアテナウム(お、「宛名有無」とも書けるぞ!)で、クロ・ド・ヴージョの各パーセルの所有者が書かれている地図を探しましたが、見つからず。お店の人にある本にその記載があることを教えてもらいました。その本はまだ買ってませんが。買ったのは、ワインの香りの本。これ、香りの成分の化学式が記載されていてマニアの心をくすぐる本です(笑)


その後、シャルキュートリーに行ってその日のディネのメインディッシュを選びました。



宿でのディネ

買ってきたシャルキュートリーとBurgundyさんとのパーティーで買って頂いたフロマージュ(まだ冷蔵庫に残ってました)が本日のディネ。こうして見てみると少ないですね。でも、これで全てです。




テリーヌとゼリー寄せ



Terrine de saumon(サーモンのテリーヌ)

ふわふわのテリーヌ。


海老と肉のジュレ

食べたときにメモらなかったので海老以外の肉がなんだか失念しましたが、見た目からは鶏肉だったかも。





海老のカクテルとパテ

もう一皿はこんな感じ。




Jambon Persille

周りをパイ生地で包んだタイプ。中身はジャンボンペルシエです。




             Pâté de foie gras

フォアグラ(入り)のパテ。あとはカナールだったかと思います。これはなかなか美味しい。この日のワインともよく合いましたよ。




            海老とグレープフルーツのカクテル

写真が暗くてすみません。海老とグレープフルーツって合うんですよね。トッピングのローズマリーとライムも見た目を良くしています。




Époisse de Bourgogne

エポワスやコンテなど。エポワスは三日前も硬かったのですが、この日も周辺の一部を除いてまだカチカチでした。うーん。アラン・エスとしたことが・・・。でも、さすがにフルボディの白とは合いますね。


ワインは以下。



Santenay Les Charmes Dessus 2011 Domaine de Bellene

二日前にSylvainから頂いたサントネイの残り。

甘い貴腐の香り。味わいは複雑だけれど、重心の低い鈍重な味わいなので、適度に冷やす必要があります。口中の位置も低めですから、豚肉に合いそうな味わい。


合わせた食事の中では、海老とグレープフルーツのカクテルとの相性が素晴らしかったです。もちろん、ワインの味わいから想像した通り、エポワスとの相性が抜群。また、ジャンボンペルシエとフォアグラのパテとの相性もよろしかったです。




           Puligny-Montrachet 1er Cru Les Referts 1997 Louis Jadot

これがLouis Jadotで購入したPuligny。もう一本Chassagneで迷ったのは、'98のEn Cailleret(カイユレ)。ジャドのエノロジストのクリスティーヌさんは迷いもなく、絶対Pulignyよと。


Referts(ルフェール)はCombettes(コンベット)の下でCharmes Dessous(ムルソー・シャルムの下部)の隣。しかも'97。いかにも重たそうに聞こえます(笑) 改めてエチケットを見て、あれれ、こんなの買っちゃってシラー・・・と思ってしまいました。


濃いゴールド。

蜂蜜、バター。熟した洋梨、焼きりんご。ミネラリーな香り。

口に含むと、実になめらかなテクスチュア。酸は中庸。甘味があって重心が低い味わい。ヴォリューミー。オレンジピールのほろ苦さ。口中は低位。ヴィンテージがテロワールと同じ方向で、相乗効果というか、ルフェールらしさムンムンというか。


ですから、貴腐のサントネイとの組み合わせは強烈です。もう逃げ場がありません。ただ、サントネイに比べるとルフェールはかなりエレガント。そのせいか、どの食事とも相性が良いです。特にフォアグラ入りのパテとの相性は秀逸。まあ、サントネイとピュリニーの違いを見せつけられたということでしょうね。




おまけ。今回のお惣菜を購入したお店はこちら。


Charcuterie Franck Bourgeon



ここのシャルキュートリーは美味しかったです。お惣菜の見た目もきれいです。下の写真のようにお店のロゴ付きの専用車もあるのでチェーン店なのかなと思いましたが、HPもなく、イエローページにもこのお店舗のことしか書かれていませんでした。きっと、店舗はここだけで、他にケータリングサービスなどもやっているのではないかと思います。



楽しかった5日間のボーヌ滞在もこの日で終わり。翌日はボーヌを出てパリに向かいます。パリは日曜日の一泊のみ。三ツ星レストランはほとんどやっていないので、断念。その代り、今パリで流行しているお店に行ってみることにしました。その模様は、次回の最終回にて。




つづく・・・。

Dernier jour à Paris パリでの最終日

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今回のブルゴーニュ旅行記も最終回です。


4/27から6日間滞在したボーヌを出発し、パリに向かいます。


この日は朝から雨。まずはApartmentの引き払い。立つ鳥跡を濁さず。というか、ゴミを残すとdeposit(デポジット:敷金のようなもの)から引かれてしまうらしいので、一切のゴミを残さず、きちんと捨てます。ボーヌは分別回収が行き届いているんですね。燃えるゴミや燃えないゴミ、ペットボトルなどは建物の一階にあって便利なのですが、ワインの空ボトルの捨て場がApartmentから徒歩3分くらいのところにあって面倒でした。雨の中傘を差しながら捨てに行きました。割れたグラスも同じところに。最終的にデポジットは全額戻ってきたので、グラスを割っても引かれなかったということですね。


最後に部屋の鍵を建物入口のキーボックスに収めて、このアパルトマンともお別れです。結局、ここの管理者の方とは面会せずでした。メールでは現地でも日本でもやり取りしたのですが・・・。ホテルやシャンブル・ドットでスタッフやオーナーと会わないことはないですが、アパルトマンはこんなものなのですね。なんか呆気ない感じでした。


ボーヌ発の電車は11:00。宿から駅までは近いので、雨の中をスーツケースを転がしながら歩きました。ボーヌの外周は車道の内側に舗道があるので、そこだとスーツケースも転がし易かったです。


この街も何度も歩いて、なんか勝手知ったる土地になってきました得意げ



Gare de Beaune (ボーヌ駅)


乗った電車はDijon Ville駅で乗り換え。30分以上もあったので、駅のカフェでカフェラテとエスプレッソを一杯ずつ。ここからパリまではTGV。この日は日曜日だったので車内は既に混雑。棚という棚はすべて埋まっていたので、スーツケース二個を置く場所を探すのに難儀しました。仕方なく出入り口の近くのスペースに置かせてもらいました。1等車両だったら空いていたのかな?


途中で車掌さんが検札に来ました。実はBurgundyさんに予約して頂いたネット予約チケットをプリントアウトしてもっていたので、それを渡しました。しかし、その車掌さん、なんとバーコードリーダーを忘れたとのこと。それでパスポートを出させられ、番号などを控えて行きました。「パスポート・プリーズ♪」という言い方が気に入りませんでしたね・・・。しばらくして、またその車掌が戻ってきて、「あなた方のチケットはリストにない。」と、勝ち誇ったような顔で因縁をつけてきました。まるで無賃乗車だと言わんばかりに。そしたら、もう一人車掌さんが来て、「僕のバーコードリーダーで読んでみたら?」と渡すと、あら、あっさりとOKと出たようです。で、「ああ、OKだったよ。」と。はー。この旅で唯一ムカッときた出来事でした。こんなバカたれ車掌がフランスの電車にたくさんいるかと思うと、げんなりしますしょぼん


そうこうしているうちに、Gare de Lyonに着きました。そのままホテルに向かいます。タクシーという手もありますが、パリの駅ではさすがにやめておきました。それでメトロを使ったのですが、思っていたよりも階段が少なく、移動はそれほど大変ではありませんでした。昔は階段が多くて大荷物での移動が大変でしたから、最近改善したのかもしれません。


途中、メトロの車内でフランス人夫婦と何となく会話が始まりました。日本から来て明日帰るんだとか、ブルゴーニュでドメーヌ巡りしたんだとか。ワインも買ったよとか。降りる駅に近づいたとき、旦那さんの方が(酔っぱらっていたのですが)一緒にいた仲間に大声のフランス語で「このスーツケースにワインが一杯入ってるんだってさ。」話したものだからびっくり。さすがに奥さんにたしなめられていました。フランス語わからなくても内容がわかったので、おいおい、と思いましたよ。まあ、大金が入ってるとか言われたらまずかったですが、ワインじゃあ大丈夫ですね(苦笑)



Regent's Garden Hotel

ここはネットで調べて決めたホテル。ここの自慢は名前の通り中庭です。



The garden in the hotel

なかなか素敵なお庭でしたよ。帰りのタクシー待ちのときに寛いでました。



Standard room

予約したのはスタンダード・ルーム。まあ、ちょっと狭いですが、たった一泊ですからOKでしょう。



           
The garden through a window

                   この先に見えるのが先ほどのお庭です。




            Bathroom

バスルームは普通ですが、まあ使い易い方ですね。




Two pairs of slippers

この辺はしっかりしてます。




iPad

最近のホテルにはiPadまで置いてあるんですね。人のiPadはあまり使う気がしないですが。



この後、伊勢丹のMさんに教えて頂いたパティスリーとブラッスリーを訪ねます。


まずはMontmartre(モンマルトル)へ。



      
            
モンマルトルにて



Pâtisserie Gilles Marchal à Montmartre

ここは今パリで最もホットなパティスリー。オーナーのジル・マーシャル氏は、プラザ・アテネを経てブリストルでシェフ・パティシエを務め、その後ラ・メゾン・デュ・ショコラのクリエイティブ・ディレクターとして名を馳せた方とのことです。そして、2014年11月末に念願のお店を開いたとのこと。


お店に入ると、結構小ぶりなお店ですが、新しいだけあってとてもきれいです。そして、店員さんが東洋人のマダム。へえっと思っていると、その方から日本語で話しかけれます。おや、日本の方だったんですね。じゃあ、ということでいろいろと詳しく教えて頂きます。欲しい物はお土産と、自分達で今食べるガトーやヴィエノワズリー。


それではまずgâteau(ケーキ)から。お勧めを二つほど。実はこのお店、イートインができる訳ではないのです。でも、その方の計らいで、厨房とお店の間の小さなカウンターのところにトレイを置かせて頂いて、味わわせて頂きました。




Tart Fruit Rouge et Religieuse

イチゴのタルトとショコラのシュー。

とにかく、このガトーが絶品でした。なんか、美味しいツボを心得ているというか、ストレートに美味しいガトーでした。


そして、ヴィエノワズリー。「これは明日の朝食用ですか?」 お、わかってますねえ(笑)




翌朝に頂いたヴィエノワズリー

左上がオレンジのブリオッシュ(Brioche Fruit)、右上がカスタードのペストリー(Lunette Vanille)下がクロワッサン・アマンド(Croissant Amande)。これ、翌朝に頂いたのですが、美味しいのなんの。生地の質感、甘さ加減。素直に笑みが出てきてしまう味わい。事前情報で美味しいと聞いていても、それでも美味しい。このお店、大人気だというのは納得です。これからも益々繁盛するでしょうね。


あと、ミラベルのコンフィチュールやマロン・クリーム、お土産に3種の生キャラメルなどをゲット。


お相手して頂いた日本人のマダムにお礼を言ってから、ちょっと気になったので、「あの、どういうお方ですか?」と質問しにくいことを質問しにくそうに質問したら、「あの、ジルの連れなんです。」と粋なお答え。ああ、そうだったんですか~。なんでも、メゾン・デュ・ショコラで一緒に働いていた縁とのこと。名刺を頂きました。


AYAKA KUDO (たぶん、彩佳さんとおっしゃると思います)


ブルゴーニュのドメーヌでも、パリのパティスリーでも、日本人の奥様って結構おられますよね。日本人女性、人気ありますね!彩佳さんもジルさんと一緒に頑張って欲しいです。最後にジルさんも出てきてくれましたよ。


ジルさん 「じゃあまたね。じゃあまた。じゃまた?じゃま?」


変な日本語ながら、日本人でも笑える話し方でした。さすがは日本人女性をパートナーにもつフランス人ですね。握手して分かれます。


そうそう、あと、カヌレ(Cannele)もゲットして、歩きながら頂きましたよ~。これもほっくり、しっとりとして美味でした。このお店はぜひまた来たいと思います。パリに何日か滞在するなら、毎日朝ご飯用に買いに来るのもいいですね。


Gilles Marchal à Montmartre

住所:9 rue Ravignan 75018 Paris

電話:01 85 34 73 30

営業時間:火曜日-日曜日 9:00-20:00

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その後は地下鉄に乗って、お目当てのブラッスリーのある駅(Duplex駅)で降ります。ディナーまでには時間がありまたので、まずは近くを散歩。


どうやら、この近くにエッフェル塔があるようなので、行ってみます。



            La Tour Eiffel



いや、しかし、ここはパリであって、パリではないですね。外国人でごった返しています。圧倒的多数は中国の方。自撮り棒で記念撮影しているのはやはり韓国の方でしょうか?他にも多数。あたかも世界中の民族がいるかのようでした。でも、日本人はあまり見かけませんでしたから、もうこういう観光地には来ないのでしょうね。



標識

おしゃれな標識だなと思って、あとで意味を調べてみると、


「犬は鎖でつないでおくこと。第8条規定」



観光バス

大量の観光バス。みんな食事も塊になって同じ店に入っていきます。中華料理店も一杯になってました。


時刻は18:30。ブラッスリーのところまで戻ってきました。17:30頃に寄って聞いてみたら、ディネは19:00からとのことだったのですが、もしやと思って入ってみます。



La Cantine du Troquet Dupleix

ここがお目当てのブラッスリー、ラ・カンティーヌ・デュ・トロケ・デュプレ。バスク料理のお店なのです。(べつにカッコつけてモノクロにしたのではありません。設定間違えて白が飛んでしまったので、モノクロにして誤魔化しているのです。)


「ディネだったら19:00よ。」とやはりおねえさんに言われてしまいます。でも、もう他に行くところもないので、ワインでも飲みながら待ってていい?と言って、入らせてもらいます。


じゅゔぇぽほんどる あんぴっしぇどゔぁんほぜ 「ロゼワインをピッチャーで」

(あ。このときはフランス語まったく知らなかったので、英語で頼んだんだったシラー


本当はロゼをグラス二つもらおうかと思ったら、おねえさんが、「グラスは一杯125mlで5ユーロ、二杯250mlで10ユーロよ。ハーフリットル(500ml)は12ユーロでこっちがお得だから、こっちになさい。」と諭されてピッチャー入りにしたのでした。どれだけ飲めるかは聞かないんかいむっ まあ、飲めるからいいけどねシラー



Mont Caume, Domaine Ray Jane 2013

暑かったので、きりっと冷やしたプロヴァンスのロゼ。可もなく不可もなくですが、パリのブラッスリーで飲むと美味しく感じます。




            ナプキン


ゆっくりとロゼを飲んでいると、19:00。もうディネのオーダーができる時間です。


まずはワイン。バスク料理ですから、もちろんシュッド・ウェストの赤にします。



     L'Escudé Rouge 2013


IGPコント・トロサンのレスクード・ルージュ。セパージュは、カベルネ・フラン、メルロ、タナ(ット)。樽熟成。


なんとも印象的なエチケット。味わいはそれほど印象的ではありません。しっかりと濃い赤で、タナが入っているにもかかわらず、それほどタンニンは多くはなく、飲み易くはありました。まあ、じっくりと味わいよりもがぶ飲みして楽しむタイプのワインかと思います。


お店の人に、お勧めのバスクのお皿を聞いて、4皿ほど頼むことにしました。



Oreilles de Cochon Grillées

Oreilles de Cochonとは、豚の耳のこと。すなわち、ミミガーです。

これがまた美味しかった!豚の耳の「堅くて柔らかい」絶妙な食感が素晴らしい。お腹が空いていたこともあり、バクバクと食べてしまいました。



Couteaux a la Plancha

Couteauxとは細長いナイフ貝、すなわちマテ貝。それをプランチャ、つまり鉄板焼きにしたもの。これは2006年にスペインに行った際に食べたことがあります。これも美味しい。スペインで食べたものよりも洗練されていて美味しかったかもしれません。



Pain



Lomo, haricots blancs cuisinés

プラの一つ目は豚肉料理。ロモとはロース肉のこと。スペイン語ですね。さすがはバスク。豚が有名ですからね。白いお豆が付け合わせ。

塩豚なのでしょう、塩辛いです。また、正直、普通のお味です。日本の優秀な豚肉を食べてしまうと、フランスやスペインといえども、それを超える豚肉はほとんどないのではないでしょうか?


Parmentier de boudin de chez <<Ospital>>

ブーダン・ノワールです。と言っても詰め物ではなく、中身だけという感じ。このブーダンはソーセージというよりも、コンビーフ的な食感でした。パルメンティエ、つまりジャガイモと共に。ジャガイモはマッシュポテト。美味しかったけれど、昨年Reimsで食べたブーダン・ノワールの方が美味しかったな。


ゔざゔぇふぃに? 「もうお済でしょうか?」

うぃー。けすくゔざゔぇ こむでせーる? 「ええ。デザートは何があるの?」

(いや、言ってない、言ってない(笑))




            Dessert du jour

「本日のデセール」を頼みました。例によって一人分(笑) ヴァニラアイスクリームとクッキーとカスタードクリームを使ったケーキ。お味はまあまあ。いや、この日にジル・マーシャル行ってしまったものだから、ここのデセールを評価するのは可哀想です。




            Café

                        エスプレッソで〆。


お味は上々。特に前菜的なお皿がおいしかったです。スペインに近いということで、タパスのようなおつまみが美味しいのでしょうね。特にミミガーはお勧めです。プラ(メイン)に関してはそれほどでもないかなと思いました。


今、パリではバスク料理が流行中とのことです。このお店も大人気だそうです。で、行った日は日曜日で、20:30くらいまでいたのですが、店内はそれほど人が埋まっていませんでした。


この後、最寄りのDuplex駅からメトロに乗って、ホテルのあるEtoile駅に。一昨年、東駅界隈が非常に危険な街に見えましたが、このエトワールの界隈は安全そうに見えます。



            Arc de triomphe de l'Étoile (エトワール凱旋門)

21:00過ぎのエトワール凱旋門。まだ人影はまばらです。


ホテルはすぐこの近くなので、一旦戻ります。そして、荷物を置いてすぐに街に出ます。日没後のエトワール見物です。



             パリの月

そう言えばブルゴーニュは雨でしたが、この日のパリは良い天気でした。大きな月が出ていました。



            エトワール凱旋門と月

凱旋門の間の月。

パリの象徴と言われるだけあって、とても立派な建造物。夜景も素晴らしいです。


ホテルに戻ったら22:30。その日はぐっすりと寝て、翌日はいよいよ出発です。



            
La Maison du Chocolat

もう日本では超有名で、店舗もあるようなのですが、我々は初めてです。パリには数軒あるようです。


ここでもショコラなどのお土産を購入。



            Éclair

ラ・メゾン・デュ・ショコラのエクレア。お店で見てどうしても食べたくなりました。店員さんのお勧めも聞いてカラメルとショコラを選びました。


これをお店を出てすぐにかぶりつきます。激うま!です。カラメルが特に気に入りました。ちょっと値段は張りますが、一度は試すべきかと思います(笑)


この後はワインショップ。この界隈には沢山のショップがあるので、下見をします。途中でお腹が空いたので軽くデジュネ。


その辺のブーランジェリーに入ってイートイン。その店の名前は、Be Boulangepicier(ビー・ブーランジェピシエ)。



Croque d'York

クロック・ヨークという名のクロック・ムッシュ。Jambon d'Yorkを使っているので、そういうネーミングになったのでしょう。


Pizza Verte

グリーン・ピザ。サント=モール(シェーヴル)を散りばめてあります。これもそれなりに美味しい。


その後、ワインショップに行ってお買い物。


箱で購入したので、ショップにタクシーを拾って頂き、ホテルに戻ります。単に道で拾っただけなのに、とても良さそうな運転手さんでした。現地の人が拾うといいタクシーが見つかるのですね。


Regents Garden Hotelでは、空港までの送迎タクシー(定額)を手配してもらって、スーツケースとワインの箱を運びました。今回は余裕がなかったのでプライベート・タクシーでしたが、時間があれば格安の乗合タクシーを選べます。エールフランスのバスも良いですが、荷物が多いとタクシーが楽ですね。そうそう、空港や駅からホテルに行くときも、ホテルに予めメールしておくとタクシーを手配してくれるそうです。我々はメトロで向かいましたが、今度来たときはホテルに頼んでみても良いかなと思いました。


タクシーは順調にシャルル・ド・ゴール空港に着き、まず最初にTax Refundの手続きをします。その後、チケットカウンターにて、スーツケースとワインの箱を預けました。Fragile(割れ物)と言うと、通常のベルトコンベアーではなくて、スタッフがカートに乗せて運んでくれました。搭乗手続きもチェックインも順調で(パスポートチェックもいつも通りに適当で)、空港内ではゆったりと過ごせました。


帰りのフライトは行きと特に変わり映えもせず。食事もワインも割愛します。パリ発なので、シャンパーニュの量は潤沢だったようです。帰りはあまり飲む気がしませんでしたが・・・。


いろいろと書き綴ってきましたように、今年のワイン旅行もとても充実していました。旅先でお会いした方々、ご一緒した方々、事前準備含めて関わった方々に感謝の意を表したいと思います。来年もまた、充実した旅行ができるように、日ごろの行いに配慮したいと思います(笑)


ゆるゆると書いてきた旅行記も今回で終了です。長らくお読み頂き、どうもありがとうございました。



おしまい。


Chambertin Grand Cru 1996 Domaine Louis Remy

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ひと月半かけてブルゴーニュ旅行記を綴っていたら、通常の家飲みワインの記事が相当溜まってしまいました。その前にも相当溜まっていたので、結局4か月ものビハインドです。どうしよう?でも、書くしかないじゃない、ということで、これから頑張って挽回したいと思います。段々追いつかなくなりそうな予感がありますが・・・。


遡ること2月22日。


ルイ・レミーのシャンベルタン1996を開けました。2013年7月にMorey-Saint-DenisのDomaine Chantal Remyを訪問した際に、Florianさんから購入したドメーヌ蔵出しもの。








やや濃いめのガーネット。リムは薄いオレンジ。


香りは、チェリーやラズベリー等の赤系果実。やや高めのトーン。いくつものスパイス。麝香のような艶めかしい香り。マッシュルームのような土っぽさ。少し血を感じさせる動物香。


口に含むと、実にエレガントで芯の強い味わい。風格はさすがシャンベルタン。酸が綺麗にワインと馴染み、溶け込んだタンニンのシルキーな緻密さ。ミネラルは強過ぎることはないけれど、やはり鉄の拳のような独特の存在感があります。口中でのワインの高さは中位。余韻にチャーミングな赤果実が残ります。シャンベルタンと言えば、男性的なイメージでしたが、このシャンベルタンは女性的なイメージを感じます。


熟成が進んでいますが、まだ上り坂だと思います。でも、我々にとってはこのくらいの熟成感も好みです。だから、我が家にとってはベストタイミングと言ってもいいかもしれません。



先代のルイさんのサインでしょうか?



コルクは途中でもげてしまい、何とか救済しました。集中して開けなかったので・・・。このくらいのヴィンテージになると、神経を使って丁寧に開ける気持ちが必要ですね。




アヴォカド

これは伊勢丹の地下で購入した300円のアヴォカド。ちょっと若かったですが、質は十分。

ワインとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




            アスパラガス


こちらも伊勢丹の地下。長崎産。軽く茹でて白トリュフ塩を振りました。

ワインとの相性は、これも宜しいです(マリアージュ点7/10)。




大根のソテーとルッコラ バルサミコ風味

お取り寄せ野菜の大根をスライスしてソテー。バルサミコ酢をかけました。

ワインとの相性はまずまず(マリアージュ点6.5/10)。




日高牛ランボソのステーキ

I's Meat Selectionにて。北海道産日高牛です。ランボソはランプの一部で、ランナカではない方。ちなみにランプはランイチからイチボを外した部位。つまり、ランイチ=ランプ+イチボ。ランプ=ランナカ+ランボソ。

適度に柔らかく噛み応えがあり、かつジューシーなお肉でした。ワインとの相性は素晴らしい(マリアージュ点7.5/10)。ワインが素晴らしかったからでしょうか、普通に牛肉に合わせてもよく合います。今回のようにあまり霜降りの牛肉でない方がシャンベルタンには合うでしょうね。



飲んだ日:2015.2.22

入手日:2013.7.27

購入店:Domaine Chantal Remy

輸入者:スーツケースで空輸

容量:750ml

アルコール度数:13%

私達のお好み度: A (最高A++、最低C)

飲み頃度:今素晴らしいと思う。そして、あと5年はさらに良くなる可能性あり。

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2008er Jesuitengarten GG, Bassermann-Jordan

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Dr. von Bassermann-Jordan(ドクトル・フォン・バッサーマン=ヨルダン)の2008年産Forster Jesuitengartten Riesling Trocken(フォルスター・イェズイーテンガルテン・リースリング・トロッケン)を開けました。


同じワイン を2013年の3月に飲んだ際は、素晴らしかったものの、やや閉じていたように思いました。その2か月後に2010年産 を飲んだ際は、リリース後間もない時点での美味しさを味わうことができました。あれから2年後、再び2008年産です。






中くらいからやや濃いめのイエロー・ゴールド。グラスの底に細かい気泡が付着。


香りは、白から黄色の花々。黄桃、パイナップル等の少し暖かい系のフルーツ。レモンのシロップ煮。クリームやヨーグルトなど。


口に含むと、酸と言いミネラルと言い、石灰質っぽさを感じます。ここは粘土質を主体に玄武岩や雑色砂岩、石灰を含む泥灰岩などが入り混じるそうなので、必ずしも「石灰質土壌」という訳でもないのですが・・・。舌にほんの痕跡的な泡を感じます。液質は既にまろやかになっていますが、滑らかながらも鋭い酸がまだ力を蓄えていて、熟成の頂点を超えてはいないことがわかります。果実も若干残っています。


口中での高さはやや上方で、さらに上に伸びていくイメージ。モーゼルのような重さのあるミネラル(自分的には・・・)とは異なるものの、ぐっと締りのある重層的な味わい。この荘厳な味わいは、このワインに毎回感じる印象です。


今回の'08は、2年前よりも良くなっているように感じました。2年前の'10も素晴らしかったですが、それとは熟成度合が異なります。ですから、この2年間で浮上してきたのかもしれません。我が家にとっては今が飲み頃のように思います。でも、この後さらに熟成するのかどうかは、未経験ゾーンのためわかりません。






外側は黒い黴。恐らく蔵で付いた黴ですかね。



内側には酒石酸の塩。




白菜と人参と大根の中華風炒め

ワインのお供っぽくないお皿(笑)

ワインとの相性はまずまず(マリアージュ点6.5/10)。




びん長マグロと鯛のレモンカルパッチョ

びん長マグロは銚子産。鯛は天草の養殖。中央部に鯛。周辺部にびん長。レモンの皮のすりおろしとレモン汁、それにシチリア産のオリーブオイルと塩を振りかけました。

びん長は柔らか目でさっぱりとした味わい。ワインとの相性は素晴らしい(マリアージュ点7.5/10)。

鯛は身が引き締まっているので質感が硬め。レモンの風味との組合せも相俟って、ワインとの相性は素晴らしい(マリアージュ点8/10)。


プファルツのGGと身の引き締まった鯛との相性は、新たな知見です。



この日のデセール。



            ハーゲンダッツ 華もち きなこ黒みつ



これは画期的。というか、アイスともちの組合せは雪見だいふくで慣れていたはず。でも、この華もちは数段上の味わいですね。


これは今ではなくて、2月の話ですので・・・。今、ハーゲンダッツのHPを見たら、発売二日後から現在まで販売休止中となっています。買いたくて我慢できない人が、信玄餅とアイスを混ぜて食べているとか(笑) また、ヤフオクで見つけたのですが、4個で9,500円の値段が付いていました!異常です。こんなに人気だとは。早く再開することを願っています。




飲んだ日:2015.2.28

入手日:2013.4.11

購入店:ドイツのワインショップ(B)

輸入者:個人輸入(空輸)

容量:750ml

購入価格:€29.33

アルコール度数:13%

私達のお好み度: A- (最高A++、最低C)

飲み頃度:今美味しい。この後の進化についてはわかりません。

A.P.Nr. 5 106 064 10 09

Single Vineyard Cabernet Sauvignon 2010 Errazuri

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この日はチリワイン。Errazuriz(エラスリス)のシングル・ヴィンヤード・カベルネ・ソーヴィニヨン2010を開けました。


チリの銘醸地、アコンカグア・ヴァレー。ブラインド・テイスティングでマルゴーやラフィットを破ったワインを擁するワイナリー。このシングル・ヴィンヤードシリーズは中堅どころのキュヴェ。ソーヴィニヨンとフランが88:12(2012年産のデータ)。




深く濃いパープル・レッド。リムは狭いルビーレッド。若々しい色合い。


香りは、ブラックベリー、プルーン。ユーカリプタス、ミント。ヴァニラ。ピーナッツ。少し焼いた肉。鉛筆。


口に含むと、カベルネ・ソーヴィニヨンらしくハーバルな香味とスパイシーで凝縮した果実味を感じます。フルボディワイン。タンニンが多くないので、とても飲み易く優しい味わい。適度な酸が全体を引き締めます。口中の高さは中位。上に伸びるような垂直性を感じます。ただ、下方向への伸びがありません。きっと、自根ではないのだろうと思います。中央に集中する味わい。


こういう濃厚なワインも、その気になればまだまだ飲めると思います。ただ、こういうワインに対するenthusiasum(熱意)が以前に比べて薄れてきたような気もします。あるいは、試したことないですが、熟成チリワインなら面白いのかもしれません。機会があったら試してみようと思います。








アスパラガス

佐賀産。軽く茹でて。

ワインとの相性はまずまず(マリアージュ点6.5/10)。カベルネと青野菜との組合せですが、それほどでもなく。




生ハムとルッコラ

生ハムはスーパーでも売っている日本の会社のもの。ルッコラは地元の野菜売り場でゲット。

ワインとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




豚リブロースのイタリア風カツレツ

豚は松阪ポーク。地元のスーパーにて。いつもの六白黒豚には敵いませんが、良い豚肉と思います。この豚肉のリブロースの薄切りで、生ハムとルッコラを挟んでカツレツに(フライパン使用)。なかなか美味しくできましたよ。

ワインとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




飲んだ日:2015.3.1

入手日:2014.3.5

購入店:伊勢丹新宿店 世界を旅するワイン展にて

輸入者:ヴァンパッシオン

容量:750ml

購入価格:\3,675

アルコール度数:14.0%

私達のお好み度: B+~B++ (最高A++、最低C)

飲み頃度:今美味しいけれど、あと3年か5年くらい置くとさらに良くなりそうな予感。

Saint-Aubin Les Pitangerets 1990 Louis Carillon

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Louis Carillon et Fils(ルイ・カリヨン・エ・フィス)のSaint-Aubin Premier Cru Les Pitangerets(サン=トーバン・プルミエ・クリュ・レ・ピタンジュレ)1990を開けました。


レ・ピタンジュレは、サン=トーバンの中でも長熟のクリマとのことです。今回のブルゴーニュ訪問で伺ったAu Pied du Mont Chauveでお聞きしました。






コアの部分は濃いめのルビー・ガーネット。リムは薄いオレンジから黄色の色調を呈しています。


香りは、カシス、ラズベリー。ドライ・チェリー。スミレの花。土っぽいマッシュルーム的な香り。


口に含むと、まだまだ若い果実味があります。でも、既にかなりの旨味が出ています。最初はくすんだような香りがあったのですが、しばらく放置すると霧が晴れるようにクリアになってきました。長熟のレ・ピタンジュレらしく、タンニンがかなり残っていますが、その粒形は非常に細かくシルキー。チョークの粉的なニュアンスと言っても良いかもしれません。このタンニンが熟成に向くと言われる所以なのでしょう。


中央に集中する味わい。最初、口中の位置が高くテノール的なトーンでしたが、30分も経過すると、太いコアが現れてきてバリトン的トーンに変わってきました。


25年経過しても、くたびれるどころか、グラスの中で綺麗に変化を遂げる余力があるなんて、ピタンジュレと1990年というヴィンテージの底力を見たような気がしました。



リコルクはしていなかったようです。たぶん。





長ねぎのグリル バルサミコ風味

長ねぎは地元産。それをトースターでグリルしてから、バルサミコ酢とオリーブオイルを掛けました。

ワインとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




人参のレモンバター煮

地元産の人参を煮込んでバターとレモンで味付け。

ワインとの相性はまあまあ(マリアージュ点6/10)。



メインはこだわりのラム。




掛川完熟酵母サフォークラム

掛川完熟酵母黒豚は実は常時手に入るのですが、伊勢丹で手に入る豚肉の中でも特に素晴らしいと思います。そのポイントは開発された酵母を使った餌にあり、常に健康を保ちストレスを感じさせないところが美味しさの秘密があると伺っています。簡単に言うと「酔っ払い豚」。その手法をサフォークラムにも適用したというのが、このラム。懇意にしている店員さんが、ベストの部位を選んでくれましたにひひ





掛川完熟酵母サフォークラムのグリル

ガスコンロの魚焼きグリルで焼きました。グリルをするとさすがに身が小さくなります。その分、脂が下に落ちていました。




じゃがいも蒸し トリュフバター

付け合わせのじゃがいもは、富良野産のきたあかり。トリュフバターを乗せて。

ワインとの相性は宜しいです(マリアージュ点7/10)。




グリル

いやはや、凄いラムです。脂が実に軽やかで、しかも甘味を感じるのです。そして、ジューシーかつとても柔らかいお肉です。究極のラムと言っても良いかもしれません。ただ、価格も凄いんです。お店では、「牛肉に匹敵する」とか言われていましたが、それではいけません。だったら牛肉を買えばいいのですから。牛肉並の価格であることに引け目を感じたかのような発言になってます(笑) 牛肉では得られないラムらしい味わいがあるからこそ、このお肉の価値があるはずです。


ワインとの相性は素晴らしい(マリアージュ点8/10)。口中でのワインと食の位置が近く、きちんと混ざり合います。ここが牛肉と違うところだと思います。ラムはボルドー、しかもポーイヤックというのが定番ですが、こちらのサン=トーバンの赤との相性も素晴らしいです。




飲んだ日:2015.3.8

入手日:2014.9.23

購入店:ラ・ヴィネ

輸入者:恵比寿ワインマート

容量:750ml

購入価格:\7,695

アルコール度数:13%

私達のお好み度: B++ (最高A++、最低C)

飲み頃度:今美味しい。ベストな熟成状態。

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